2005年08月15日
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テーマ: 愛しき人へ(901)
カテゴリ: カテゴリ未分類










暗い闇の底で、カサコソと物の動く音がしました。

目連さんは、気味悪かったのですが、思い切って尋ねました。



「お母さん・・・・・・ですか?」



その物音は近寄ってきて言うのです。



「食べるもの!飲むもの!何でもいい、おくれ、私にすぐおくれ」



「はい、ただいま・・・・・」




少しずつ闇に慣れた目の前に、黒く細い、殆ど骨だけの手が差し出されました。

そして、糸のように細くなった首の上に耳まで裂けた口、そそけた髪、落ちくぼんでギラギラしている耳がありました。



もどかしく苦しくて叫ぶお母さんには、それらは皆、メラメラと炎をあげて燃える物になっていたのです。

目連さんは茫然としながら涙を流し、そんなお母さんを見つめるだけでした。





目連さんは、お釈迦様のお弟子の中で神通第一と言われるお方です。

その神通の力は、六道世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の各界)

の出来事をくまなく見通すことが出来ました。

長い間、仏道修行で齢を重ねてきた目連さんが、ふと、亡くなったお母さんを懐かしく思い

「きっと、天上界か人間界で幸せに過ごしておいでのはず・・・」と考えて、その自在な神通の力で探してみました。

だが、やっと見つけた母の姿は、それらの世界にはなかったのでした。

そして、母を確かめに目連さんは供物を用意し、飢餓の世界へ行ったのです。





「どうして母は、あのような姿で、あの世界で苦しむことになったのでしょうか?

 どうか、どうぞ、お教え下さい・・・・・」







「そなたの母は、この世で犯した慳貪の科(けんどんのとが)と言う罪のため、

あの餓鬼の世界で苦しんでおいでなのだよ、慳貪は物を惜しみ、むさぼり、欲が深いことだが

我が子のために、その摘みに陥る母親は目連の母だけではない。

我が子に与えるためにむさぼり、惜しみ、他人の子が我が子より賢ければ、あるいは

美しければ、それを呪い、それに嫉妬する多くの母がある、気が付かなかったろうか。



それらは全て同じ罪を背負った母親の姿なのだよ・・・・・」




目連さんは、言葉もなくうなだれていました。

(私のせいで母があのような姿になって・・・・・

 私が神通第一と言われても私は母の罪と、その報いを消すことは出来ないのだ)



そんな思いが頭の中をぐるぐる廻っていました。

目連さんは、改めてお釈迦様の前にひれ伏してお願いしました。




「どうぞ、わたくしに、あの母を救う手だてをお教え下さい。

 あの母の姿を見ながら、わたくしは母を救うことは出来ませんでした」




「目連よ、そなたの母は、この世で富貴の家にありながら施すことも出来ず

 他人の善い行いを見ても、それを誉めることもせず、悪い行いを見ても

 注意するような勇気もなく、狭い自分中心の生活を送り、生涯を終わってしまった。

 それを省み、それをとがめる事が出来るのは自分だけなのだ。

 そして、それに相応しい報いを受け取るのも自分なのだ。

 目連が、どんなに母を思う気持ちが強くとも、母の罪と、その報いを消すことは出来ない。

 だが目連よ、ここに一つの救いの道がある」



お釈迦様は、そう仰って次のように目連さんにお教え下さったのです。




「毎年。7月15日は、多くの徳高い僧が集まり、自らの罪の消滅を祈り、さらに

 あらゆる人々の罪の消滅を祈る日になっている。

 その日だけは、天上界の神々も僧達の願いを入れ人々の罪も報いも消滅されるのだ

 その徳高い僧達に供養すれば、その功徳は七代遡った父母の一族を救う力となるのだと言われる。

 目連よ、まもなく、その7月15日が来る、供養して母の罪障の消滅を祈ってごらん」




このお釈迦様の教えは、目連さんには、例えようもなく嬉しい事でした。

早速、7月15日に供養の品々を添え、亡き母の罪障の消滅をお願いしたのです。

後日、目連さんが神通の力で母を探してみると、ありがたいことに天上界で仏様に

教えを受けているお母さんの姿が見つかったのです。




「子供達と一緒に読みたい仏教むかしばなし」より・・・









私も、今朝、母が天上界にいることを願い、お供えをいたしました。チロル。。






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Last updated  2005年08月15日 13時37分16秒


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