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八木哲郎

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2010/08/07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
さて、「知的生産の技術」で「方法論」を教える学校みたいなものを作ろう、という計画で知的生産の技術セミナーというものを始めた。いったどれぐらい人が集まるか、どきどきものだった。マスコミ塾の名簿、私の学生時代の同級生名簿などでDMする一方、新聞社をまわって「明日の催し」などと夕刊に小さく数行で紹介している欄が朝日にあるが、他の新聞社にもあった。そこに出してもらった。このほか学生がくるものと想定して各大学の掲示板に無断でビラを貼ってまわった。

彼らは熱心に聞いてくれた。そして言うではないか。「本当によい話を聞きました。ありがとうございます」と逆にお客さんのほうから一人一人お礼を言うではないか。赤字にならなかったので胸をなでおろしたが、そんなことよりお礼を言われたほうが嬉しかった。
2回目に頭の体操でヒットしていた多湖輝先生のセミナーは大いに受け、100名近くになり、3回目の前園主計氏の講演ではついに100名を突破した。
こうして知的生産の技術セミナーとともに売り出したひらかなタイプライターの売れ行きもまあまあで食うに困るということにはならずにすんだ。

しかし、梅棹先生にどのようにして連絡をつけようかということが重く胸にのしかかっていた。
「知的生産の技術」研究会とか知的生産の技術セミナーとか勝手に先生の著書からとって走っているが、著者はどう思っているか。挨拶もなしにやっているので不快に思っているのではないか。もしいきなり訪ねていって、許可をおねがいします、なんていったらお前の素性もわからないのに許可なんてできん、なんて断られたら一巻の終わりだと思っていた。
当時の梅棹先生ときたら「文明の生態史観」とか「モゴール族探検記」とかで当たりに当たまくっていて、写真をみると、白皙のするどい面構えに前髪がちょっと額にかかっていて、カミソリのような切れ者、近づいたらたちまち八つ切りにされてしまいそうなイメージで、鈍い私とは対称系の人物であった。だから、私は梅棹先生に恐怖心を抱いていて、遠くからおどおどと京都をみつめているだけだった。
ところが、うかうかしていられない事情がでてきた。講師にお願いした人が「私を本当に梅棹先生が推薦してくださったのですか」と目を輝かせて言うので、まあそうです、とあいまいに答えていたら、「近々京都に行って先生にお礼を言って参ります」というではないか。これにはあわてた。「先生はまた探検にお出かけになる予定のようですから、すぐにはお会いになれないかもしれませんよ」なんていってごまかした。






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Last updated  2010/08/07 10:01:06 AM


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