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カテゴリ: 陽明学



 云う。道を興〔おこ〕す人は君子ならん。
君子は力を以て興廃〔こうハイ〕をなすべからず。
我道おこらば、仏法もむかしにかえりてよくなり、坊主すくなく成るべし。
なげかしき事は、仏者無道にして盛〔さかん〕なれば、
天道乗除の理〔ことわり〕にて、乱世に逢いて大半滅ぶべきか。すくなく成りて又久かるべし。
乱世の亡びはいたましき事多かるべし。しかれども、法は今よりはよかるべし。

 問う。儒法には年に一度〔いちど〕忌日〔きじつ〕(※親の命日)の精進〔しょうじん〕あり。
毎月精進という事は仏法より出〔い〕でたるにや。

 云う。仏法に本はなき事也といえり。
昔は出家の作法よかりし故に、坊主に成る者すくなくて、
年に一度の精進にて僧のとき米〔まい〕(斎米・時米)た(足)れり。
後世は、仏法、渡世に成りて、法すたれ戒やぶれ難行なき故に、
坊主沢山に成りて時米〔ときまい〕足らず。
親の事なれば毎月思い出してよかるべしなどといいて、かくなりたるといえり。
其の死せる時の月日こそ終身の喪〔も〕有るべけれ。
其の時にてもなきに、毎月精進すべき理なし。故に君子は用いず。
しかれども、祭をせざる人は俗にした がって うも 可也。

 問う。一年に一度はおろそかなりといえる者あり、いかむ。

 云う。忌日は終身の喪とて、親死したる其の月其の日は、
終り(※臨終)にあえるがごとくおもうなり。四時の祭りは吉礼なり。
孝子の心に親を死せりとせず、い(生)ける時もてなすがごとし。
しかれども、神としてまつれば、潔斎〔けっさい〕して我が身をも神明にする道理なり。
神はしばしばすれば、けがるる事あれば、むかしは潔斎して祭る事は春・秋と忌日の三度なり。
後世四時に成りて五度となれり。
其の外五節句、朔望〔さくぼう〕の拝にては備えて祭らずとて潔斎はせず。
ただ生ける時親の所へ礼に行くに同じ。
或いは君のたま物、或いは遠来の珍物、或いは初物〔はつもの〕等を備え、
他行のいとまごい、帰りて又告ぐるごとき事は、子の心入れ次第にて数なかるべし。
年に一度の忌日の外は皆吉礼也。是〔これ〕神道の義也。
毎月忌日なれば時ならず。吉凶相まじわりて、神道をけがすに近し。
礼にあらず。故に君子は用いず。
生けるにはつかうるに礼を以てし、死せるにもつかうるに礼を以てする義也。

 問う。貴老、出家にとき米つかわし給う事は、何ぞや。

 云う。坊主は在家〔ざいけ〕を頼りて居〔お〕る者なり。家々より養わずして何とすべきや。





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Last updated  2021年03月26日 07時53分23秒


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