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テリー・ギリアム監督アンソロジーR1
テリー・ギリアム監督の映画は「
未来世紀ブラジル
」しか観ていないが・・・・
監督自身が「ブレードランナー」を意識していると言っているように、リドリー・スコット監督にとって強烈なライバルが現れたことになるのかも?
・・・ということで、ギリアム監督関連の作品を集めてみます。
・『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』を観たい
・ギリアム監督の絵コンテがええでぇ♪
・『テリー・ギリアム映像大全』2
・ジャヴァウォックの詩
R1:『テリー・ギリアムのドン・キホーテを観たい』を追記
<『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』を観たい>
新聞に映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』の広告が出ているので、心騒ぐ大使であった。(1月24日より公開とのこと)
「映画を作ること自体がファンにとっては事件。妙なタイミングで、妙な映画を作るという事件性が、不思議なことにいつもある」と爆笑問題の太田が言っているように、期待できそうでおます♪
ということで、以下のとおり、個人的予告を作ったのです。
これだけ準備して、劇場に足を運ぶことになったのです。。
【テリー・ギリアムのドン・キホーテ】
テリー・ギリアム監督、スペイン=ベルギー=フランス=イギリス=ポルトガル2018年制作、
<movie.walker解説>より
『12モンキーズ』『Dr.パルナサスの鏡』などの異才テリー・ギリアムが、30年もの時を費やし、スペインの傑作古典小説「ドン・キホーテ」を映画化。出演に、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のアダム・ドライバー、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジョナサン・プライス、『007 慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコら。第71回カンヌ国際映画祭のクロージング作品。
<見る前の大使寸評>
「映画を作ること自体がファンにとっては事件。妙なタイミングで、妙な映画を作るという事件性が、不思議なことにいつもある」と爆笑問題の太田が言っているように、期待できそうでおます♪
movie.walker
テリー・ギリアムのドン・キホーテ
公式サイトを覗いてみました。
公式サイト
:ギリアム監督挨拶より
この企画にあまりにも長く関わってきたので、 完成する日は一生来ないのではないかと思っていました。
「ドン・キホーテ」の映画化に取り掛かったのは、1989年のことでした。当初から多くの障害があったものの、私はワクワクしていました。作者ミゲル・デ・セルバンテスの死後400年が経ち、このプロジェクトがやっと製作にこぎつけたのです。
分別のある人なら何年も前に止めていたでしょう。でも、最後は夢を諦めない者が勝つのです! この積年の願いを実現するために、大したお金にもならないのに、私を信じ、私に付き合ってくださった夢想家の皆さま全員にお礼を言いたいと思います。
スペインとポルトガルで、私の夢に現れた風景を見つけることができたおかげで、ようやく現代の観客に、この憂い顔の騎士の物語を贈ることができます。
本当に楽しめる映画が完成しました!
**********************************************************************
<ギリアム監督の絵コンテがええでぇ♪>
大型連休にそなえて大学図書館で借りた「テリー・ギリアム映像大全」という本ですが・・・・
ええでぇ♪
【テリー・ギリアム映像大全】
ボブ・マッケイブ著、河出書房新社、1999年刊
<「BOOK」データベースより>
「モンティ・パイソン」から「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」、そして最新作まで、テリー・ギリアムのすべて。ギリアムの全面協力により、詳細な「初公開資料プラスロングインタビュー」を満載。
<大使寸評>
アカデミー賞に相手にされないギリアム監督ではあるが・・・・・
ぶっ飛んだお話や、玄人はだしの絵コンテがええでぇ♪
「映画を作ること自体がファンにとっては事件。妙なタイミングで、妙な映画を作るという事件性が、不思議なことにいつもある」と爆笑問題の太田が言っています。
Amazon
テリー・ギリアム映像大全
リドリー・スコット監督の絵画的センスもいいのだが、絵コンテ自体が絵本の絵のようなテリー・ギリアム監督は別格ではないでしょうか♪
やっぱり上手い!鬼才テリー・ギリアムの直筆絵コンテ公開
より
独自の映像を生み出すギリアム監督の絵コンテは、非常に明確で美しい。ラフなものから色付けされた緻密なものまで多種多様。アニメーターの仕事をやっていただけあり、確かな画力が作品世界を物語っている。
**********************************************************************
<『テリー・ギリアム映像大全』2>
ギリアム監督の絵コンテがええでぇ♪
ということで・・・
『
テリー・ギリアム映像大全
』を読み進めています。
大使の場合、やはり映像美術という見方になりますが、そのエッセンスを紹介します。
ジャバーウォッキーという竜のような怪物が、ギリアムを魅了したようです。
<ジャバーウォッキー>
p61~67より
それは映画作家ギリアムの頭の中をぐるぐるとめまぐるしく駆けめぐるある詩句にインスパイアされた作品だった。
駄馬魚鬼に気を付けよ、吾子!
