FINLANDIA

FINLANDIA

PR

×

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

2026年10月
2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月
2014年10月03日
XML
テーマ: 臨戦刀術(92)
カテゴリ: 臨戦刀術



 新兵器、科学兵器というようなものが、
質的量的に、どんな進歩発達したからとて、
それだけで敵を屈伏させ得るものと考えてはいけない。
もちろん、時代遅れの旧式兵器だけで、
これに対抗するという事は、それは無謀千万な話であるが、
双方共に新兵器をもって戦うとしても、
最後の勝敗はやっぱり肉弾戦によって決せられるのである。
 そうした事の横断面を、一段とはっきり見せてくれたのは、
今度の大東亜戦争、大欧州戦争の諸様相である。


 話の糸口は、ちょっと以前にさかのぼる。
先年スペイン内乱当時、サン・セバスチャンにいた邦人記者某氏から、
私の友人に宛てた手紙の中に、
次のような事が書いてあったのを見せてもらった。

  ……西班牙〔スペイン〕人同志の戦争というものを見ていると、
 我々日本人としては、何だかかう腹だたしくさへなって来る。
 昨日、所謂〔いわゆる〕前線なるものを観察して帰って来たのだが、
 歩兵戦なんどというものは、いや歩兵という種類の兵隊などは、
 薬にしたくても見當らない。
 壕を掘る者、バリケードを築く者等々、
 ただ敵から掩蔽〔えんぺい〕された設備、
 即ち防禦施設の築造に徴発されている種類雑多な人々が、
 殆ど身動き出来ない程に密集して動いているのと、
 これも、土嚢其の他の掩體で、完全に遮蔽されている安全な箇所で、
 機関銃や大砲やを、たゞ盲滅法に撃ちまくってゐるだけの戦争でしかない。
 大量な物品消耗戦だ。双方こんな状態だから、
 一進一退まことに遅々たるものであり、
 いつ戦争が果てるなどゝ見當さへまるでつきかねる。

 この手紙の内容から教えられて、
私は、戦争の永遠性と、近代戦争の堕落といったような事実とを、
対蹠〔たいせき・たいしょ〕的にいろいろと考えていた矢先、
柳澤健氏の学芸随筆を見ると、
偶然にも、その事実を書いてあるのにぶつかった。

  ……西班牙内乱の最中も直後も、度々この國を尋ねてゐるが、
 この内亂が、三年にも亙〔わた〕つて、
 一方は獨伊、他方は佛蘇英米の、最新式と稱せらるゝ武器を使用して、
 尚且つ容易に勝敗が決せられなかつた最も主なる理由として、
 双方に於ける人員、殊に歩兵の缺如を擧げてゐるのを、
 興味を以て聴いたことがある。云云。

  ……歩兵のもつ力といふものは、
 取りも直さずその國民の一箇一箇の裸になつた力であらう。
 (中略)戦争で最後の勝敗を決めるのは、
 廣い意味でその國民性といふ事になるかと思ふ。云云。

 スペインの内乱における戦争状態の膠着した原因が、
歩兵の欠如にあったという事実の指摘は、
同時に、我が日本軍のすべては、広い意味での歩兵であることを強く頷かせる。
日本軍の即戦即決的な戦争ぶりは、
日本刀の威力と共に、日本の強さの特色であって、
我が軍にこの歩兵的な特色が失われ、我が軍人が日本刀をもたなくなった時、
即ちそれは日本が亡びる時である。
 日本軍の歩兵的な特色というのは、それは、海戦にも、空中戦にも、
どんな種類の戦争にもあらわれている白兵戦的なものである。
かの藤田東湖の詠じた
「天地正大の氣、粹然〔すいぜん〕として神州に鍾〔あつま〕り、
 發〔ひら〕いては萬朶〔ばんた〕の櫻と咲き、
 凝つては百錬の鐵(日本刀)となった。」
という、正気の歌の精神は、一旦緩急の時、
日本刀を揮って白兵戦場の花と散る武士たる栄誉をあらわしたもので、
この正気の歌のような精神は、日本人には一つの宗教となりきっているのである。
このごろ、部下のある大学で、そこの学生に、
自己の信ずる宗教は何かとたずねたところが、
大半は「無宗教」と書いたといって、悲観している先生があったが、
日本人には、実は愛國心が宗教であり、
その前には何ものをも犠牲としてかえりみないという強さがある。
それが所謂宗教家否かは、自意識的にはわからないから、
無宗教と書いたまでであって、
日本人のこの簡単な愛國宗こそは、形体としては日本刀として現れ、
讃歌としては「海ゆかば」の古歌となり、
窮極して決するところ、白兵突撃の精神となるのであって、
日本軍の前には、いかなる堅塁堅塞といえども、
瞬時にしてこれを陥れざるはなく、
こう着状態などという事のあり得ないのも
この純一無雑の精神がさせるわざである。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014年11月25日 02時06分11秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: