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2004年07月05日
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-----"チョコレート"-----
(a stick of)"chocolate"


板チョコレート a "chocolate" bar.
箱入りチョコレート a box of "chocolates"
粉末チョコレート "chocolate"in powder.
ホットチョコレート (a cup of) hot "chocolate"


----"chocolate"----

"chocolatl"という言葉は、マヤ人が飲んでいたチョコレートの飲み物が"xocolatl"(ショコラトル)とよばれる前、カカオを砕いて水と混ぜたものが、初期のマヤ語で"chacau haa"
(チャカウ・ハー)とよばれていたことに由来(ゆらい)します。
もともと"chacau"(チャカウ)が「熱い」、"haa"(ハー)が「水」を意味しますが、マヤ人の言葉の一つ、ユカテク語で「熱い」を意味する"chocol"という単語と、ナワトル語で「水」を意味する"atl"(アトル)を組合わせて造り出されたものです。

"chocolatl"とカカワトルの関係についてのもっとも有力な説は、その言葉の響きと意味にあると言われています。

スペイン人がチョコレートに出会って間もない頃は、苦(にが)くて冷たいものと甘く温(あたた)かいものの両方が飲まれていましたが、どちらもカカワトルと呼ばれており2つの飲み物を区別することが出来ていませんでした。

スペイン人たちが、自分たちが良く飲む甘い飲み物の方を、チョコラトルという呼び方に変えたといいます。
"xococ"(ショコ)と"atl"(アトル)の組合わせは、発音や綴りの変化に無理があります。
これと同じ理由で、マヤ人の飲み物の呼び方でる"xocolatl" (ショコラトル)が変化したものでもないようです。

「苦(にが)い水」ではありません。


---以下--"フランドン農学校の豚"(宮沢賢治)より引用

「-------以外の物質は、みなすべて、よくこれを摂取して、脂肪、 若しくは蛋白質となし、その体内に蓄積す。」とこう書いてあったから、農学校の畜産の、助手や又、小使などは金石でないものならばどんなものでも片っ端から、持って来てほうり出したのだ。

尤もこれは豚の方では、それが生れつきなのだし、充分によくなれていたから、けしていやだとも思わなかった。
却ってある夕方などは、殊に豚は自分の幸福を、感じて、天上に向いて感謝していた。
というわけはその晩方、化学を習った一年生の、生徒が、自分の前に来ていかにも不思議そうにして、豚のからだを眺めて居た。
豚の方でも時々は、あの小さなそら豆形の怒ったような眼をあげて、そちらをちらちら見ていたのだ。

「ずいぶん豚というものは、奇体(きたい)なことになっている。水やスリッパや藁をたべて、それをいちばん上等な、脂肪や肉にこしらえる。豚のからだはまあたとえば生きた一つの触媒だ。白金と同じことなのだ。無機体では白金だし有機体では豚なのだ。考えれば考える位、これは変になることだ。」
豚はもちろん自分の名が、白金と並べられたのを聞いた。
それから豚は、白金が、一匁(いちもんめ)三十円することを、よく知っていたものだから、自分のからだが二十貫で、いくらになるということも勘定がすぐ出来たのだ。
豚はぴたっと耳を伏せ、眼を半分だけ閉じて、前肢をきくっと曲げながらその勘定をやったのだ。
20×1000×30=600000 実に六十万円だ。
六十万円といったならそのころのフランドンあたりでは、まあ第一流の紳士なのだ。
いまだってそうかも知れない。
さあ第一流の紳士だもの、豚がすっかり幸福を感じ、あの頭のかげの方の鮫によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろこんだのも、けして無理とは云われない。
ところが豚の幸福も、あまり永くは続かなかった。
それから二三日たって、そのフランドンの豚は、どさりと上から落ちて来た一かたまりのたべ物から、(大学生諸君、意志を鞏固(きょうこ)にもち給え。
いいかな。
中略-----------------------------------------------




「実はね、この世界に生きてるものは、みんな死ななけぁいかんのだ。実際もうどんなもんでも死ぬんだよ。人間の中の貴族でも、金持でも、又私のような、中産階級でも、それからごくつまらない乞食(こじき)でもね。」
「はあ、」豚は声が咽喉につまって、はっきり返事ができなかった。
「また人間でない動物でもね、たとえば馬でも、牛でも、鶏(にわとり)でも、なまずでも、バクテリヤでも、みんな死ななけぁいかんのだ。蜉蝣(かげろう)のごときはあしたに生れ、夕(ゆうべ)に死する、ただ一日の命なのだ。みんな死ななけぁならないのだ。だからお前も私もいつか、きっと死ぬのにきまってる。」
「はあ。」豚は声がかすれて、返事もなにもできなかった。
「そこで実は相談だがね、私たちの学校では、お前を今日まで養って来た。大したこともなかったが、学校としては出来るだけ、ずいぶん大事にしたはずだ。お前たちの仲間もあちこちに、ずいぶんあるし又私も、まあよく知っているのだが、でそう云っちゃ可笑(おか)しいが、まあ私の処(ところ)ぐらい、待遇のよい処はない。」
中略-----------------------------------------------