噛みつく顎、掴みくる爪!
邪武邪舞の鳥に気を付け、
たけりまく蛮駝支那魑に近寄るな!
(ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』高山宏訳)
ルイス・キャロルによる1872年のこの詩の大部分はナンセンスの最良の見本だ。操作された言語の韻をふんだコラージュはパイソンの一員ならば歓び勇んでとびつく類のものだろう。テリー・ギリアムにとってはそれは映画の素だった。「この詩と、それから『ホーリーグレイル』のために思いついて使わなかったいろんなアイディアとがあったんだ」とギリアムは映画の起源を振返る。「直線的なアプローチというものは僕には一切ないんで。この詩は基本的にナンセンス、意味をなさないものだけど響きがとても好きだ。きまぐれで音楽的でシュールレアルで、僕の中にあるものを魔法で呼び出してくれる、単に映像的なものだけでなくてね。とにかくぴたりとくるんだな」
(中略)
周囲の人々の中には、それまでの10年間にわずか2本しか作られていない中世コメディに手を出すことでギリアムが意図的に自らを転落の道へと追い込んでいるように見る者もあったかもしれない。が、彼にとってそれは子供の頃から憧れ続けた世界であり、60年代、今やその故郷とみなす地、欧州への旅に彼を駆り立てた情熱の源でもあった。「要は大人になれないってことじゃないかな?」と監督は笑う。「騎士、お城、お姫さま、そして竜、退治しなけりゃいけないもの、続けられるべき探求の旅――これが基本的ジョセフ・キャンベルの世界。いつもこの世界が好きだった。中世の絵画も好きだし、当時の人々の想像力の働かせ方も好きだね。そこには奇妙な力をもつ者や悪魔たちが棲んでいる、そういう類の現実性、直写性、具象性をもつ想像力。とにかく映画を作るならこうしたビジュアルは最高じゃないか」
ギリアム監督が『ブレードランナー』やシド・ミードのデザインに対する反動を語っているけど・・・・このあたりが大使のツボを突くわけです。
<未来世紀ブラジル>
p109~116より
テリー・ギリアムがロンドンに住んでいるのは好ましいことだ。無論、必ずしもロンドンである必要はない――どこでもいいのだ。ただハリウッドから離れているべきだと、賢明にも彼は心得ている。あの映画産業都市との関わりが意図せずその機構のばかばかしさを露出させていく以上、彼には距離が必用だ。良かれ悪しかれ映画を取り巻く物語は映画の描く物語を常に反映し、増幅させる――とのギリアム自身の考えが『モンティ・パイソン人生狂騒曲』につづく2本の映画ほど的を射ていたことはない。
『未来世紀ブラジル』そして『バロン』はともに銀幕上でも舞台裏のできごととしても現代映画界に大きな影響を残した2本となっている。前者は存在に報復する機構によってのっぴきならない状況においこまれ、抹殺される人間の物語で、システムに対するギリアムの批評となっている。2本目はほとばしる妄想が廃頽的蕩尽をめぐる現代メディアの話へと変る様を示した。細部を検討してみれば『バロン』は力強い作家の理論を空しいものとして、壮大な失敗としての生産過程をめぐるほとんど悲喜劇的な光景となってしまっている。一方『未来世紀ブラジル』は組織に対するひとりの人間の胸おどる英雄譚となっている。あるいは怪物ジャバーウォッキー(=ユニバーサル映画社)はデニス(=テリー・ギリアム)によって退治されたということもできるかもしれない。もっとも皮肉なことに『未来世紀ブラジル』の究極的な成果は、管理機構を変えたことではなく、それを宣伝したことにあった。
『未来世紀ブラジル』をめぐる闘争は意外にも映画会社の側を魅力ある存在とするのを助けた。かって観客は入場券の値段ならば知っているという程度のものだったが、今や彼らの多くが暗闇でポップコーン片手にみる映画の制作費やタレントの出演料まで心得ている。かりに『スター・ウォーズ』が現代映画界の景色を変えたとすれば『未来世紀ブラジル』はその事務処理を一変させた。
(中略)
