の美しい季節がやってきた。
赤、黄色と色鮮やかな木々に誘われたメイチェンは
いつもより深く深く、
森の奥へとその歩を進めたのである。
すると案の定
メイチェン
はて…?ここは一体、どこですかのぅ…
気が付いた時には
鬱蒼と木々が生い茂る森の最深部までやってきてしまった。
時刻も既に夕方だ。
助けを呼ぼうにもこんな時間では誰も通り掛かりはしないだろう。
メイチェン
仕方ありますまい。今夜はここで野宿と洒落込みますかの。
天涯孤独の放浪者のメイチェンには
付き従う旅の供は誰もいない。
独り旅の気侭さから、その身を草叢の絨毯へごろりと預けると
瞬く間に眠りについたのであった。
…もし?
爺さん?生きてるか?
こやつ、ウェアウウルフ…
…にゃ、見えねぇよなぁ…
メイチェンは数人の男女に揺り動かされ
ようやく目を覚ました。
男1
爺さん…一体どっから来たんだよ?
メイチェン
え…さて?どっから来たんですかのぅ…?
女1
え~~、またお荷物増えちゃうの~~?
男2
!?お荷物とは誰のことぢゃ!!
女2
記憶喪失が2人に増えても邪魔になるだけだろ。
メイチェン
え~と、もしかして…あなた方は
バッツ
殿に ガラフ
殿、 レナ
姫と サリサ
姫…、の一行ですかな?
バッツ
!?サリサ姫!?
レナ
私の姉姫さまの名前だわ!!
ガラフ
どこぢゃ、どこに姫がぁ~~!?
ファリス
……
メイチェンの背中に、さりげなくファリスの鋭い蹴りが入り、
まだこの件は一行には内緒だと言うことがわかった。
メイチェン
あいや失礼…ボケが大分進行しておりましてな。
あたしはメイチェンと申します。時々、戯言を抜かしますがお許し下さい。
ガラフ
いやいいってことよ~。カンラカンラ。
バッツ
お前が言うなよな。
ファリス
ここは、ワイルドナックの溜まり場だぞ。危ないから近くの村まで送ってやろう。
メイチェン
これはこれはかたじけない。
メイチェンが立ち上がろうとした瞬間
木々の陰からワイルドナックの集団が襲い掛かってきた!
レナが「風水士」ジョブだったお陰もあり
地割れ攻撃であっと言う間に片付けてくれたが
さすがのメイチェンも肝を潰し、またまた座り込んでしまった。
バッツ
おいおい爺さん~~困ったなぁ。
レナ
先が思いやられるわね。
ガラフ
そうぢゃ、折角だからお主もジョブを選んでみんか?
ファリス
爺さんなら魔法系じゃないか。
試しにクリスタルのかけらをメイチェンに渡してみると
意外にもそれは光り輝き、
どうにか勇者の端くれと認めてもらえたようだ。
メイチェンの黒魔道士!!
さそがし、凄腕の魔道士になることであろう…
という一行の期待は見事に裏切られた。
魔法を暗誦することは出来るのだが
いざ肝心な戦闘がはじまると
メイチェン
そもそも、初期の頃は回復魔法は4種類ありましてな。
ええ、ケアル・ケアルア・ケアルダ・ケアルガ、ですわ。
それが歴史を経るにつれ、3つにまとまったんですな。
呼称も「ケアルダ」から「ケアルラ」に変更されました。
攻撃魔法の三段活用と統一させたのか
単純に「ケアルア」が淘汰されたのかは、わかっとりゃせんのですわ…。
と、大好きな語り口調が始まってしまい
戦闘中に魔法を詠唱することが出来なかったのだ。
バッツ
ぐぁああぁ~~!?
レナ
そんな解説は糞の役にもならないのよっ!!
メイチェン
いや、あたしは放浪の語り部でしてな…実戦には向いとりゃせんのですわ…
ガラフ
う~ん、期待してたんぢゃが。
ファリス
…一応、他のジョブも試してみるかい?
こうしてメイチェンの一人ファッションショーが始まった。
剣士になってみると
その豪剣に寄り掛かって立つのがやっとであった。
重い甲冑を装備しなければならないのでそれも当然であろう。
竜騎士となってジャンプの体勢をとってみても
片足をあげるので精一杯である。
狩人は、その軽い装備のお陰でなんとか様にはなっていたが
なんせ肝心要の敏捷さを持ち合わせていない。
弓矢に矢じりを構えている間に戦闘は終わってしまう。
故に、シーフも論外であった。
結局、どのジョブも
今のメイチェンには使いこなすことが出来なかった。
とりあえず、「すっぴん」で進むしか方法はない。
レナ
ガラフ以上のお荷物ね!それなら、せめて荷物持ちぐらいしてよね!!
バッツ
(ヒソヒソ)あいつ、正真正銘のお姫様なんだ…
ファリス
(ヒソヒソ)我儘だけど、許してくれよな。
ガラフ
わしも荷物係なんぢゃ…一緒に運ぼうぞ!!
いつの間にか…
メイチェンはFF5ワールドへ迷い込んでしまったようだ。
これからの彼の行く末は……
続く 平成16年4月7日(水)
サエ作
も一つ前の小説、 『化身』 * )
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