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2014年10月24日
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テーマ: 臨戦刀術(92)
カテゴリ: 臨戦刀術


 このように、現実の日本刀に宿る神性をまざまざと感じながら、
悠久何千年かの神代から伝わるところのもろもろの御神剣に思いをいたすとき、
我々日本人は覚えず襟を正し五体を整えずにはいられないのである。
 日本刀__三種の神器の一である御剣を
御神体として奉祀〔ほうし〕している愛知県の官弊大社熱田神宮は、
新古の日本刀を御神体として御祀りしている大小何百座、
恐らく千をもって数え奉〔たてまつ〕るであろうほど多数にのぼる神社の、
その首座であって、
日本刀としては、最古の出現である伊奘諾尊〔イザナギノミコト〕の御神刀
天の尾羽張という御剣に次ぐ古い御由緒のもので、
日本刀の神性をそのままに歴史に現した尊いご存在である。


 熱田神宮に御祭りしてあるこの草薙剣については、
おそらく日本國民として誰一人知らぬ者のないであろうほどに周知の事実であるが、
この御剣が、太古には、出雲の国鳥上山といった、
今の島根県仁多郡船通山から出現したものである事、
そして、この地は日本でも有数な良質の砂鉄の産地であって、
太古から今日にいたるまで、その鉄をとって精錬し、悠久何千年、
その間、連綿としてその溶鉱炉の火を
絶えず操業しつづけているという事実については、
むしろ知らぬ者の方が多いかも知れぬ。
 天照大神の御弟神素盞鳴尊が、出雲の國鳥上の峰に御降りになって、
そこにはびこっていた八岐〔やまた〕の大蛇〔おろち〕を退治され、
その尾の中から出た天叢雲剣〔あめのむらくものつるぎ〕を、
後に御姉神に献上された。
この御剣が伊勢神宮に奉安されていたものを、後に、
日本武尊が、御伯母倭姫命から拝受され、
御東征の途次賊に囲まれ四方から火をかけられ、すでに危うかった時に、
この御剣をもって枯れ草を薙ぎ、
反対にこちらから火を放って賊を焼き殺したという御由緒から、
「草薙剣」と御名を改めさせられるに至ったものである。
 出雲の簸〔ひ〕の川上に蟠踞〔ばんきょ〕していた八岐の大蛇については、
いろいろな別説があるが、要するにこれは不逞非道な賊徒であって、
ここに産する良鉄をとり、日本刀を鍛えていた鍛冶足名椎、手名椎老夫婦が、
心血をそそいでつくった良刀をその娘たちと共に奪い取っていたのであるが、
素盞鳴尊がこの事を聞かれ、それらの賊徒を誅して最後の娘を救い、
良刀を奪回したのだと、こう解釈している学者がある。
 とにかく、神代すでに優秀な日本刀が日本鉄で鍛えられていた記録
(『古事記』天の安の河原の神州の条にある。)と共に、
当時の実物が御神体となって、現にお祀りしてあるという事は、
その頃支那ではまだ青銅で刀剣を鋳造していた時代だけに、
こうした進んだ鉄器文化をもっていた事の誇るべき金字塔として、
また尊い御存在であると見るべきではなかろうか。
 日本が神代においてすでに立派な鍛鉄工業を有していたという事も、
あまりに知られていないようである。







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Last updated  2014年11月27日 02時53分39秒


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