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日本の樹木
<日本の樹木>
図書館で『日本の樹木』という本を手にしたが・・・・
カラー写真が多くてビジュアルはグー、挿入されたエピソードも植生や歴史などの薀蓄に溢れていて・・・
ええでぇ♪
【日本の樹木】
舘野正樹著、筑摩書房、2014年刊
<「BOOK」データベース>より
本書では、あらためて木の美しさと不思議さを再発見してもらうために、基礎生物学から生態学までをふまえ、ヒノキ、ブナ、ケヤキなど代表的な26種について進化の秘密を紹介します。自然環境のなかで成長した本来の樹形を写したカラー写真をとおして、緑樹の影のしたたかな生き残り戦略について楽しく学びます。
<読む前の大使寸評>
カラー写真が多くてビジュアルはグー、挿入されたエピソードも植生や歴史などの薀蓄に溢れていて・・・
ええでぇ♪
rakuten
日本の樹木
樹木には「寿命の戦略」があるんだそうです・・・
冒頭のプロローグより紹介します♪
p6~8
<樹木の適応戦略>
日本だけを見ても、樹木の種類は千近くにもなる。これらをすべて覚えることは難しい。しかし、樹木の生き方はそれほど多くはない。生き方を知れば、ある特徴をもつ種の適応の仕方はほぼ間違いなく推定できる。
筆者は、樹木の生き方を類型化するための一つの指標は「寿命の戦略」だと考えている。ここでの寿命とは、地滑りなどの物理的撹乱によって決まるものとしよう。
1.常緑高木は長い寿命が期待される場合の戦略
たとえば200年以上の寿命が期待できるものとしよう。安定した平原や緩やかな尾根などがこうした場所だ。この期間を生き続けるためには、幹や根が丈夫でなければならない。この場合の丈夫さとは、菌類や細菌類の攻撃に耐えられることを指す。
そのためには幹や根の体積あたりの密度を高くすることが効果的だ。このような性質は成長速度の低下をもたらす。その場合、成長の初期にはより成長の速い樹木に負けてしまい、暗い林床で成長することを余儀なくさせられる。
暗い林床での成長には、一年中葉をつける常緑という性質が効果的だ。常緑高木は暗い林床で成長を続け、長い寿命の間に巨大な植物体を作る戦略である。
【大使:屋久杉や楠なんかが該当するんだろう】
2.落葉高木はもう少し寿命が短い場合の戦略
50年から200年の寿命が期待できるとしよう。この期間を生き抜くために必要な幹や根の体積密度は、常緑高木ほど大きくなくてもよい。密度を下げると成長速度を大きくすることが可能だ。
常緑高木よりも成長速度が大きいのならば、常に明るい環境で光合成ができる。明るい環境で効果的に光合成を行うには、常緑葉よりも薄く、しかし寿命の短い落葉性の葉が効果的だ。
落葉高木は、明るい環境で速い成長を続け、比較的短期間に大きな植物体を作る戦略である。
【大使:比較的北国のカツラ、ブナなんかが該当するんだろう】
3.中低木はずっと寿命が短い場合の戦略
50年以下の寿命しか期待できない環境もある。たとえば河川敷などであり、時々おきる大洪水によって植物は根こそぎ流されてしまう。短い寿命しか期待できないのならば、幹や根の体積密度はさらに小さくてよく、中空にできればさらに成長速度を上げることができる。
当然明るい環境が期待できるので、葉は基本的に落葉性だ。成長は速いのだが、植物体が大きくなる前に寿命が尽きるため、植物体が小さなうちから花を咲かせ、実をつけることになる。
明るい環境で非常に速い成長を行い、短期間のうちに子孫を残す戦略である。
【大使:柳やウツギ類なんかが該当するんだろう】
この本には26種の樹木が載っているが、そのうちのケヤキとクスノキを紹介します。
p64~67
<ケヤキ>
ケヤキは落葉樹の中で、唯一構造材(柱)にまで使われる。とにかく木目が美しい。川崎の日本民家園には総ケヤキ造りの家があるのだが、今造ったら何億かかるかわからないほどの豪邸だ。
ケヤキ作りの家は買えないが、もう少し小物ならば何とかなる。筆者はケヤキでできた臼を買った。これは二代目である。
初代は亡き母親が結婚した頃に入手したということなので、80年ほど使ったらしい。初代があまりにみすぼらしくなったので、最近二代目に買い換えたというわけだ。
(中略)
筆者は子供の頃から植物を育てるのが好きだったのだが、稚樹から高木になるまで世話をしたのはブナとケヤキ、そしてシラカバだけである。ケヤキは中学の友人の家から貧弱な苗を抜いてきて植えたものだ。このケヤキだが、秋になると赤く色づくので、造園業者から売ってほしいといわれたことがある。
結構良い値がついたのだが、思い入れのある木なので、丁重にお断りすることにした。その後、隣家に迷惑がかかるほど大きくなってしまい、町の公園に寄付することになった。時々見に行くとさらに大きくなっていて、何だか誇らしい。
筆者のケヤキは紅葉が売りなのだが、一般には木目の美しさがケヤキの最大の特長だ。ケヤキの木目をよく見ると、結構太い穴が見える。これは水を通す道管だ。ケヤキのように太い道管がまとまって存在しているものを管孔材とよぶ。肥大成長をはじめる春先に道管ができ、その後は細い道管や繊維ができる。この太い道管の部分が美しい木目を作っている。他に、ミズナラなども管孔材を作る。
樹種によっては木目が見えない。これは細めの道管が一面に分布しているためだ。散孔材といい、ブナやカエデなどが散孔材を作る。
(中略)
ケヤキは街路樹などによく使われるため、町中でよくみることのできる樹種である。しかし、自生しているケヤキを見る機会は少ない。筆者の場合、自生しているケヤキに初めて会ったのは、学生時代、谷川岳の山麓でのことだった。おそらく、自生のケヤキはその有用性ゆえに伐採され、ほとんどが失われてしまったのだろう。
トトロ
p42~44
<クスノキ>
アニメ映画の「となりのトトロ」には巨大な常緑広葉樹が登場する。これがクスノキだ。アメリカで見た英語版のトトロでは、中心人物のサツキちゃんが「カンファーツリー」と叫んでいた。カンファーはカンフル(樟脳)のことであり、クスノキの英語名である。そう、クスノキはカンフル剤の成分であるカンフルを含む樹種なのである。
カンフルのように、すべての生物に必須というわけではない有機物を二次代謝産物という。植物の二次代謝産物の多くは被食防御のために作り出されており、おそらくカンフルも例外ではない。
植物の被食防御には主に三つの方法がある。一つ目はスダジイのところで述べたようにタンニンを使う方法だ。消化の阻害を目的としている。二つ目はカンフルのような物質を使う方法であり、これは毒を使うやり方である。
植物の毒素にはアルカロイドと呼ばれるものが多いが、これは二次代謝産物のうちでアルカリ性を示す物質の総称である。
そして三つ目は、物理的な硬さを使う方法である。葉寿命の長い常緑樹は厚くて硬い葉をもつのだが、この意義の一つは「虫の歯が立たない」ようにすることだ。多くの常緑樹の葉では、これら三つの方法をすべて採用している。常緑樹の葉を見たら、手で触り、噛んでみよう。硬く、渋く、苦いことに気づくはずだ。苦いのが毒の味である。人間は有毒なものを苦いと感じるようにできている。
日本の樹木2
では、スギ、イチョウ、キリを取り上げます。
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