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2016年08月01日
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カテゴリ: 羅刹
 月を見上げていた兵藤太は俄(にわ)かに視線を下ろし、自分の拳(こぶし)を強く握り締めた。

「いや、そうではない。私はただ単に勇気がなかっただけだ。世の非難を浴び、厳罰を受けてこの命を絶たれるかもしれないとしても、それを甘んじて受ける勇気さえあれば、あのお方を背負って逃げることができたのかもしれない。あの道雅のように」

 月光のせいなのか、それとも心の苦しみのせいなのか、兵藤太の頬は青白くなり、小刻みに震えている。

「でも、私はそうできなかった。そして、自分の苦しみに酔い、ただ漫然とそれに浸っているうちに、時を失った」

 兵藤太は能季の方を見ない。

 能季はようやく、自分が兵藤太に心ならずも与えてきた苦悩に気づいた。

「母の元に、私の父が通うようになったと」

「どれほど後悔しても、頼宗様ほどのお方が通って来られるようになっては、もうどうしようもありませぬ。私はただ忠実な家臣として、あの方に仕え続けることしかできなかった。でも、それがどれほど辛かったか。それでも、私はあの方のお側を離れることなどできなかった」


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最終更新日  2016年08月01日 13時02分49秒
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