「1940年代にアメリカで育った人間にとって、リオに逃げる、南アメリカに逃げるというのは、人にできるもっともロマンティックなことみたいな感覚があったんでさ。あの歌が僕にぐっときいたのはそのせいなんだ。要は逃避行ってことなんだな」監督は後にその映画を“ハムステッド初の1500万ドル級市民映画”と銘打ったもした。これは関係者の多くがロンドン北部の地にほとんど隣接して住んでいたことにちなんでのことだった。
(中略)
ジョージ・オーウェルの『1984年』の影響はきわめて明らかとみえる。「でも『1984年』を読んだことはないんだ」といささか誇らしげにギリアムはいう。「ただある種の著作が僕をひきつけるのは、読んでなくてもわかってしまえるって点なんだよね。そのくらい原型的なイメージだってことだろうな」影響としてはオーウェルよりもフランツ・カフカだとギリアムは強調し、“虹を掴む男ウォルター・ミティとカフカが出会った映画”と評してもいる。後に彼は記者の助言にしたがって「フランク・カプラとカフカが出会った映画」とこれを修正した。
(中略)
『未来世紀ブラジル』の撮影は1983年11月に開始された。3ヶ月にわたるロケがパリの巨大なポスト・モダン様式のアパート地区マルヌ・ラ・ヴァレで行われ、その冷ややかな街路と小奇麗なデザインはサムのアパートの基調を提供した。『未来世紀ブラジル』の多くの視覚的様式はギリアムのぬけめないロケ地選択に負っていた。なかには当時、未開発のロンドン港湾地区もふくまれ、そこにある廃棄された発電所の冷却塔は、サムの究極の家となる拷問室のロケ地を監督に与えている。映画の主要なセットはロンドンのウェムブリーにあるリー・インターナショナル・スタジオに組まれ、懐かしのLWT撮影所は『笑わせ方心得てます』でギリアムが最初にテレビの仕事に手を染めた地でもあった。
プロダクション・デザインのノーマン・ガーウッド、特殊効果監修ジョージ・ギブス、そして美術監督ジョン・ベアードとの密接な作業をとおしてギリアムは『未来世紀ブラジル』の独特の世界を造りだしていった。それは過去に根ざしたありうべき未来の様相、あるいはギリアムが時に用いる表現をかりれば“現在のB面”だった。『未来世紀ブラジル』のデザインに、そして実は映画全体にも大きな影響を与えた1本がリドリー・スコット監督作『ブレードランナー』だった。
「テクノロジーを創出しようとしてたんだよね」とギリアムは述懐する。「そういうことが多すぎるとは思うんだけど、これもまた何かへの反動なんだ。つまりここでは『ブレードランナー』への反動。『ブレードランナー』は本当に僕をわくわくさせたけど、それからがっかりもさせたんでね。これに対する反動ってわけ。あの映画ではミド・シードにすべてのデザインをさせた。それで突如、大作にはどれもデザイナー、デザイナー、デザイナーって感じになってしまった。
1日の文字数制限で一部削除しましたが、全文は「
ここ
」に入れておきます。
コマーシャルフィルムで糧を得ていたリドリー・スコット監督はエドワード・ホッパーの絵を意識しているそうだが、一方、漫画、アニメーションからスタートしたテリー・ギリアム監督はブリューゲルやボッシュの絵を意識しているそうです。
おふたりの映画作品にその好みがなんとなく表れているように思います。
田舎の子を自認しているギリアム監督はもしかして、都会的なものにコンプレックスがあるのかもしれないが・・・・『ブレードランナー』を賞賛しつつも、そのコンセプト重視の映像美に「反動」して、コラージュ手法を駆使した未来のITマシーンを創造したりしています。
・・・・ええ味出てるでぇ♪(笑)
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<ジャヴァウォックの詩>
「テリー・ギリアム映像大全」という本にジャバー・ウォッキーの詩と絵が載っているんですが・・・
若きテリー・ギリアム監督はジャバー・ウォッキーの詩にインスパイアされたそうです。
ジョン・テニエルによるジャバウォック
それは映画作家ギリアムの頭の中をぐるぐるとめまぐるしく駆けめぐるある詩句にインスパイアされた作品だった。
駄馬魚鬼に気を付けよ、吾子!
