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いつのころか、その名を呼ぶことを許された。その名を口にすると、胸に湧き上がる熱い感情。その熱さに、幾たびも救われてきた。その感情を、どう呼べばよいのだろう。その名だけが帯びた感情は、ただ、ただ、かけがいのない、ひとりの姿に重なる。
2010.02.19
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水の流れの上に落ちた一枚の木の葉。。。例えて言えば、そんな感じだった。そのようにして、ずっと、ひとり、漂っていた。ふと、気づくと、同じような木の葉が、近くに漂っている。それぞれに、ひとり漂い続けるなら一緒に、と語りかけると、その木の葉は、ためらいながらも、受け入れてくれた。そして、今、ふたつ重なり、ゆらゆらと漂っている。ふたりで、どこに流れ着くかは、わからないが、ふたつ重なり、漂い着く先ならば、どこであってもかまわない。
2009.05.12
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桜が、静かに散っている。柔らかな春の日がさす中に、音もなく、春風に、花びらが舞う。そのひとひらが、わたしの手に舞い降りる。この手に舞い降りたのは、いったい何のはからいだろう。それは偶然か、それとも運命なのか。おそらく、運命は偶然が生み出す。運命と偶然の違いは些細なものに過ぎない。そよ風が頬をなでる。舞い降りたひとひらは、再びその風に乗り、いずこかへと舞い去ってゆく。いとおしい感覚が手に残る。きっと、それは、間違いなく運命になる。
2009.04.22
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靴を磨く。たいていは、金曜か土曜に磨く。日曜には磨かない。日曜に磨くと気が滅入る。靴は、背広と同じく仕事とつながるアイテムだが、果たして、仕事が好きなのか、嫌いなのか。。。靴を磨くのは、他界した親父の影響だろう。地位も名誉も金も、人に優れて得ることは無かった男だったが、良く靴を磨く男だった。人あたりが柔らかく、分け隔てをしない人柄と言われた様だが、それは、生まれ持った性格であって、努力して磨き上げた性格ではなさそうだ。その人生にも、時には、楽しいこともあっただろう。たまには憤ることもあっただろう。小ずるい事も、おそらく、しただろう。知る術は無いが、艶っぽい事柄もあったのかもしれない。けれど、強烈で、激しい人生を送ることはありえないし、望みもしない。息子から見れば、その人生は、穏やかで平凡なものであったと思う。靴を磨く後姿。思い返すのは、そんな、ささいなことばかりだ。かつて、そんな親父を超えたと思ったときがあった。ただ、今思えば、それは一時の気の迷いか、何かの勘違いだったようだ。自分の中にある、父親から受け継いだもの。それを、かつては嫌だと思ったが、今は静かに、それと対話ができる。道標となるような男ではなかったが、この上ない親父だった。今日は彼岸。朝方には激しい雨が降ったが、昼過ぎに止み、やがて透き通る青空になった。彼岸と此岸が交じり合う、この日にふさわしい「はからい」なのかもしれない。「はからい」というものが、もし、あるとするならば、それは、きっと、このような、ささやかなものに託されている。今は、そう思う。
2009.03.21
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それは秋。。。やがて、冬が過ぎ行き、春が来る。そう、そのようにして春が来る。
2009.02.10
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家に篭り、本などをめくっている。気分として、散文は受け付け難い。なので、古い歌集などをめくって、慰みとする。いくつかの歌に目が留まる。そんな歌には、今の自分の季節を映す何ごとかが、おそらく、含まれている。 埋み火に 少し春ある 心地して 夜深き冬を なぐさむるかな 藤原俊成遠山に日の当たりたる枯野かな 高浜虚子
2009.01.23
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より深く、ほかの誰よりも深く、到達する。記憶に残るものを、そうして俺が凌駕する。。。女の肌から芳香が漂い始める。その芳香は、男を、より強くする。
2009.01.16
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その肌の感覚は指先よりも 唇にたしかな記憶が残っているあの夜。。。愛おしく なめらかな その肌のその全てに 唇を重ね合わせただから。。。唇に その記憶が残る限りその肌は 俺のもの
2008.12.29
