「何をそんなに緊張してるんですか?」
「何って、睡魔ですよ睡魔!」
「あぁ、夜中の間は全然眠れないからですか?」
「いや、一応仮眠をとるようにって言われてます」
「なら良いじゃないですか」
「仮眠で済む気がしません」
「なるほど、確かに…」
「眠気の強さには自信がありますからね」
「自信持っていいところでは無いですけどね…。 でも、何も最初から一人でやるわけではないですし」
「そうですね。 一応初めのうちは先輩がついててくれるんで、そこは安心ですけど…。 まぁ頑張りましょう!」
「その意気です!」
「そうそう、そう言えば…話題は変わりますが、もう3月じゃないですか」
「そうですね。 これの下書き書いてる間に3月になってますね」
「3月と言えば雛祭りということで、うちの施設でも最近は雛祭りに関したレクとかやってるんですよ」
「例えば?」
「折り紙でお雛様折って飾ったり」
「なるほど」

「な、何を作ったんですか…?」
「雛人形だけに、『秘神流し雛』を作ってみました。 即興なので作りが雑だし、うろ覚えだから何かが変ですが…」
「鍵山さんですね。 …おばあちゃん方判らないでしょう」
「ところがどっこい! その鍵山さん…雛人形を大変気に入ってくれたおばあちゃんがいましてですね、『とっても素敵ね~! 是非持って帰りたいわ~』って言われまして」
「差し上げちゃったんですか?」
「えぇ、まぁ。 因みに今は部屋に飾ってあるとのことです。 後になって何か恥ずかしい…」
「一応厄は吸い取ってくれるんじゃないでしょうか?」
「だと良いですね」
「でも、デイサービスのスタッフって結構自由なんですね」
「まぁウチはアットホームな小規模施設なんで、案外色んな事できます」
「そうなんですか」
「さて、時間が無いので今日はこの辺にしておきましょうか」
「ではまた来週です」