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2016.05.28
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カテゴリ: 電子工作
フォトカップラ絶縁アンプ実験 目次
送り側の位相補正コンデンサ下限
送り側の位相補正コンデンサ定数計算メモ

CQ 出版 『計測のためのアナログ回路設計』 に示されていたフォト・カップラを使った絶縁アンプの回路を LTspice で試していた。元の回路は ±15V 電源で動作する回路だった。これを LTspice とブレッドボードで動かしやすい様に ±6V 電源で動作するように回路の一部を簡素化して、定数を修正する。


LTspice 回路一式 (要モデル追加または opamp 置き換え, 絶縁アンプ: PhotoIso3.*, PC817 モデル回路図: PC817internal.*, ブレットボード実験時の仮想 GND(bsch v3 回路図): VirtualGND.*)

この回路を調べていたら、もっと便利な部品も見つかった。 ΔΣAD変換回路を内蔵した東芝のフォトカップラ TLP7820, TLP7920, TLP7830, TLP7930 だ。受け側は D/A 有り/無し 両方の品種がある。東芝半導体の扱いが多い秋月にそのうち現れる?

LTspice でシミュレートしていたら、奇妙な事に気付いた。1次側(送り側)の位相補正コンデンサ(と本には書いてある) C2 の容量を減らしても、そして回路から無くしても平然と動作していた。C2 の部分を拡大して下の図に示す。



C2 = 0F にすると帰還ループを構成する (フォトカップラの伝達遅れ + オペアンプの位相反転) で発振する(良くてリンギングする)はずなのになぜなんだ?

PC817 のモデルが単純すぎるのが原因だ。LTspice の PC817.sub を読んで回路を起こしてみると次のようになっていた。比較のため、PC817 の部品と内部回路の書き下しを並べてシミュレートしている回路図だ。



実際に位相補正コンデンサ C2 を減らしても動作するのだろうか?ブレットボードに組み立てる強い動機だった。

DC 12V 出力の AC アダプタを使用して実験するため、次のような仮想 GND 回路を用意する。入力信号が仮想 GND に流れる電流で一番大きい。入力信号を 4.7V まで振って 1mA だ(R2 を流れる電流に等しい)。仮想 GND 回路の影響が出ない範囲だと考えている。





本に出ていた回路は opamp に uPC813 (J-FET 入力, SR=25V/us) を使っている。CXA4559 (bipolar 入力, 恐らく SR=2V/us) に代えてある。どうだろう、フォトカップラのトランジスタは暗電流が bipolar 入力 opamp のバイアス電流とほぼ同じオーダーで流れている。TLP521 の特性を読むと 高温(85℃) だと 2 ~ 3 桁多い。

フォトカップラは TLP521-2 を使った。2 回路入りだ。回路特性が揃うことを期待している。絶縁を確保しつつ、揃った特性を得るためには実装上の工夫が必要だろう。手作りで良いなら、空中配線をして、足を空気で絶縁する。基板実装が必要なら TLP521-4 を使い、4 回路入りのうち、両端のみを使う。手間かコストが掛かるだろう。

1次(送り)側の位相補正コンデンサ C2 容量を 2200pF から 2000pF に減らしている。手持ちの部品の都合だ(2200pF が手持ちで無いのも備えが悪いな)。

ブレットボード上で電源の随所に入れたバイパスコンデンサは回路図より省略している。



回路修正で DC 的な動作が妥当かどうか見ていく。約 100Hz の三角波を入力して、出力を観測する。下の画像は 入力・出力とも 2V/DIV(x10 probe), GND=画面中央, 2ms/DIV で表示した波形だ。オフセット調整前である。出力のトレースが下に出ていて、-1.2V 程のオフセットが付いている。gain は殆ど 1 倍と見て良いだろう。



オフセットは 2 次側(受け側) の R6 で調整する。本の通りだ。シミュレータおよびブレットボード上でオフセットの変化量を調べてみると、1kΩ に対して±100Ω でも大きく変化する。LTspice 回路図の comment に入れたとおり、840Ω + VR 200 Ω でオフセット調整できるようにした。調整のしやすさを考えると 910Ω + VR 200 Ω か 820 Ω + VR 500 Ω が適切だろう。



オフセットを調整すると次のようにピッタリと入出力波形が重なる。約 6Vpp, 1kHz の三角波を入れたときの波形だ。電圧軸、時間軸の取り方は先の波形と同じだ。



X-Y プロットをしてみる。管面中央より少しずれているのはオシロ側のオフセット調整ズレによるもの。Y=X の直線が出ている。


クリップするレベルを見てみる。負側の方がクリップするまでの振れ幅が 800mV ほど小さい。オフセット調整した背景も有るだろう。部品のばらつき等を考慮すると、入力信号は ± 3V に入る範囲にする方が良いだろう。CXA4559 (ほぼ同じと考えられる NJM4559)の仕様に照らし合わせ、十分に opamp の入出力電圧範囲を活かせているだろう。



長くなってしまった。 次は位相補正コンデンサ C2 に付いて見ていかないと


送り側の位相補正コンデンサ下限





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最終更新日  2016.05.31 09:12:10
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