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強い風が吹き抜ける夜 久しぶりにその場所にきたそこは青春とやらの残滓が かろうじて残っている場所I JUST CAN'T STOP LOVING YOU Each time the wind blows 風が 吹き抜ける I hear your voice so 風に 君の声が 聞こえる I call your name 風の中に 君を呼ぶ Heaven's glad you came 君がいる ただ それだけで いい (Michael Jackson)
2008.12.21
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仕事では、昼休みというものは、有って無いようなものだが、その分、込み合う時間をはずして飯を食いに行けることが、救いといえるかもしれない。今日は、仕事場から歩いて10分程度の、蕎麦屋に行くこととする。その店は、オフィス街からほど遠くない場所にある老舗だが、着流しの旦那衆が、昼から、焼海苔やら柱わさびとかを肴に、熱燗で一杯やっているような粋な店だ。やせ我慢で言うわけではないが、本当に旨い物を食いに行くときは、ひとりで行くに限る。人とつるんで行くと、時間やら相手のペースなどに気遣いをせねばならぬときもあり、大げさに言えば、味覚に神経を集中させることができない。ただ、今は、誰に気兼ねすることなく、運ばれてきた蕎麦の香りを、ひとり堪能する。大勢の会食や気の置けない仲間と過ごす楽しさはもちろんあるが、ひとりならではの楽しみもある。男に生まれたせいもあるが、ひとりで飯を食い、酒を飲むといった修行は好むと好まざるとにかかわらず、経験をつんできた気がする。なので、今、自分が感じているこの風情は、些細ではあるが、これまで、自分が勝ち取ってきた、風韻のようなものかもしれない。それは、風のように、実態の無いものに過ぎないが、今は、しばらく、蕎麦屋の喧騒の中で、ひとり、その感覚にひたることにする。まだ、人生などというものを語る段階では無いが、何が、その人にとっての楽しみや幸いとなるかは、わからないものだと思う。
2008.12.20
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晩秋から初冬に季節は移った。手先の荒れは、いつのまにか、治ったようだ。少し前に、その荒れ具合を気にしていたが、季節のうつろいに、体が馴染み始めたのかもしれない。今、立っているこの場所で見つけた大切なものを出来うる限り、大事にしていこうと思う。
2008.12.06
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この手に、今は確かに、その美しく可憐なものの記憶が残っている。ただ、それは、あまりにも脆く、儚げで、記憶は、瞬く間に、薄れ、かすんでしまう。脆く、儚げなのは、それが、美しく可憐すぎるからなのか、それとも、俺という男の宿命なのか。。。美しく可憐なもの。それは、捕まえきれない、もどかしさと渇きを残す。
2008.11.08
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季節の変わり目なのか。手先が、なぜか、わずかに荒れている。それは何かが変わる前兆を、予感させる何事なのか。振り返れば、変わらない季節に、長く身を横たえてきた。過ごした季節の、さまざまな想いが、まだ無数の断片となって放置されている。そのせいか、些細な変化に、躊躇が先立つ。指先を唇に当て、その荒れの程度を推し量る。この指先で、いとおしい女の肌に触れる資格があるだろうか。
2008.11.01
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男であれば、三人の、本当の同志がいれば、世界を変えられる、という。ただ、二人であれば、比較的容易に集まるが、三人は難しい。二人で、世界を作れるのは、男と女の二人だろう。男と女の場合、この世界は、「物語」と言い換えた方が、あるいは、相応しいかもしれない。
2008.10.25
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夕暮時に 饒舌には なれない何かを待っているから 黙るのか何も無いから 黙るのか遠くを見るそこには 幼い頃の ささやかな記憶が横たわっている手放しで好きだった人そんな人は 皆 遠くに行ってしまった 「史記・伍子胥列伝」よりのインスパイア
2008.10.10
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忙しく過ごしている日々には、忘れていることはできるが、ふと、立ち止まると、様々な残影が、去来する。その時、視線を遠くに、さまよわせるのは、残影を留めたいからか、振り払いたいからか。。。視線の先にあるのは、過去か、それとも未来か。
