2005年01月02日
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カテゴリ: 小説&ポエム
「起立、おはようございます」

挨拶で学校は始まった。
ほこりひとつない真っ白な教室の授業は
なぜか落ち着くことができず、ペンを走らせる音だけが
聞こえてくる。
そう俺のいるこの高校というか全国の高校は
少子化が著しく進行し、1つの学年に2クラスしかない。
さらに大人とは理不尽なもので

学習、成長していく機械を育てることに
幸せを感じていた。もちろん学校にかれらは登校してくる。
2986年の国家法案で可決されて以来
2クラスのうち1クラスは人間っぽい人々がきている。
俺は本物の人間が入るクラスには人数の都合で高校3年間
この感情もなく、親から求められているもののみを
遂行していく彼らのクラスにはいっている。
本物の人間、俺もそうだが、彼らのことを
なんのひねりもなく

「ロボ」

と呼び、彼らには学力に対しても運動に対しても

込めてそう呼びつけ、馬鹿にするのであった。
「おい!大野 哲(てつ)
 お前は何をしているんだ!」
鉛色の雲をぼーっと眺めていたところを
ロボ数学教師に呼びつけられた。

ロボ教師を鼻で笑い馬鹿にするのが最近の日課だ。
それにしても人間だけのクラスはにぎやかで
楽しそうな声が聞こえてくる。
一見ロボも人間もわからないのだが、ロボには真っ黒な
腕章がついているので誰もが人目でわかるのである。
もちろんロボの中にも気の合う奴が数人いる。
そいつらは購入者である親からコミュニケーション専用で
登録されているロボである。
どんな会話でも理解し、ジョークも言う。
人間とまったくかわらないのだ。
俺の数少ない友達である太郎がなんだかロボ教師に
ばれないように
隣でぼそぼそと話かけてくる。
「俺彼女ができたんだ!」
「はぁ?いつお前にできるんだよ!?
 どんなやつだよ?」
唐突な発言に驚き、
友達ではあるがロボに先を越されて悔しくて
しかめっ面をしていただろう。
「んー隣のクラスの子だよぉ!
 しかもキスまでしちゃったの!」
「本当かよー!んでどーだったの??」
「すごくよかった。。そろそろ放課だし、
 彼女くるからまたね!」
「おっ・・おいーー!」
気がつくと周りも騒がしくなっており、
休み時間が1分ほど経過していた。
あのロボの太郎にどんな彼女ができたのか、見てやろう!
どーせそんなにかわいくもなく人間がロボを
本気で好きになるわけが・・・・
と考えながら、いつになく真っ白に見えるドアを
勢いよくあけると廊下の左隅のロッカー近くに
二人がいた。
太郎はいつもの調子でたくみに言葉を操り、
ニュースキャスターと同等レベルの発音・会話スピードで
彼女と話していた。
太郎の彼女は、やや小柄で栗色のつやつやした
光沢のある髪をしており、顔立ちも美しく、
胸元も痩せている体型にしてはふくよかで、
足もスラリとまっすぐで美しかった。。





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最終更新日  2005年01月03日 02時53分51秒
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