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2004年10月16日

残業になってしまいました。

日付も、とっくに変わってしまい、周りを見ればいつの間にか人も まばら ・・・。

蛍光灯も消され、 薄暗く なっている所もあったりして、 ひっそり とした空気が漂っていました。

まだ仕事は残っていたのですが 今日は終了！ と、心の中で独り言を言い、机の上を手早く片付けていました。

片付けも終わり、席を立とうとすると・・・

「お～！まだいたんかいな～！」

同僚に後ろから声を掛けられただけなのですが、不意でしたし、ちょっと 大きな声 だったので びっくり ・・・。

叫び声を上げる程ではなかったとはいえ、体が飛び跳ねそうになってました。

「帰ろうとしたら、いてるのが見えたから、声掛けただけで、びっくりさせるつもりはなかってんでぇ～」

なんて、言ってましたが、音も立てずに背後に近づいていた事と、やけに 嬉しそう な顔している事から、本当のところはどうだったのかなんて、 訊くまでもありません 。

そんな事もありましたが、お互い帰るところでしたから、一緒に部屋を出る事に・・・。

階段で１階まで降りて、いつもの様に 通用口 から出ようとしたのですが、守衛さんに施錠されてしまったらしく出られません。

そうなると、正面出口か、裏口から出るしかないのですが、 正面出口 だと、駐車場まで行くのに随分と 遠回り になります。

かと言って、裏口だと、駐車場までは近いのですが、真っ暗な物置の様な所や、緑色の電灯が淡く点いた研究施設の様な所を通らねばならず、 不気味 な事この上なく・・・。

私はどっちでもよかったのですが、表から出るか裏から出るか、訊いてみたところ・・・。

「裏でええやん、裏で！暗いし怖いんか～？大丈夫、大丈夫！裏行こ！裏！」

そのうえ・・・

「裏の方がええって！ビデ○ だってなんだって表より裏の方がええやんな！」

そんなアホな事も言ってましたけど、とりあえずは裏から出る事になりました。

あれだけ『 大丈夫 』って言ってましたから、彼は全く平気なのかと思ったのですが、そうではなかった様です。

「俺は後ろからついて行くし、前歩いてええで！」

何が『 前歩いてええで 』やねん！って思いましたが、私の斜め後ろをついて来る姿を見ていると、言っても無理そうなのでやめました。

不気味 なのは確かですが、それほど距離がある訳ではありませんので、しばらく行くと裏口のドアの前に着きました。

この裏口のドア付近も、 非常出口 の緑色の表示灯があるだけで 薄暗く なっており、ドアは鉄製の小さ目のドアで、少し屈まないと通れません。

そのドアのノブを掴もうと、少し屈んだその瞬間、私は・・・

「わ─！」

ちょっと びっくりさせてやろうと思っただけだったので、それほど大きな声ではなかったのですが・・・

「うわぁ～～！！」

絶叫して、腰を抜かして、ひっくり返りそうになってました。

すると、裏口ドアの 向こう側 でも、なにやら声が・・・。

そ～っと 、ドアを開けて外を見てみると、ドアから少し離れた所に、懐中電灯を持って立ち尽くす 警備員さん がいました。

私の顔を見るなり、駆け寄ってきて・・・

「どうかしましたか？！」

何があったのかを説明すると、 呆れられて ・・・

「あのねぇ、子供やないんやからぁ、そんなしょ～～もない事しんと、はよ～帰りやぁ！ホンマ、人騒がせやなぁ」

とりあえず、二人揃って 謝って おきました。

「こんな時間に、そんなん･･･ほんま･･･もぉ～･･･」

なにやら、 ぶつぶつ いいながら、施設内の巡回に戻られましたが、さっきは 立ち尽くして おられましたから、 さぞや ・・・。

そうして駐車場まで行き、車に乗って家に帰ったのですが、家ではみんな 布団の中 ・・・。

起こすのもかわいそうなんで、静かに鞄や水筒等を片付け、お風呂に入りました。

お風呂からあがってきても、ご飯を食べていても、テレビを見ていても、誰も 起きてきません 。

ちょっとだけＰＣしようかとも思いましたが、時間もかなり遅いので、もう寝る事にしました。

寝る前にトイレに行ったのですが、ドアを開けると・・・

「おと～さ～ん･･･」

寝ぼけた顔した３歳の娘が立ってました。

「うわぁ～～！びっくりしたぁ～～！」

まさか、誰かいるなんて思ってなくて、いきなり声掛けられたもんですから、すっごくびっくりして、思わず声が出ちゃったのですが、その声にびっくりして、娘が泣き出してしまいました。

娘に驚かせてしまった事を謝って、なんとか落ち着かせたのですが、そんな事があったというのに、うちの奥さんと息子は、やはり 起きてくる気配すらありません 。

朝になって、その事を言うと、二人とも・・・

「そんな事あったん？全然気がつかへんかったわぁ～」

この２人は、いつも１度寝たら何があっても朝まで起きないので、わかりきった事とはいえ、私は そういう事にこそびっくりです 。

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