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かとう あきら

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2019/07/16
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カテゴリ: 日記
2019/07/06

朝から実家。
じゃがいもの収穫 ​。


宍戸大裕監督「​ 道草 ​」初日監督舞台挨拶回観た。
大入り!
素晴らしい。

東京などの挨拶回に比べても、
この日の客入りは多かったようだ。
こーゆー作品に人がちゃんと集まる長野を誇りに思う。

ヘルパー(介護者)付きでひとり暮らしをする知的障害の方々を追うドキュメンタリー。自閉症や知的障害、自傷・他害といった行動障害がある人々。介護制度が変わって重度の知的障害者もヘルパー付きでひとり暮らしができるようになってきた。


会場には自閉くんや自閉ちゃんたち、そのご家族も多かったようだ。
みなさんそれぞれいろんなことを考えたんだろうなあ。
おれも一応障害当事者。
おれの場合は知的ではなく身体の方なのでいろんな点で大きく違うけれども、
どちらかとゆーと当事者目線でこの作品を観たかもしれない。
自閉くんや自閉ちゃんのご家族の皆さんには、
たまらなくなる場面も多かっただろうと思う。

当事者目線で作品に寄り添った感じで観ても
客観的に引いて冷静に観ても、
この作品は素晴らしいドキュメンタリーだと思う。必見。

だいたい重度の知的障害のみなさんは調子のいい悪いの波があって、
一日のうちの一〜二割は問題なしとしても、
八〜九割は「困ったちゃん」だったりする
(健常者の常識から見れば...ね...)。
困ったちゃんでも、とんでもなく魅力的な瞬間もあったりする。
そーゆー困ったところも超魅力的なところもしっかり捉えて
ユーモアを交えながらテンポよく提示してゆく。

この作品は障害のネガティブな側面から目を背けることなく、
生きる力強さと優しさに溢れてるところが素敵だ。
そして、感情に流されずに徹底的に冷静に作られてるところも素敵。


「それでも生きてゆく・みんなで生きていこうよ。」
とゆー視点。


介護者と知的障害の彼らとのやりとりはユーモラスで楽しい。
もちろん実際はユーモラスどころではない場面も多いのだろうけれど...
すごくカジュアルに接していて、障害者を大事にしすぎない(なんでもOKじゃない)感じが素敵だ。
介護担当のみなさんには頭が下がります。
介護者の方々のカラーもいろいろでおもしろい。

ある介護者の方の
「お互いに慣れないとなあ」
という言葉が特に印象的。



おれが子供時代は今よりも街に知的障害の人が多かったように思う。
気のせいかな...いや、たぶん違うな。多かったと思う。
当時は施設も少なかったし...
そういえばおれの従姉妹の「えっちゃん」は重度の知的障害でほぼ言葉を喋ることができなかった。
おれはえっちゃんによく遊んでもらっていた。
えっちゃんが発するのは意味不明の奇声のみだったが、上機嫌なのか不機嫌なのか、いいのかイヤなのかくらいはその奇声でも何とかわかったので、おれは一応コミュニケーションできていた。こっちも言語能力に乏しい幼児だったし、けっこうちょうどよかったのかもしれない。
おれはえっちゃんに対してわがまま放題だったと思うが、年齢的にはだいぶ年上のお姉さんだったえっちゃんはそれでも優しくしてくれた。
えっちゃんは子供が大好きで、近所で赤ちゃんが生まれると、赤ちゃんのおうちの前に行って(すごいリサーチ能力)、赤ちゃんを抱っこさせてくれるまでいつまでもじっと静かに佇んでいるのだった。今だったら怖がられて通報されちゃうような行為だろうなあ。でも、当時の町の人たちは彼女をよく知っていて、ごくカジュアルに生まれたばかりの赤ちゃんを抱かせてあげていた。しばらく抱っこさせてもらって愛おしそうにひとしきり赤ちゃんをあやすと、えっちゃんは満足してすぐに帰ってゆく。(おれが赤ん坊の頃、えっちゃんはおれを抱っこしによくうちに来てたそうな)
特に珍しくもないおれの子供時代の町の日常。
えっちゃん、優しい子だった。知的障害はひどく重かったけれども、彼女の内面の母性の部分はちゃんと成熟していたのだろうな。

こーゆー感じの日常の風景が今は絶望的に不足してる。
慣れてないので、知的障害の人のちょっとした奇声、異様な発声、異常なタイミングの身体の動きなどに恐怖し、驚き、過剰に反応してしまう。
身体障害の人の、例えば、おれの異様な歩き方や変に硬直した腕や手の状態に嫌悪感や恐怖を覚える人もいるはずだ。おれの遅い不恰好な歩きを邪魔だと思う人も多かろう。冷たい視線もたくさん感じてきたし、実際に大きな音で舌打ちされたこともある。あーゆーのって悲しいね。つらい。



障害者の対応は場合によってはマジで困っちゃうこともあるので(障害によっては衝動が抑えられなくて物を壊しちゃったりとか、人に罵声を浴びせたり叩いちゃったりとかって人も実際いるのだ)、そこのところはみんなで考えて何とかしていかなきゃいけないけれども...まずは「ちょっとした異常」に慣れるチャンスが少ないのが問題。
今はこういった障害の人が街に出にくい傾向にあるので、
健常者も障害者も、お互いに「慣れ」が不足してる。
優生学的思考丸出しで障害者は施設に閉じ込め流べきだと本気で思ってる人もいるようだし...
その辺に時々ちょっと奇声を発する人が散歩してたっていいじゃん。
おれみたいなのが足を引きずりながら歩いてるのと、本質的にはそんなに変わらない。
ちょっとずつ慣れるってことだよなあ...
「ちょっとずつ」が大事。

まとまらんけど、
そんなようなことをいろいろ思った。
観てよかったです。
本当に観てよかった。






その後、えっちゃんは重い癌になってものすごく苦しんで亡くなった。
まだ若かった..。かわいそうだった。








舞台挨拶とトークショーも有意義でした。
素晴らしい機会に感謝。

その後もお客さん入ってるみたいで、
ロキシーでの上映はめでたく延長された。
19日まで観られます。みなさん、ぜひ!








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Last updated  2019/07/16 04:39:43 PM


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