2008.09.29
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曇り空日常の静物何も無い一日男は「日常」というものを繋ぎ、物語ることが、所詮は出来ぬものらしい。
2008.09.28
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鏡に映される平面には、 彩色のない姿が相応しい。 虚飾をまとう実態の 本質を映し出す明暗。 世界とは、所詮、 二つの何かで、構成されている。
2008.09.14
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混みあいを外れた 人気のない場所に 展示物ではないが 綺麗な一郭を見つける いつも こんな場所を探している きっと俺は こんなところが 好きな男なのだろう
2008.09.13
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「季節」は変わった。けれど「風景」には、さほどの変わりはない。本当の、おどろくべき変化は、誰にも気取られずに、ゆっくりと過ぎゆく。車窓という「枠」に、ふだんは目の当たりに出来ない「変化」を見出す。 「旅」は自分の意思で、「風景」が変わる数少ない振る舞いなのかもしれない。
2008.09.07
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昼下がり 坂を降ったところにあるレストラン 夏が終わる
2008.08.31
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都心の高層ホテルそのバーの窓越しに夜の景色を ただ静かに眺めている昼間は雨にけむり遠くまで届かなかった視界が夜半になって 開ける彼方に明滅するきらめきにそれぞれの物語を感じ取ろうとこころみる彼方のきらめきに比べ眼下の光源は 明るすぎ今の俺には そこに物語は紡げそうにないだから手にある琥珀色の液体をその光にかざしせめて和らげてみよう夜は明ける光源は消えるそして物語は終わる
2008.08.24
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渦中にあると、視界はその渦中の中にとどまる。しかし、他の世界を知らなければ、存外、幸せだろう。渦中を離れ、その渦中を彼岸にあって眺めてみるのが、高等な生き様なのかもしれないが、プレイヤーではない人生に、いったい、どれほどの充実感があるのだろうか
2008.07.29
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女を、悲しませる。その理由は、さまざまであろうが、避けがたく、やむをえない場合もある。ただ、女を悲しませていることに、男として、心しなければなるまい。男と女は、互いに傷つけあうものだが、相手が傷ついていることを推し量る感受性は、恋の余韻を美しいものにする、不可欠のものだろう。美しい余韻 男と女でいつづけるための何か。。。
2008.07.28
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多少ではあるが、かつて「山」をやっていたことがあるので、ソロクライマー・山野井泰史のことは知っている。前人未踏のビックウォールを単独アルパイン・スタイル(無酸素、無支援等)で攀じるテクニック。そして、なによりも、それを単独で為し遂げる強靭な精神力に脱帽する。ヒマラヤのギャチュンカン(7,985m)北壁を単独登攀後、同行者の妻・妙子とともに雪崩に巻き込まれ、手足の指を十本失い生還。あの状況下で生還することこそが奇跡といっていいだろう。山野井でなければ生還は期しがたい。山野井泰史。世界最強のソロクライマー。俺が見ることができない世界を知る男。日本には、今、単独登攀者・山野井泰史という天才が存在することを知っておくべきだ。 大学時代の旧友と丹沢の沢を攀る。日帰りでこなす、お気軽な沢登だが、ハーネスやザイルを使うのは十年ぶりかもしれない。このストイックな世界に身を晒すのは久しぶりだ。
2008.07.27
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その可憐なものが、俺の奥底に眠る、まがまがしきものを呼び起こす。呼び起こされる、まがまがしきものに、少しも似ない可憐なもの。ただ、俺は知っている。可憐なものは、俺の奥底にあるまがまがしさを解き放ちたがっている。無垢な振る舞いをしながら、まがまがしさに身を任せたがっている。そ知らぬふりをしているが、可憐なものもわきまえている。それは、俺と可憐なものとの間に交わされた黙契。
