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裏日記から転載 『本物の夢』
ある女の子が来た。
「せんせー。出来なかった。」
「そっかー。でも、がんばれた?」
「がんばれないー。がんばれなかったー。」
「待って?」
「もう、いやだ。」
「さあ、涙を拭いてごらん。」
「もういや。全部いや。わーん。」
「...」
「あんなにやったのにー。あんなにやったのにー。」
「...」
「せんせー。もう明日は受けない!」
「どうして?」
「だってこんなんじゃ受けても仕方ないもん。」
「ほらほら、涙を拭いて?とりあえず僕の話を聞いて?」
「もうイヤ。とにかくイヤ。」
「今日ね?僕ね?実は涙が出たんだよ。」
「...」
「個人情報だから詳しくは言えないんだけどね?
ある生徒と出会ったの。
2年前の塾生でね?
2年前のある日にね?
突然体調が悪くなって入院した子なんだよ。
僕は彼が塾を2週連続で休んで、その後彼が入院したことを知った。
僕はね?
お見舞いに行ったんだよ。
カッコいい男の子なんだけどね?
特に彼の目が僕は好きだった。
聞いたら、お腹を2週間前に手術したんだって。
手にはね?点滴の針が刺さってた。
ずっと刺しっ放しなんだって。
ベッドの横に、参考書の束にまぎれて車の雑誌が置いてあった。
彼が車が好きなの初めて知った。
あれだけ彼と話してたのに、車のことは知らなかった...
その時、看護婦さんが入ってきたの。
看護婦さんがね?
こう言った。
「今日からアメなら、数時間に1つだけ舐めていいわよ。」って。
そしたらね?
彼すごくうれしそうな顔でね。「えっ?本当?」って確認してた。
だから、僕、
「買ってこようか?」
そう言った。
彼は、本当にうれしそうに...「いい?僕これ(寝たきり)だから頼んでいい?」
って言ったんだよ。
だから、僕は売店で色々な種類のアメを買って彼の病室に戻った。
とにかく、全種類のアメを、一番おいしいアメを買ってきてあげたかった。
例え、そのアメが1万円でも僕は買うよ。
絶対に一番おいしいアメを買う。
で、彼は僕が買ったアメの袋を全部並べてしばらく見たあと...
本当に普通の、普通の、フルーツのキャンディーを選んで、ゆっくり袋を開けた。
僕がね?一番おいしいんじゃないかって思ったアメじゃなかった。
そして、ゆっくり乾いた口に入れた。
僕もその瞬間、緊張した。
3週間ぶりなんだって?
口に物を入れるの...
「おいしい。」ってすごいゆっくりとね、僕に教えてくれたの。
本当に本当においしいんだと思った。
すごく味わいながら、それ以外は何も話さなくて、ゆっくり舐めてた。
本当に全部の神経を舌に集中してる感じでね。
僕は、涙が出そうになったのでトイレに行った。
...それが、その子に会ったのが最後だった。
何でも他の病院に移ったとか聞いてた。
今日ね?
その彼に会った。
センターの会場で...
2年ぶりだったよ。
すぐにわかった。
0.1秒でわかった。
彼のあの目でわかった。
「おう!○○くん!!」
「あっ、先生、ちょっと病気して2浪しちゃって...」
「知ってるよ。今日はがんばろうね?」
「はい。」
彼は会場の中に入っていった。
僕はこの2年間、彼がどういう風に過ごしていたかわからない。
でもね?
絶対に大変だったと思う。
絶対に苦労したと思う。
ものすごく苦しかったと思う。
理不尽なことだらけだったと思う。
...彼は自分の夢をずっと持ってるんだと思った。
彼の夢は、ピカピカのダイヤモンドだと思った。
東大を受けるわけじゃないかもしれない。
でもね?
絶対にダイヤモンドだと思った。
僕の寿命のいくつかと彼の合格を換えられるのなら、喜んで換えたいと思ったよ。
人生、何が起こるかわからない。自分でコントロールできるものがあるとすれば、それは自分の気持ちだよ。」
「...」
「いい?夢は、自分の夢はピカピカのダイヤモンドだ。絶対にあきらめずに最後まで突っ走るんだ!いいね?それががんばるってことだ。」
「話を戻そう。さあ、明日の試験どうするの?どうすればいいと思うの?」
…君ならどうすればいいかわかるよね?
みんな。がんばれ!