2006年8月24日、国際天文学連合(IAU:The International Astronomical Union)により惑星の定義が決定された。
それにより、我々地球を含む太陽系の惑星が、従来の9個から8個に変更された。
惑星から降格されたのは、冥王星である。
1.冥王星(Pluto)
いままで、太陽系は、水、金、地球、火、木、土、天、海、冥、の9惑星とされ、その最も外側に位置する冥王星が、新しい惑星定義からはずされた。
最も外側であるため、1900年代になってから天王星と海王星の軌道のブレからバーシバル・ローウェル(アメリカ)が海王星以遠の惑星の存在を予想した。1930年、その弟子のクライド・トンボーにより冥王星が発見される。
ローウェルの計算は、天王星と海王星の質量を間違えていたため、トンボーによる発見は偶然だったとか・・・。
発見当時から、惑星としての特異性は指摘されていた。
極端な楕円軌道を持ち、軌道傾斜角も大きい。
太陽を公転する軌道周期は、248年。そのうち、20年ほどは海王星軌道の内側に入り込む。ほぼ円に近い軌道をもつ他の惑星群に対して、冥王星は彗星のほうに近い。
傾斜角は、地球の軌道面に対して17度の傾きを持つ。他の惑星は、ほぼ1度~3度程度だ(水星のみ7度)。
大きさの面でも、直径は2300km、地球の衛星の月(3480Km)の、2/3倍という小ささ。それでも、3つ衛星カロン、ニク、ヒドラを持つ。
3つの衛星の中で、最大のものはカロン。カロンの直径は、1186km。冥王星に対して、同じような大きさである。そういう意味では、二重星のようなものかもしれない。
2.小惑星帯
小惑星とは、小さな天体で、彗星のように拡散する物質を持たないものを総称する。そうした小惑星の軌道が集中している領域を小惑星帯という。
小惑星帯で最も有名なのが、火星と木星の間にある小惑星帯アステロイドベルトである。このアステロイドベルトの中での最大の小惑星は、ケレスであり、これも直径1000kmほどある。
太陽系の惑星軌道の最も外側に位置する小惑星帯もあり、正式にはエッジワース=カイパーベルトという。
30天文単位の海王星の軌道あたりから、100天文単位の範囲をいう。ここが彗星や流星が生まれてくる場所という説もある。
3.惑星の定義変更に至る背景
1項のような、冥王星って惑星?という、疑問が長年囁かれ続けるなか、2項のカイパーベルトの中で最も最大の小惑星ゼナ(もしくはジーナ(Xena):仮称)が2005年にマイク・ブラウン(アメリカ)により発見された。正式名所は2003UB313。
2006年4月にハッブル望遠鏡により観測され、直径2400kmと判明した。
さて、ここまでの冥王星に対する疑問を整理すると。
(1)軌道が楕円で、彗星っぽくない?
(2)衛星のひとつと、同じような大きさで、二重星っぽいなら、カロンも惑星にしなくていいの?
(3)カイパーベルトの小惑星ゼナのほうが大きいのに、ゼナを惑星にしなくていいの?
(4)そしたらアステロイドベルトのケレスも惑星?
と、いろいろ疑問が出てくる。
そもそも、「惑星とは」という学術的な定義がなかったのが問題となった。
従来、惑星とは、太陽を公転していて冥王星程度の大きさの天体、というアバウトな認識だったのだ。。
上記のような背景のもと、冥王星の扱いおよび、同程度の小惑星の天体の判断をするため、より厳密な定義づけが必要になった。
4.惑星定義の変更
第26回国際天文学連合総会が2006年8月14日から25日までプラハで行われた。
最初の提案では、惑星となる条件は2つであった。
条件1)恒星の周りを回っていること。
条件2)自分の重さでほぼ球形となれる重力を持つこと。(およそ直径800Km以上?)
しかし、この定義では、カロン、ケレス、ゼナも惑星の仲間入りとなる。
そのため、各新聞などで、惑星が12個に増えるか? などといった記事が8/16に掲載された。
しかし、その後の議論で形状や質量だけでなく、軌道の特徴も定義にいれるべき、という意見等から議論が続き、8/24に、IAUは、3つ目の条件を付加し、惑星の定義を完成させた。
条件3)軌道周辺に他の天体はなく、その軌道が際立っていること。
厳密な表現は、 国立天文台
のページを参照のこと。
この条件により、海王星に軌道の影響をうけている冥王星は外され、小惑星帯にある天体も惑星の資格を失った。
こうして、太陽系内の惑星は、8個に決定したのである。
また、条件1も、「恒星の周り」という表現が、「太陽の周り」と改められ、太陽系における惑星の定義、という位置づけになっている。かといって、他の恒星系に惑星という名を使うことを禁じるわけではないらしい。
5.太陽系内の天体の分類
上記により惑星が定義されたが、冥王星は惑星ではなくなって、何になったかというと。
太陽系内の天体は、以下の3つに分類されることになった。
(1)惑星(Planet):上記定義に基づく
(2)矮惑星(dwarf planet):太陽の周りを回り、球形になれる重力を持ち、周囲の他の天体がまだあり、衛星ではないもの。(和名は仮称)
(3)小惑星(small solar system bodies):衛星を除く上記以外の天体。
よって、惑星候補であったケレス、ゼナ、冥王星は、全て矮惑星となった。カロンは、現時点でまだ矮惑星としては決定していない。
ドワーフってってのは、小さな惑星ってニュアンスなのだろう。ファンタジーっぽくってよい。惑星の名前も神話からだから、お似合い。
今回の定義づけや議論が、太陽系内に限定されたことに、こうした分類の難しさが伺える。
人類の科学は、まだ全ての星を分類できるほど、宇宙をよくわかっているわけではないのである。
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2008/08/17 追記
矮惑星として仮に呼ばれていたdwarf planetは、正式に2007/4/9に「 準惑星 」として和名が決定された。
2008/06/25 追記
準惑星の命名とプルートイドという新分類についてまとめたものを、 冥王星その後 というエントリにまとめました。PR
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