まっすぐなマワリミチ

まっすぐなマワリミチ

ひいばぁば



にゃんこ


明治生まれなので 常に着物を着ていたのを
覚えています。
それに合わせて 長い髪を、自分で結っていました。

私が物心ついた時には 既に痴呆が進み
私がおやつを食べていても、恐ろしい顔で
奪っていった記憶があります。

およっ!?その頃から 私って食べモノに執着していたのね >.<ゞ

ひいお婆ちゃんは、年齢からくる頑固さが増していきました。

食事をしていて、食べきれないものを口から出しては
あちらこちらにばら蒔いていきました。
また、鼻水などを台所の布巾や コタツの上掛けで
ふいたりもしました。

家族の誰かが注意するのですが、頑固なひいお婆ちゃんは
目を吊り上げて(▽へ▽)怒りました。

また、下の方も弱くなったのですが、着物の下には
何もつけていないので、廊下に大や小が落ちている事も
よくありました。(お食事中の方、ゴメンナチャイ(_ _))

その内、部屋に簡易トイレを置いたのですが
家のトイレを使いたい気持ちが強いようで
相変わらず うちの廊下は 汚れていました。

ある日、家の台所の入り口に全て鍵がとりつけられました。
古い家なので 続き間ばかりで台所の入り口は
3箇所もありました。
鍵は全て高い位置に取り付けられ、小学生の私では
踏み台がないと届きませんでした。

私は何故 家の中に鍵を取り付けるのか分からず
だけど、誰かに聞くこともありませんでしたが
その理由はすぐに分かりました。

私は超熟睡タイプな人間で、以前、2軒隣の空き地で
火事があった時も、2台の消防車の音に全く
気づかず、町内で一人だけ起きなかったことで
有名です ◎д◎;

だけどその日は、ガタガタという音に
ノンレム睡眠のタイミングだったのか
パッチリと目覚め、音のする方へ
歩いていきました。

そこにはひいお婆ちゃんがいて、鍵のかかった
台所の扉を、なんとか開けようと
必死の形相で押したり引いたり
していました。

小さい私には暗闇の中でのひいお婆ちゃんの姿が
まるでヤマンバのように見えて
声もかけずにその場を立ち去りました。

深夜徘徊。でした。

私は学校へ行っていたので知らなかったのですが
昼間でも徘徊して
他人の家の庭で発見されたりもしたそうです。

そんなひいお婆ちゃんも86歳で他界しました。
老衰でした。

そして、このひいお婆ちゃんのDNAは
確実に子供達に受け継がれていったのです・・・

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