MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「十三夜の面影」9








顔を見合わせて、うちで夕食とってると、

まるで新婚みたいだよな。

かぐや姫が来てくれてから、

僕は急いで帰ってくるようになった。

それなのに、そんな店で働くなんて。

「やっぱり、仕事やめたら。」

箸をとめて、真剣に話す。

「やめないわよ。」

食べながら、淡々と言う。

「じゃあ、今日僕が同伴で行って、

確かめてやるよ。どんな店だか。」

反対してもムキになるから、

譲歩して言ったのに、

「いいけど、やめたほうがいいと言っても、

言うことは聞かないわよ。

私自身のことなんだから。」

毅然とした態度で、つけ入る隙がない。

まったく生意気だよな。

「分かったよ。

でもとにかく行くからな。」

「どうぞ、ご勝手に。」

なんかどんどん可愛げなくなってくなあ。

どうしたっていうんだ。

「勝手にするよ。」

こっちもつんけんしてしまう。

こんなはずじゃなかったのに。

やっぱりその仕事がいけないんだ。

しばらく沈黙で食事を済ます。

彼女は黄色のワンピースに着替え、

出かける用意をしている。

「そのワンピースは着ていって欲しくないな。」

「なぜ?これが一番似合うのに。」

「だからこそ、他の男に見せたくない。」

「焼餅やいてるの?大丈夫よ。

あなたは特別だから。」

「どう特別なんだい?」

「あなたのために地球に来たのよ。」

「だったらなんで、そんな店で働こうとするんだ。」

「仕方ないのよ。あなたには分からない。」

急にしおらしくなる。

「お金だったら、なんとかなるんだから。」

「そういうことじゃないの。」

考え込むようにうなだれるから、

それ以上聞けなくなってしまった。

「とにかく早く行きましょう。

開店時間に間に合わなくなるわ。」

腕をとられて、席を立つ。

続き










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