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2018年01月24日
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町おこし 281 :ベカンベ祭り

――『町おこしの賦』第9部:おあしすの里 09



 恭二と詩織は、塘路のベカンベ祭りに行っている。塘路の再開発は、昨年ほぼ完結した。それを機会に、ベカンベ祭りも再開されたのである。

「うわー、すっかり変わったわね。恭二、すごい人出だよ」

 車を駐車場に入れながら、詩織は驚いたようにいった。日曜日とあって親子連れが目立ったが、外国人の姿もたくさんあった。

「外国人のお目当ては、忍者屋敷だよ」

 恭二は背中に重い荷物を背負った、外国人を見ながらいった。

 塘路湖にはベカンベと呼ばれる、菱の実が生息している。これは食料としても美味であるが、乾燥させると忍者が追っ手の足を止める小道具となっていた。忍者屋敷はそんなイメージから、建設された。

「恭二、どんそく号だよ。乗ろう」

 赤いトラクターが、幌屋根つきの車両に連結されている。二人はそれに乗りこむ。車内は、すし詰め状態だった。車両の中央には大型スクリーンがあり、塘路湖の水中の様子が、映し出されていた。

 どんそく号は気づかないほど、ゆっくりと動き出した。肌にあたる風が、心地よかった。

「こののんびり感が、何ともいえないわ」

 詩織は髪を片手で押さえながら、大きな深呼吸をしている。

 大きな観覧車が見える。頂上まで上がると、釧路湿原が一望できる。恭二は試運転の時に乗ったが、いつも大行列ができているとの報告を受けている。

「恭二、観覧車に乗りたい」

「今日は時間がないからダメ。この次の機会に回そう」

 ベカンベ祭りが始まった。アイヌの衣装を着た男女が小舟を操り、湖の中央まで進んだ。岸辺ではアイヌ衣装の八人が踊っている。船上の二人は、長い棹を湖に差し入れた。そしてそれを引き上げると、水草がからみついてきた。二人は祈るようにそれを頭上に掲げ、小舟を岸へと戻し始める。 

 岸辺には、幾重もの人垣ができていた。風に乗って、ベカンベをゆでる甘い香りが運ばれてきた。

 岸辺の八人は水草のついた棹を頭上に掲げ、再び舞を継続した。ずっと封印されていた、厳かな儀式が復活した。

​ 短い時間だったが、ベカンベの収穫を祝うアイヌの祭りに、恭二は心が洗われるような気がした。二人は生のベカンベを、一袋購入した。​






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最終更新日  2018年01月24日 03時57分31秒
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