「…というのはどういうことなのだ紅狐?」
「…何故何も反応しないのだ!?」
「君が眼鏡に向かって話してるからですよ!」
「うぉ!? よく見たら眼鏡だけだった!?」
「…本気で言ってたら泣きますよ」
「じょーだん、じょーだん」
「・・・」
「それはさておき、何故ここにもそこにも眼鏡が?」
「話しかけてたのがいつも使ってるもので、今かけてるのが運転用のです」
「へぇ、これって形状記憶何とかってヤツか?」
「ぐにゃぐにゃしますよ」
「ほぉ、ホントだ~。 ぐにゃぐにゃするのだ~」
「…!?」
「あ、レンズ外れた」
「に゛ゃーーー!!壊れたーーー!?!?!?」
「あぁ、それは…」
「あわわわっ! えーと!えーと! 何かその! ゴメン!」

「・・・?」
「昨日、介護中に叩き落とされたとき、外れちゃって」
「何の仕事をしてるのだ…」
「だから介護」
「介護業界怖ぇ~…」
「あと、こっちが噛み傷、こっちは引っ掻き傷、そっちは…」
「もう良いよー!」
「因みにそのレンズは元々外れやすいんで大丈夫ですよ。 明日眼鏡屋さん持っていきます」
「いや、そっちの心配では…」
「今度は落されないように気を付けよう」
「…そ、そだね」