愚行




先日、サン・ディエゴに住む知り合いのアパートの隣で、テロリスト
による放火事件が起きた。

午前3時頃、窓の外に燃え上がる炎を見て、自分のアパートが火事に
なったのだと思い、慌てて大事なものだけ抱えて避難した、と言う。

幸い、彼女の部屋にはまったく影響がなかった。

また、全焼した建物は建築中のもので、人は住んでいなかった。

しかし、FBI 等の捜査のため、なかなか部屋に帰してもらえなかった
彼女は、待っている間、持っていたデジカメで全焼していく隣の建物の
写真を撮りつづけていたそうだ。

(抱えて避難した「大事なもの」とは、デジカメだったらしい・・・)

↓知り合いが送ってくれた写真。(25% に縮小)

fire

まもなく、エコ・テロリスト(環境保護を唱えるテロリスト)の
グループの1つが、今回の放火に関する犯行声明を出した。

彼らの主張は、こうだ。

我々は、地球の未来を心配している。
  ↓
あのアパートは、骨組みに木材を使っていた。
  ↓
木材の使用は、森林の破壊につながる。
  ↓
森林の破壊は、我らが母なる惑星、地球の破壊につながる。
  ↓
放火によって、地球の破壊に手を貸す建設会社に、経済的な損害を
与えることができた。
  ↓
また、この事件をきっかけに、良くも悪くも、多くの人が環境の
ことを考えるようになる。
  ↓
どんな形であれ、できるだけ多くの人が問題に関心を持つように
なれば、それだけ、政府に届く声も大きくなる。
  ↓
ゆくゆくは、環境保護の政策へとつながる。


こんなふうに、あっけにとられるロジックで世の中を変えていこうと
「頑張って」しまっている人たちのおかげで、まともな活動をしている
環境保護団体の多くも、大いに迷惑することになる。

森林を保護しようとする方の側が、すっかり悪者のイメージで見られて
しまう可能性があるからだ。

人々は、印象に残るものを記憶する。

一部の過激派や常識を逸脱した勘違い人間のせいで、ある集団への
根強いステレオタイプが生まれてしまうことが多い。

例えば、日本で愛国主義の活動家と聞くと、ところ構わず大音量で
軍歌を鳴らしながら走る黒い宣伝車を、どうしても連想してしまう。

イスラム原理主義というと、多くの人が、世界貿易センターに飛行機で
突っ込んだ若者たちや、アフガニスタンのタリバンを連想してしまう。

(養老孟司氏でさえ、ベストセラー「バカの壁」の中でイスラム教への
一般素人的な誤解と偏見を露呈してしまっている。)


理想に向かって間違った努力を続ける人たちは、自分たちの行動が
人々に無用な誤解と偏見を招き、目的の実現を妨害していることに、
まったく気づいていないのだ。


“肉食獣が近づくと、不健康なガゼルはできるだけ高く跳んで自分の
 強さをアピールしようとする。肉食獣は、そんなガゼルのいる群れを
 狙って襲う。”

                ―― R. ドーキンス「利己的な遺伝子」






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