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五話「余白」
強く握ったハンドルがかすかに振動する。
もうブレーキを踏んだって岩がむき出した壁への衝突を回避するには間に合わないかもしれない。
コーナーの外側でなく内側がガードレールを隔てた崖になっていた事がせめてもの救い、不幸中の幸いといえようか。
むしろ、その条件から生まれた要らぬ余裕と安心こそが、菟宮の理性を狂わせ、彼自身が自らの幼さを立証することになる。
「どうせこのまま突っ込んだってぶつかるのは壁なんだ....、だったらよォッ!」
背後から波のように押し寄せるG。
タイヤがこもったようなスキール音をあげる。
眉間にしわが寄る。発狂しなような形相。力の入れすぎで骨の浮き出した腕でステアリングを大きく乱暴に回転させる。
震える鼻息。歯ぎしりの音。
後ろから押される力に横からの同じ力が加わり、シートベルトにしめつけられる感覚が膨大なものとなる。
顔をしかめる尾方。
こもったようなスキール音はやがて明確ではっきりと聞こえる高音となり、同時にボディが大きくきしみ始める。
その瞬間、明らかに車体の破損する音が聞こえた。
菟宮は終わりを感じ、ハンドルから手を放す。
今までのものとは比べ物にならないくらいの衝撃とともに、風景が180度回転し、
ワンエイティは静かに停止した。
エンジン音だけが耳に響く。
次に聞こえるのは尾方の怒声か。
そう考えると悲しくなる。
不思議だ。
あれだけ自分から逃げ出そうとしていたレースの世界に漬かってしまっている
菟宮は自然と、理性を失った自分を省みた。
そして、レースがしたい。レースを辞めるなんてごめんだ。
心で叫んでいた。
本気で勝ちたいと思った瞬間。
今までこんなに自分をとりこにしたものがあったか。
無かった―――――――――。
スズメのさえずり。
珍しく、アラーム音ではない別の音に起床させられた。
上半身をを起こすとだだっぴろい空間が見える。
ベッドの上。洗剤の匂いが真新しい羽毛布団。
傍らに置かれたデジタル時計が午前8時をさしている。
寝惚けが瞬間にして消え去り、ここが自宅「平野壮」でないことを察し、
そして昨日あったことすべてを思い出した。
俺の無謀な運転により見事にリアバンパー周辺を大きく破損したワンエイティ。
状況を察したエボ4の運転手、蒼錬氏が戻ってくるまでが苦痛だった。
180SXの車内は全くといっていいほどの静寂に包まれ、腕を組んだままでうつむいた
尾方先輩から怒声も飛んでこない。
驚異的に気まずい空気が漂う。
そこに駆けつけたエボのエンジン音と窓を叩く蒼錬氏の自分達が無事かを確かめる声が
気まずい空気を打破する、まるで天使の歌声のようだった。
再度、布団にうずくまる菟宮。
そうか、俺、事故ったんだ。
それも、自分の幼さを立証するカタチで。
そんでもって、あの後の状況から逃げ出すために黙秘して....ひたすら黙秘して....。
まるで半分死んだような意識下を装った俺に更なる負担をかけまいと
ひとまず一番近くて設備も整った、ここ、井口ことヤン子さん邸に身を預けられたのだった。
なんて情けないんだろう。これだけの人望者に囲まれていながら、俺1人だけが
餓鬼みたいに意地張って、クルマ無茶苦茶にして....。
今はまだこうして横になっていたかった。
そうすれば、寝ている間少しでも、今、この状況を忘れることができるからだ。
と、廊下を叩く周期的な音、誰かがやって来る。
静かな足音だ。
ととと、足音は近づき、やがてドアノブが動いた。
そしてドアの奥から姿を現したのは....
異質だ。くるりと巻かれ、緑色がかった頭髪。
それに小柄だ。とても成人だとは思うまい。
....少...女...?
「おはようございます」
挨拶された。
「あぁ.....」
俺はまた体を起こし、まだ寝惚けの冷め切っていない声で応える。
何を察したのか少女(?)からの二度目の質問。
「朝はお嫌いですか?」
「聞いてどうする。俺は朝に弱いんだ。気乗りしねぇ。だから話し掛けるな。」
今言った通り俺は朝に弱いタイプだ。何故か機嫌が悪くなる。
だからこそ寝起きは人との会話を避けたいのである。
「うぅ....すいまふぇん....」
ふにゃりと、茹でたかんぴょうみたいなお辞儀。
なんだこいつ...
「何でもいいけどお前誰だ。ここは何処だ。俺のワンエイティは....」
ドン!
また足音だ。
この部屋に居る俺とチビっ子は静止した。
さっきこの子が部屋に入って来る前の足音とは明らかに違う。ゴジラが歩くような。
「ぐへぇーぇえ゛うぇ...」
野獣のようなうめき声...
いや、待てよ...どっかで聞いたような...
「はわわわわわわわわわわわわわッ」
お次は緑髪の少女がにわかにあわてふためき出す。
近付く足跡。
二つが混ざって混乱の数値は上昇していく。
どうなってんだこりゃ、俺まで狂っちまいそうな状況だ。
がっしっ
開いたままのドアのふちに手がかり大きな音を立てる。
同時にきゃわーっ!っと叫んだ幼女が床の上に尻からすっころんだ。
「こーぉるぁぁあ゛勝手に人んちに上がり込みやがってっ....」
「ちょっ....ヤン子さん!?」
俺は意味もなく絶叫した。
「はぁん?ヤン子さん?誰よそれ....そんな名前の人間ウチには...あってててッ」
腹を抱えてうずくまるヤン子さん。
しまった、ヤン子さんというのは俺の脳内のみでのアダ名だ。
衝動的な驚きにつられてついつい口に出してしまった...不覚。
「おっ...お腹なんかかかえて、どうしたんですか?」
すっと落ち着きを取り戻し、先ほどの失態を帳消しにすべく
あくまでも何気ない感じの口調で質問する。
「あ゛.....当たったみたい....」
何が...?
「昨日GTRに置いてあったコーヒー飲んだのね、それが原因で腹痛がヒドイったらありゃしないのよ.....。くっ...五十嵐の奴がトロいからッ」
状況がイマイチよく伝わらなかったが五十嵐が原因なのだろうか。
「それより何?後ろの女の子。勝手に人の家に無理矢理上がり込んだと思ったら、アンタの彼女かなんかだったの?」
そう指摘されて「はっ!」と振り向くと、問題源であるチビッ子が震えながら俺の背中にしがみついていた。
「わっちがっ....おれも今日コイツに会うのは初めてで....つか離せバカッ」
背後の少女が彼女であることを否定するのと、背中から少女を振り放すのがごっちゃになってしまい、
なんだかよく分からない動きをしてしまった...。
「はーん、菟宮くんも角に置けないわね~ぇ」
「だから違いますってばッ!」
そしてなんだかよく分からない口論が始まり.....
振り放されてべたーんと床にたたきつけられた少女が
だっ!と走り出した。
「うっ.....ふええええええん」
そして部屋から飛び出した。
「あっ!ちょっと!待たんかこるぁ!」
さらにそれを追うヤン子さん。
「.........何がどうなってんだ?」
俺は数秒間ベッドの上に突っ伏したあと、
どうしても彼女が何者なのか気になり、その後を追った。
~第六話へつづく~
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