MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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童話「ベラのペンダント」20、21

「ベラのペンダント」1、2

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童話「ベラのペンダント」20

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ベラはユリウスと話して少し気が楽になったとはいえ、

やはりまだ不安が残っていた。

母になんと伝えようか、そればかり考えていた。

父と逢うのは危険だと言って諦めさせた方がいいのか。

そして父である王にも・・・

王妃に殺されたと思っていた母が生きていたこと、

そして殺されかけて記憶喪失になってしまっていたことも。

伝えれば、母に会いたいと言うだろうか。

そうなったら、また母を危険な目に遭わせるかもしれない。

私はそれを望んでいるのか?・・・

考えが堂々巡りになってしまう。

要は二人が逢いたいと思うかどうかだ。私が判断することではない・・・

ともかく言うだけ言ってみよう。言わずに私が抱え込んで悶々とすることはないのだ。

母には一応言ったのだから、今度は父に伝えよう。

妹ロザリーの学友として宮殿に上がった時、父に会えたらいいのだが。

そう思いながらしばらく経ったが、ようやくその時が来た。

父はロザリーにかこつけて、私に会いに来てくれたのだ。

「王様、ロザリー王女のことでご相談があるのですが、お時間をいただけますか?」と言って、

奥の間に二人で入った。

「実は、殺されたと思っていた母が生きていたのです。

でも、崖から落ちて記憶喪失になってしまっているのですが。」とベラは思い切って言った。

「なんだって、ライザが生きてるのか? 良かった。

でも記憶喪失とは可哀想に。私に会っても分からないのだろうか。」

王はそう言うなり考え込んでしまった。

「母は私のこともあまり覚えていません。夢に出てきた娘が私なのではと思ってるようですが。」

言いながらも哀しくなってきてしまう。

「そうか。それでは私のことも覚えていないのだろうなあ。」

淋しげに遠くを見つめる王。

「でも、もしかして会えば思い出すかもしれません。

なぜか、密会していた秘密の裏庭は覚えていたようなのです。」

「そうなのか。ならそこで会えばもっと思い出しやすいかもしれないな。

早速ライザに伝えてくれないか。ぜひ裏庭で会いたいと。」王は喜び勇んで言った。

「それはいい考えですが、危険ではありませんか?

また母が王妃に命を狙われるかもしれません。」

「私がそんなことはさせない。ライザのことは私が守るから心配するな。

もちろん、ベラのこともだ。」と自信ありげな王。

「ありがとうございます。それでは母に伝えますね。」

そう言いながらもベラは不安が消えなかった。

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童話「ベラのペンダント」21

ベラは、母ライザに父の王の言葉を伝えた。

「昔逢っていた秘密の裏庭で逢いたい」と。

不安を覚えながらも伝えてからは自分の手を離れたように感じた。

「本当に王様がそう言ったの?」と母は顔を赤らめた。

王のことは覚えてるのだろうか。娘の私のことは忘れたのに・・・

「王様のことは分かるの?」

つい言ってしまった・・・

「あまりよく覚えてはいないのだけど、

夢で見た秘密の裏庭の人影が王様だと思うわ。」

「私のことは?」思わず聞いてしまう。

「ベラのことも夢に見たの。だから娘が居るんじゃないかと思ったのよ。」

母は悪びれずに言う。少しは済まなそうにしてよ・・・

「そうなの。お母さんの夢は正夢なのね。」

「そうかもしれないわ。だからこうして会えたのよね。」と明るく笑う。

私は嫌味を言ったつもりだが、母には通じないらしい。

そんな自分が嫌になってしまう。

「ともかく明日、秘密の裏庭に一緒に行きましょう。

王様が待ってるから。」

「嬉しいわ。何を着て行けばいいかしら?」とうきうきしてる母。

それをなぜか他人事のように見てしまう・・・

自分の両親とはいえ、長く離れていたせいか、あまり実感が湧かない。

というか、自分だけ二人から取り残されたような気さえしてしまう。

せっかく会えた父と母なのにね。

なんでこんなに喜べないんだろう。

母が王妃にまた命を狙われるのではないかと心配してたけど、

それも自分が願ってることかもしれないとさえ思ってしまうほど。

自分で自分を信じられないし、好きになれないのだ。

これが両親から愛されずに成長した結果なのかな。

自分のせいではない、この2人のせいではないか。

両親を恨みたくないけど、そう感じてしまう自分も否定できない。

黙って考え込んでしまった私をいぶかしげに見る母。

「ベラ、どうかしたの? 大丈夫?」

顔を覗き込む母を突き放すように

「なんでもないわ。ちょっと心配になっただけ。」とだけ言った。

「そう。確かに心配だけど、なんとかなるでしょう。」

なんでそんなに楽天的なの?

王様もそうだし、私だけ心配してバカみたい。

まあ、何かあったとしても、それはこの2人の自業自得なのだから仕方ない。

私も開き直ってしまった。

そう思ったら、少しは気が楽になってきた。

心配してもキリがないしね。

また、王様に母の言葉を伝えなきゃ。


続き



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