心の叫び~~モントレーの山奥から

心の叫び~~モントレーの山奥から

2011.04.11
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 「虹色の涙」  1992字

? フリムン徳さんは正夢をよくみる。特に何日も続けて似たような夢をみる。4月の初旬、1週間、毎晩続けて義母の夢を見た。何かがあったに違いないと気にしていたら、4月14日夕方に「義母が亡くなった」と、故郷、喜界島から電話が入った。やはり義母は気がかりだった私達夫婦に夢で会いに来てくれていたと思う。84歳の義母は喜界島でお墓を守りながら1人で生活していた。
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嫁はんを義父の葬式にも行かせてやることが出来なかった。20年近く会ってない義母の葬式だけは行かしてやりたい。でも、3年前に病で倒れて身体障害者の年金で、カリフォーニアの山の中でおんぼろのキャンピングカーで生活をしている私達には切符代もない。「俺は親の葬式に嫁はんを返してやれないこの世の最低の男だ」、と涙ながらに自分の人生を悔やむしかない。
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その夜、義母の訃報を娘のまきこに伝えたら、異変が起きた。「飛行機の切符は私が買ってあげるから葬式に喜界島へ帰りなさい。急いで。」と夢みたいな事を言うではないか。今まで散々親を泣かし、心配させたあの娘がよ。3時間前の悔し涙は嬉し涙になった。悔しい色の涙、悲しい色の涙、うれしい色の涙と、虹色の涙が私の頬を濡らした。やはり義母が助けてくれたのだ。義母はどうしても自分の長女に会いたいのだ。
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大急ぎで航空券の手配をした。翌日4月15日午後1時55分ロス発に乗れば葬式に間に合いそうだ。まきこが自分の銀行貯金全部をおろしてくれた。さらに飛行機の切符はビザで買ってくれた。また虹色の涙が出てきた。こんな気持のいいことがめったにあるかいな。こんないい気持ちは冷凍庫に入れて永久保存しておきたいくらいだ。これで、お金の件と切符の件は解決した。
? ところがもっと深刻な問題が起きた。嫁はんのパスポートの期限が切れている。いちかばちかや。もう領事館に当って砕けるしかない。嫁はんの旅仕度が終わったのが夜中の1時過ぎ。すぐ夜を徹してロス近くのまきこの家へ車を飛ばした。まきこの家に着いた時は明るくなっていた。

まきこが朝8時に開く写真屋を探してあった。パスポート用の写真を撮り、運良く取り寄せてあった戸籍抄本を持って、ロスの領事館へ駆けこんだ。9時半だった。空港に12時までには着かなければならない。パスポートの再発行に許される時間は1時間半しかない。遠方からきた人には4~5時間で発行してくれると聞いたことがある。急いだが間に合わんか、やっぱりアカンか。
? 領事館は、サービスは悪く、待たせる、怖い所と思っていた。恐る恐る、窓口の女性に義母の葬式に間に合いたい事を言っててパスポートの再発行をお願いした。「なんとかやってみましょう」という神様のお告げみたいな言葉が返ってきた。途端にその女性が優しい別嬪さんに見えた。不思議なものです。人間諦めたらアカンネンです。またしても奇跡が起きましたんや。
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臨時パスポートの再発行の申請書をもらい、ロビーで見本を見ながら書きこんでいた。でも、見本を見てもわからないややこしいところが沢山ある。時間は過ぎる、飛行機に間に合うか、焦ってくる。難渋しているのが見えたのか、ロビーで書類作成の手助けをしてくれる人がやってきて丁寧に教えてくれた。こんなに、ありがたい事はなかった。うれしくてたまらなかった。最後に嫁はんがサインをした。サインの中に私の名前を見つけたその男性は私のエッセイをtvファン誌でよく読んでいると言うではないか。世の中悪いことはできまへんなあ。またしても義母は偶然を起こしてくれたのだ。
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書いた書類を先ほどの窓口の女性に渡すと、「順序は逆ですけど、審査する間に、この書類を書いてください」ともう1つの書類を先回りして書かせてくれる。1分でも早くと、頭を360度回転させてのサービス振りに心が揺さぶられた。ついに40分程でパスポートを再発行をしてくれた。5時間じゃなく40分でした。信じられない速さだ。パスポートを手にして、義母の死の悲しみも忘れてルンルン気分でした。

おかげで嫁はんは飛行機に間に合った。3つの飛行機を乗り換えて、喜界島にたどり着いた時には、葬式は終わっていた。ところが、葬式は終わっても、死んだ母親はまだ娘の帰りを待っていた。火葬場で焼かれるのを待つのではなく、アメリカからの我が長女を待っていたのである。嫁はんは空港から車で火葬場へ駆けつけ、きれいに死化粧した母親に最後の対面を果たした。「死んでもアメリカから帰ってくる娘を待っていた母親」と島の人達は涙を流して感激してくれた。その時の様子を話す、嫁はんも電話の向こうで泣いていた。お金で助けてくれた娘、パスポートの再発行で助けてくれた領事館の人達、涙を流して感激してくれた喜界島の人達、死んでもアメリカの娘を待ちつづけた義母さん。次々と私の脳裏に現れ、私の頬にはまたしても大粒の虹色の涙が流れた。
  フリムン徳さん





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Last updated  2011.04.12 04:03:03
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うぬつっつ@ Re:「男の名前で生きていきます」(12/24) 久しぶりに徳さんが夢に出てきてブログ見…
フリムン徳さん@ Re:「男の名前で生きていきます」(12/24) 禿げ1723さん、おおきに、ありがとう…

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