
『ギリシア~』が、読めば『へぇ』『なるほど』『あ、この言葉の出自はそういうことなんだ』と読めば読むほど言葉の由来を知る楽しみ方があったのに対して、『アラビアン~』は諺や慣用句の由来が書かれているわけではない。
男女の営みが麗しく書かれているのが『ギリシア~』だと思うし、その営みがナマっぽく書かれているのが『アラビアン~』だと思う。
美男美女がやたらと登場するし、彼・彼女らがすることが夜の営みがやたらと目につくのは『産めや増やせや』が彼らが生きていくうえで何よりも大切な労働力の確保であり、侵略を防ぐための方策だったからなのでは。
そのうえで、彼らのモラルや人生訓が様々な口を経て時に面白く、時に残酷に語り継がれてきたのだろう。
作者が文中でも吐露されているように、千夜一夜物語はモチーフが分りづらい。
読んでいる私も『で、この物語は何が言いたいの?』とクエスチョンマークが点灯する章も多い。
いや、モチーフはあるのだろうけれど、私が生きている21世紀の日本は、回教徒の文化よりも遥かに、ギリシア神話、ローマ神話から脈々と受け継がれたのであろうキリスト教の文化が日本に沁みこんでしてしまっている。
だから私たちはギリシア神話に親しみを覚えやすくなってしまっているだけなのかもしれない。
アラビアンナイトには親しみを覚えないのは、私の場合は回教徒の文化に余りにも遠い世界で生きていることが原因なのかもしれない。
この本は、『異文化を知る』という目的を持って読むと面白さは倍増することでしょう。
私の場合、目的を持たずに読んでしまったので、読みやすさと読む愉しみが比例しなかった本になってしまいました。
ただ、アラブの文化というものにどこかで接する機会があれば、この本を引っ張り出して『ふんふん』と頷きながら読み進めていくことになるのでしょう。
・アジブと四十人の美女
・右手を呪われた男たち
・戯れに恋はすまじ
・シャーラザッドの正体は
・バグダッドの幽霊屋敷
・男と女でどちらが悪い
・恋は海に揺れて
・紺屋と床屋の物語
・絵の中の美姫
・待てばカイロの狐つき
・ハサンの道は破産
・人生は運か努力か
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