噛みつく顎、掴みくる爪!
邪武邪舞の鳥に気を付け、
たけりまく蛮駝支那魑に近寄るな!
(ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』高山宏訳)
このジャバー・ウォッキーの絵にインスパイアされた大使は、この絵のいきさつをネットで検索したのですが・・・
次のエントリーがヒットしたので、引用します。
なぞらえ屋さんの
ちょっと横道(?)。ジャヴァウォックの詩
より
鏡の国のアリスを読まれた方はお気づきと思いますが、このジャヴァウォックという怪物は、本編に出てくるわけではありません。
七月先生のお話では、テニエルの挿絵のジャヴァウォックの絵が実は鏡の国のアリスの表紙になる予定だったそうで、でもあまりに恐ろしいので、取りやめになったとか。
この絵で、アリスらしき人物が果敢にも、この恐ろしい怪物に剣を振りかざすところが描かれていますが、本編ではこんな描写はないのです。
ジャヴァウォックの詩という、難解な詞を、ハンプティ・ダンプティがアリスに問答するというやり取りは書かれていますが、実際アリスはこの怪物に会ったわけではありません。
でも、ちょっと変だよねと七月先生と有里。
他の挿絵は、ちゃんと本編からの内容を拾っているのに、この絵だけどこにも描写がない。
「ジャヴァウォックは、こちらの世界でのある意味死の象徴のようなものだと思うんですよ」と七月先生。
人間の女の子であるアリスも、こちらの世界では伝説の生き物として、珍しがられます。
老ライオンとユニコーンに「ホントに人間の女の子がいるなんて」的な驚かれ方をするアリス。
でも、『お前が俺の存在を信じるなら、俺はお前の存在を信じる』という、あの言葉が出てきます。
異界で異端の存在であるからこそ、死の影(ジャヴァウォック)と戦うことが出来たのではないのか、と。
なかなか深いなぁと思いました。
wikipedia
『鏡の国のアリス』
より
ガイ・フォークス(イギリスの祭日)の前の寒い日にアリスは暖炉の前で子猫と遊んでいました。いつものように子猫と空想遊びをしていたアリスは暖炉の上に掛けられた大きな鏡が通り抜けられるような気がしたかと思うと次の瞬間には鏡を通り抜けて向こう側の世界に抜け出ていました。アリスはそこで「ジャバウォックの詩」という、鏡に映さないと読めない鏡文字の本を見つけます。鏡の中の家を出て、庭に入ったアリスは、おしゃべりをする花たちに、花と間違えられてしまいます。さらに、その庭でアリスが出会った赤の女王様は、アリスがチェスの試合で8番目の列まで動けば、アリスを女王にしてあげようと持ちかけます・・・・・・
wikipedia
『ジャバウォックの詩』
より
文中に出てくる単語の多くは、キャロルによって創作されたかばん語である・・・とのこと。
夕火の刻、粘滑なるトーヴ
遥場にありて回儀い錐穿つ。
総て弱ぼらしきはボロゴーヴ、
かくて郷遠しラースのうずめき叫ばん。
『我が息子よ、ジャバウォックに用心あれ!
喰らいつく顎、引き掴む鈎爪!
ジャブジャブ鳥にも心配るべし、そして努(ゆめ)
燻り狂えるバンダースナッチの傍に寄るべからず!』
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