ねーさんの独り言

ねーさんの独り言

2006年10月30日
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カテゴリ: 読書
金庸氏の武侠小説の中短編をまとめた作品です。

「白馬は西風にいななく」「鴛鴦刀」「越女剣」の三編ですが、「白馬~」がこの本の半分を占めています。

主人公は、西域の砂漠地帯で幼い頃父母を殺され、異民族の中で過ごす漢人の少女。
彼女は、漢人に偏見を持つカザフ人(彼女の父母を殺した荒くれどもがカザフ人の集落を襲っていたので仕方ないのですが)達から距離を置く、訳ありそうな漢人の老人と暮らしているのですが、ある日、一人のカザフ人の男の子と仲良くなります。

このカザフ人の男の子の父親が、漢人に妻と娘を殺された人物だったのですが、漢人はすべて悪い奴だという偏見から、二人は引き離されてしまいます。彼女は、自分と付き合う彼が父親に折檻されることが辛くて、集落一きれいな女の子の家の戸口に彼が自分にくれたオオカミの毛皮をおいてきてしまい、彼に会うことも避けるようになります。それが、後々自分を苦しめることになるのか考えないで・・

物語の中で登場する天から聞こえる鈴の音のような声で歌う天鈴鳥(てんれいちょう)のことを少女と暮らす老人が「草原で一番美しく、いちばん歌が上手だった女の子が、死んで姿を変えたのだ。好きだった男の人に捨てられたので、悲しんで鳥になったんだ」と説明する場面があります。

少女が「いちばんきれいで、歌も上手だったのに、どうして捨てられたの」と問うと、「世の中にはいろんなことがある。子供にはわからないことが」と答えるのですが、最後の場面にこの言葉が生きてくるのです。

なんだか金庸には珍しく、訳者あとがきにもありますが、一昔前の少女小説のような感じのしめやかな物語です。

「鴛鴦刀」は「白馬~」とはがらりと趣が変わり金庸お馴染みのパターンがちりばめられています。



この三編の中でお勧めは「白馬は西風にいななく」ですね。





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最終更新日  2006年11月05日 23時18分42秒
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