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2006年09月04日
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テーマ: 糖鎖(9)
カテゴリ: 糖鎖

<糖鎖が担う機能の一端> をもう一度見てみましょう。

  ▲ 同じ組織の細胞同士の連結器として働く
  ▲ 自己の情報を伝える情報装置としての働き
  ▲ 細胞外の様々な物質を見分けるアンテナとしての働き

 3番目に書いた「 細胞外の様々な物質を見分けるアンテナとしての働き 」について考えてみます。

 体の中では様々な情報が行き交っています。その中でもっとも直接的な情報伝達方法が 神経を使う情報伝達 であることは間違いありません。神経を利用すると、素早く確実に必要なところに情報を伝達できます。そのスピードは、感覚的には一瞬とも言えるものです。

複数の箇所に一度に情報を伝達したい場合 はどうしたら良いのでしょうか?そうした情報伝達方法として最も有効なのが ホルモン です。

 食事をすると膵臓から インスリン というホルモンが出てきますね。このインスリンによって、60兆の細胞は グルコース (ブドウ糖)を取り込むドア(チャンネル)を開くことができます。こうしたことは神経では不可能です。

 さて、インスリンが来たことを細胞はどうして検知するのでしょうか?

 そうです。細胞表面にある 糖鎖 の中にインスリンを検知するアンテナの働きをするものがあるのです。これを インスリンレセプター (受容体)と言います。

 もしこの インスリンレセプター が何らかの理由によって十分に機能しなければ、インスリンがあってもそれを受け入れる チャンネル

 さて、ホルモンの他にも重要な働きをしている体内物質があります。それが サイトカイン です。サイトカインは一般にはまだあまり知られていませんが、ホルモンと同等以上に重要な機能を持っています。

 ここではサイトカインについて詳しく書くわけにはいきませんが、代表的なものに、 インターフェロン (IF)、 インターロイキン (IL)、 TNF

 これ以外にも植物から摂取する様々な ファイトケミカル (phyto chemical)も重要な働きをしています。

 そして、これらの情報を一手に引き受けているのが糖鎖で作られた多種多様な レセプター (受容体)なのです。どうでしょう。糖鎖というものが、ある意味体内の情報伝達の要(かなめ)とも言える位置にあることがわかると思います。

 レセプターは体内情報をキャッチするだけではありません。体外から入ってくる 多種多様な物質を見分け 、受け入れるもの、排除すべきものを判断するという重要な仕事をしています。

 また、体内で作られる 有害なもの や 変異した細胞や寿命の来た細胞 を検知します。そしてその情報は免疫細胞等に伝えられ、処理に回されるのです。

 つまり、 糖鎖は免疫機能の要 ともなっているのです。

 このように、 糖鎖 はちょっと挙げただけでも恐ろしく重要な機能を担っています。それだけに、 糖鎖の異常 が体内部の様々な不調に結びついていくであろうことは、容易に想像できると思います。

 今回はここまでとします。




最初に書いた機能ですが、この機能があるからこそ、組織が
一体となって働くことができるのです。つまり単に自己の細胞というだけでなく、自分がどんな組織の細胞なのかということも糖鎖に示されているということですね。

 それでは ガン細胞 はどうなのでしょう。ガン細胞は際限なく増殖するということがまず大きな特徴ですが、もう一つの特徴は 転移 です。転移して元々の自己の組織とは異なった組織で再び増殖を始めるわけです。

 本来なら異なった組織の細胞は受け入れないはずの他の組織の細胞がガン細胞を受け入れてしまう。なぜ正常細胞が自己とは異なる多細胞を受け入れてしまうのでしょうか?ここに 転移の秘密 が隠されていそうです。

 ガン化した細胞は当然 DNAが変質 しているわけですが、この変質したDNAが正常な細胞なら当然持っているはずの糖鎖を変質させてしまうのです。さらに、 正常な細胞の糖鎖を変質させる酵素 が作られ、その結果転移が可能となるのです。

DNAの変質→自己細胞の糖鎖の変質+多細胞の糖鎖を変質させる酵素の合成

という 糖鎖を中心とした変化 が癌の進行と転移を促進しているのです。


 糖鎖は非常に重要な働きをしているわけですが、一面 細胞外の環境に影響を受けやすい のです。糖鎖の先端についているわずか一つの単糖によって血液型が決まるように、何らかの酵素の働きで糖鎖が変質させられるということは十分に考えられるのです。

 現在生化学の分野で糖鎖が最も人気のある研究分野である理由は、ガンに限らず多くの病気で糖鎖の異常が見られることがわかってきたからです。


 ところで、糖鎖の異常が様々な病気に関係していることはわかりましたが、その 糖鎖異常をどのように正常化していくか という点ではあまり研究されていないのが現状です。まだまだ糖鎖は基礎研究の段階と言えます。

 では私たちはどのように対処したらよいのでしょうか?座して、糖鎖異常を放置するしかないのでしょうか?これについてはこれから少しずつ書いていきたいと思います。

 今回はここまでとします。



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最終更新日  2006年09月04日 16時44分45秒 コメントを書く


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