豚は眉を寄せて、つきつけられた証書を、じっとしばらく眺めていた。
校長の云う通りなら、何でもないがつくづくと証書の文句を読んで見ると、まったく大へんに恐かった。
とうとう豚はこらえかねてまるで泣声でこう云った。
「何時にてもということは、今日でもということですか。」

校長はぎくっとしたが気をとりなおしてこう云った。
「まあそうだ。けれども今日だなんて、そんなことは決してないよ。」
「でも明日でもというんでしょう。」
「さあ、明日なんていうよう、そんな急でもないだろう。いつでも、いつかというようなごくあいまいなことなんだ。」
「死亡をするということは私が一人で死ぬのですか。」
豚は又(また)金切声で斯うきいた。
「うん、すっかりそうでもないな。」
「いやです、いやです、そんならいやです。どうしてもいやです。」豚は泣いて叫んだ。
「いやかい。それでは仕方ない。お前もあんまり恩知らずだ。犬猫にさえ劣ったやつだ。」
校長はぷんぷん怒り、顔をまっ赤にしてしまい証書をポケットに手早くしまい、大股(おおまた)に小屋を出て行った。
「どうせ犬猫なんかには、はじめから劣っていますよう。わあ」
豚はあんまり口惜(くや)しさや、悲しさが一時にこみあげて、もうあらんかぎり泣きだした。
けれども半日ほど泣いたら、二晩も眠らなかった疲れが、一ぺんにどっと出て来たのでつい泣きながら寝込んでしまう。その睡(ねむ)りの中でも豚は、何べんも何べんもおびえ、手足をぶるっと動かした。

中略----------------------------------------------



豚が又、畜舎へ入ったら、敷藁がきれいに代えてあった。
寒さはからだを刺すようだ。
それに今朝からまだ何も食べないので、胃ももうからになったらしく、あらしのようにゴウゴウ鳴った。

豚はもう眼もあけず頭がしんしん鳴り出した。
ヨークシャイヤの一生の間のいろいろな恐ろしい記憶が、まるきり廻り燈籠のように、明るくなったり暗くなったり、頭の中を過ぎて行く。
さまざまな恐ろしい物音を聞く。
それは豚の外で鳴ってるのか、あるいは豚の中で鳴ってるのか、それさえわからなくなった。

そのうちもういつか朝になり教舎の方で鐘(かね)が鳴る。間もなくがやがや声がして、生徒が沢山やって来た。
助手もやっぱりやって来た。
「外でやろうか。外の方がやはりいいようだ。連れ出して呉れ。おい。連れ出してあんまりギーギー云わせないようにね。まずくなるから。」

畜産の教師がいつの間にか、ふだんとちがった茶いろなガウンのようなものを着て入口の戸に立っていた。

助手がまじめに入って来る。
「いかがですか。天気も大変いいようです。今日少しご散歩なすっては。」
又一つ鞭をピチッとあてた。
豚は全く異議もなく、はあはあ頬をふくらせて、ぐたっぐたっと歩き出す。
前や横を生徒たちの、二本ずつの黒い足が夢のように動いていた。

俄(にわ)かにカッと明るくなった。
外では雪に日が照って豚はまぶしさに眼を細くし、やっぱりぐたぐた歩いて行った。

全体どこへ行くのやら、向うに一本の杉がある、ちらっと頭をあげたとき、俄かに豚はピカッという、はげしい白光のようなものが花火のように眼の前でちらばるのを見た。
そいつから億百千の赤い火が水のように横に流れ出した。
天上の方ではキーンという鋭い音が鳴っている。
横の方ではごうごう水が湧いている。

さあそれからあとのことならば、もう私は知らないのだ。
とにかく豚のすぐよこにあの畜産の、教師が、大きな鉄槌を持ち、息をはあはあ吐きながら、少し青ざめて立っている。又豚はその足もとで、たしかにクンクンと二つだけ、鼻を鳴らしてじっとうごかなくなっていた。

生徒らはもう大活動、豚の身体を洗った桶に、も一度新らしく湯がくまれ、生徒らはみな上着の袖を、高くまくって待っていた。

助手が大きな小刀で豚の咽喉をザクッと刺しました。

一体この物語は、あんまり哀れ過ぎるのだ。

もうこのあとはやめにしよう。

とにかく豚はすぐあとで、からだを八つに分解されて、厩舎のうしろに積みあげられた。
雪の中に一晩漬(つ)けられた。

さて大学生諸君、その晩空はよく晴れて、金牛宮もきらめき出し、二十四日の銀の角、つめたく光る弦月が、青じろい水銀のひかりを、そこらの雲にそそぎかけ、そのつめたい白い雪の中、戦場の墓地のように積みあげられた雪の底に、豚はきれいに洗われて、八きれになって埋(うず)まった。
月はだまって過ぎて行く。
夜はいよいよ冴(さ)えたのだ。


底本:「新編 風の又三郎」新潮文庫、新潮社


"蛍"(a firefly)が舞っています-------------
蛍石 fluorite.
蛍籠 a firefly cage.
蛍狩り ((go)) firefly-catching.
蛍の光 《曲名》 ‘Auld Lang Syne’


"人間"というものは、ほんとふに残酷な生き物です---------








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最終更新日  2004年07月05日 08時43分15秒
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