MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「心の声」2


ここ をクリックすると、動画と詩が見られます。




「雪の二人」
をクリックすると、作詞作曲した曲が聞けます。



心の声は相変わらず聞こえるけれど、

なるべくガードして聞かないようにしている。

それでも彼の声だけは、はっきりと聞こえるのはなぜだろう。

お互いに惹かれあう気持ちがそうしているのかしら。

言葉を口にする必要はない。

でも、話す訓練のために、

少しずつ口にするようにした。

うちを飛び出したまま、

彼のアパートに転がり込んだ。

父は探しには来ないだろう。

厄介払いが出来たと思ってるかもしれない。

義理の母や兄弟達なら尚更だろう。

私も彼の工場で働かせてもらうことにした。

流れ作業を無言でする仕事なら、なんとか出来る。

なにより彼の心の声が聞こえる距離に居られるのが嬉しい。

うるさい工場内でも、心の声なら聞こえるしね。

「今日の夕食何がいい?」

なんて会話も出来て、新婚みたいだ。

二人で働いても、生活はギリギリだったけど、

一緒に居られるだけで幸せだった。

その幸せも長くは続かなかった。

いきなり、知らない男達がアパートに押しかけ、

研究所に連れて行かれたのだった。

そして、彼とは離れ離れにさせられた。

どれくらいの距離まで、心の声が聞こえるとかの研究だった。

私たちにそんな能力があることを知っているのなら、

なぜ、子どもの頃、発達障害などと言ったのだろう。

そう言われなければ、父も私を捨てることはなかったのに。

でも、かえって、特殊能力者だからこそ、

施設に預けられたのだろうか。

だんだん分からなくなってきた。

彼も両親が死んだと聞かされたらしいが、

それも本当だったのか怪しいものだ。

私たちが施設で二人きりでしか遊ばなくても、

誰も止めるものはいなかったのだ。

疑えば切りがなくなってくる。

彼とは別々に研究材料にされているうち、

私はあることに気が付いた。

子どもを身ごもっていたのだ。

でも、こんなところで産んだら、

この子も研究材料にされてしまうだろう。

なんとかここを逃げ出したい。

彼とは距離があるのか、心の声は聞こえない。

どうしたらいいのだろう・・・。

続き


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