常緑樹24 法律はなんと…


(平成15年2月号 2004/1/20)

弁護士に相談する、訴える、逆に訴えられる、裁判を傍聴する、六法全書を読むなど、日常生活の中で法律をじっくり考えるという機会はそうあるものではない。
交通法規あたりが最も身近なものだろうか。
しかし昨年は市立札幌病院における歯科医師研修裁判を傍聴したり、医療事故や改修業者とのトラブルに見舞われた身近な方から、相談を受けたりと法律に少し縁ができた。
そうそう久々に首相が引用した日本国憲法の前文も読んだ。

平成15年11月末現在我が国で施行されている法律は憲法を含め1,833、これ以外に政令・勅令が1,914、府令・省令が3,462、合計7,209にものぼるそうだ※。
これには条約、規則、訓令、告示などが含まれていないので、全ての法規は相当な数となる。
明治19年にはわずか六法で全法律を整理していたそうだから、それを考えるとこれはすごい数で、どんなに優秀な専門家でも、全てを知ることは難しそう。
それほど社会が複雑になり、法律の整備が必要となったということか。
法律で世の中をがんじがらめにする必要に迫られてきたということだろうか。

編集部のある建物のすぐ裏手に裁判所の官舎があり、そこに面した中通りは塀が長く、絶好の駐車スペースに見えるらしく、不届き者による違法駐車が絶えない。
が、裁判所官舎だからか、通報があるのか、頻繁にレッカー車がきて、違法車両を引き揚げていく。

そこの皆さんは、法服を着ていないので道で会っても法曹関係の方とはもちろんわからない。
しかし前述の歯科医師研修の公判を何度も傍聴し、それこそしゃべる時のクセを覚えるほど裁判官のお顔を拝見したので、その方々だけは覚えている。
三人のうち若いお二人がこの官舎に住んでおられるのか、子供さんらと遊んでいる姿をお見かけするし、通勤時にも見かける。
いかにも普通の方である。
あぁ、この方があそこで有罪を告げたのだなと、しみじみと見つめている。

そのお一人が、小さいながら結構交通量の多い交差点を「信号無視」して渡るのを数回目撃した。
法の守護者たるものタバコのポイ捨てはしないし、釣銭が多い時はすぐに返金するだろう。
道に唾もはかないし、立ち小便もするわけない。
駐車違反はもちろん信号無視などもってのほか、と思い込んでいた。
にもかかわらず信号など無きが如く、堂々と、颯爽と赤信号を渡っていく。
小学生もポカンと見ている。
目が点になった。

でもねぇ、あれほど膨大な数の法律や法規、条文まで入れたらもっとすごい、さらに判例のことなど考えながら歩いているのだから信号なんか気にしていられないはず、と何故か納得?してしまった。

あけましておめでとうございます。今年初めての「悠悠と、」です。
これからもご愛読のほどどうぞよろしくお願いいたします。

※総務省行政管理局法令データ供給システムより(平成15年11月30日現在)

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