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2018/08/24
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カテゴリ: 日記



昼食後急いでロキシー
クリスティアン・クレーネス、フロリアン・ヴァイゲンザマー、オーラフ・S・ミュラー、ローラント・シュロットホーファー監督「​ ゲッベルスと私 ​」(2017)
監督いっぱいいるねえ。

原題の「A GERMAN LIFE」の方が
この内容には相応しい。


ナチスの宣伝相ゲッベルスの秘書をしていたブリュンヒルデ・ポムゼルさんのインタビュー。
当時の資料映像が適宜挿入される以外は、
ひたすら彼女のどアップのインタビュー映像が続く。
撮影当時103歳のブリュンヒルデさんの古木の樹皮の如く深く皺の刻まれた顔のアップが本当に印象的だ。
歴史が容赦無く刻みつけれたかのような皺。
ゲッベルスの秘書の生の証言とゆーだけでも
これは超一級の、歴史的資料。
作品としてどうかとゆー以前に、
資料的価値が超絶的に高い。
彼女は103歳という高齢にも関わらず記憶も鮮明。
その飾り気の無いシンプルで誠実な語り方からも、
彼女が極めて聡明な女性であることがよくわかる。
彼女のインタビューは当然すべてドイツ語だが、
ほんの少しの難しい名詞や言い回しなどを除けば
このおれでもほとんどその七割程度が
字幕なしで理解可能だった。
非常にシンプルな言葉で明解に語ってゆく。
本当に聡明な人なんだなと思う。

多くの日本の観客は、
彼女の口から少しでも後悔や謝罪のような言葉が出てくることを何となく待ちながら
このインタビューを観ると思うのだが、
優しき日本人たちが期待するようなそんな言葉は
彼女の口からは出ない。
あのアイヒマンですら自分に罪はないと言ったが、
彼女も
「自分には罪はない」「何も知らなかった」
と言い切る。
それを現代の日本から
一方的に見て断罪することは簡単なこと。
でも、当時のドイツの状況は
非常に特殊だったから許されるのかと言ったら、
やっぱり絶対にそうではないのだ。
ヒトラーもナチスもちゃんとした選挙で
国民が選んだのだし、
国民はヒトラーを歓呼の声で迎えて讃えた。
確かに時代も悪かっただろうけれども、
それでもこれは国民の総意だったのだ。

おれはいつも思うが、
果たしておれはこーゆー状況で、
ハイル ヒトラーと高らかに言わないまでも、
何の罪もないユダヤの人たちが連行されていくのを
傍観しているだけではなく
命がけで止めたりかくまったりできただろうか。
彼女は
「国民に罪があったのなら、私にも罪がある」と言う。
これが彼女に言える精一杯なのだろうな。
現代まで生きて情報を十分に得た彼女が、
当時のドイツが犯した罪の大きさを
認識していないはずがない。
ゲッベルスの罪がどーゆーものだったかも、
正確に認識しただろう
誰よりも深く考えただろうし、自分を責めただろう。
だからと言ってその罪が消えるわけでもない。
それにしても、
あまりにも大きすぎる罪…
彼女はそれをただ背負い続けてきた。



ハンナアーレントが言ったことを深く思い返す。

エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告/ハンナ・アーレント/大久保和郎


ハンナ・アーレント[DVD] / 洋画


スペシャリスト/自覚なき殺戮者【HDニューマスター版】【Blu-ray】 [ アドルフ・アイヒマン ]

悪の凡庸さ。
ごくふつうの良識ある市民が、
普通に凡庸に生活していて、真面目に働いていて
特に深く考えることなく
ものすごい悪に加担してしまっている。

考えさせられる

今月中、ロキシーでやってます ​。ぜひ。

資料映像がものすごい。
これは初出のものが多いようだが、
これを観るだけでも価値がある。
観て気分のいい映像ではないが、
観ておくべき映像と思う。

呆然と帰宅。
作品のことを考え続ける。

平日午後としては優秀な集客だった。
長野市でこーゆー作品を観に集まってくるのは、
政治的にリベラルな人が多いのかなと思う。
おれはこーゆーところに色濃く立ち昇ってくる
「岩波っぽい雰囲気」があまり好きではないが、
それでも
こーゆー作品にそこそこ人が集まる長野市は
捨てたもんじゃないなと思う。
何も考えない保守よりは、
ちょっとでも考えるリベラルの方が余程マシだから。

ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白 [ ブルンヒルデ・ポムゼル ]
これは本も出てるけど、どうなのかな。
映像の力もかなり大きいので、
インタビューの内容に大きな差がないのであれば、
映像の方が良いような気がする。
書籍ならではの何かがあるのなら
読んでみてもいいかな。





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Last updated  2018/10/09 08:55:15 AM


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