2008.07.26
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喉から手が出るほど、女を欲しているのに、おくびにもださないでいる。男が出来るの抵抗は、それくらいのものだ。
2008.07.25
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たいした素養もないが、いつのまにか、音楽が、本当に心にしみるようになった。孤独は深まった。いくつかの夢は結局は潰えた。いや、夢などは、はじめから持ち合わせていかったのかもしれない。もとめれば、そこにある、離れずに寄り添うその存在を今まで気づかずにいた。
2008.07.23
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澱がたまっているときは、凝った料理などしてみる。以前は、気持ちの状態で、味付けに微妙な変化が出たが、今は、ほとんど、そんなことは無く、安定をしている。つまらん男になったものだ。
2008.07.21
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唇が柔らかいらしい。キスは人よりもすこし上手らしい。手の形は悪くないらしい。声が魅力的なときがあるらしい。髪の撫で方がいいらしい。 まぁ、いいか。。。
2008.07.19
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少し前になるが、デジタル一眼を購入した。というわけで、週末に気が向くと写真を撮ってみる。撮りたい情熱を傾ける被写体は既に無く、カメラは広い意味で衝動買いというものであろう。ただ、早々のお蔵入は、周囲に対する面子にかかわる。なので、意識して写真を撮っている。写真は、基本的に、削ぎ落とす行為だと、素人ながらに考えている。文学で言えば、俳句の世界に近い。最近、「フォト俳句」なるものがあると聞くが、おそらく、その着想は、そこにあるのだろうと思う。余分なものを削ぎ落とし、本質に迫る。その本質は、実は撮っている自分の中にあるのだろうが、今だに、それはわからない。。。
2008.05.09
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色恋の感情やその記憶も、つまるところ、そのおおかたが言語で出来上がっている。年をとると、若いころよりも語彙の幅も広がり、言語の使いこなしも、多少は上手くなる。つまり、肉体上の強靭さは失われるが、女体を耽美し、行為を反芻する能力は、高くなるということだ。どうかね?
2008.04.26
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なぜか、自分が最も望まない役回りを、それと知りながら、自分の力を尽くして、演じなければならないことがある。そのようなめぐりあわせは、避けようもあるが、そうさせない何事かがある。それは、俺を、男たらしめる何かであることは、たしかだ。
2008.04.22
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思わしくない空模様だ。家で、読みかけていた本を読む。若かりし日に読んだ本だが、年齢を重ねた後に読み返すと、かつてとは違った味わいがある。そんな本が、良い本と思う。やはり古典とされる書籍は裏切らない。 読み疲れたので、コーヒーを淹れる。 【我流珈琲賞味法】 まず、砂糖もミルクも入れずに一口、二口。 次に砂糖を入れる。ただし掻き混ぜない(これが肝心) 徐々に砂糖が自然に溶け出す。 コーヒーの量が減るに従って味わいが少しづつ変化する。 ミルクは途中で入れるかどうかを判断する(たいていは入れない) 我流の賞味法で、ジジ臭いやりかただろうが、 コーヒーの種類、体調、天候によって、 砂糖、ミルクのベストのバランスを探し出す楽しみがある。 よろしければ、お試しあれ。
2008.04.13
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人は淋しいものだ。私的見解に過ぎないが、とくに中年男は淋しいものだ。男は、その生存に、女ほどの価値もない。基本的には、いわゆる「群れ」にはオスはひとりいれば良いはずで、それ以外のオスは基本的には、いてもいなくてもいい、いわゆる、取るに足らない存在となる。男の友情などというのも、あったとしても、刹那的なもので、それに浸り続けられるものでもない。男にとって、年齢を重ねるとは、その淋しさに耐え続ける術を見出すことに他ならない。耐え続ける術は、つまるところ忘却(これには仕事にかまけて多忙というのも含まれる)と忍耐のふたつだけだ。けっこう、これも、そんなには悪くもないものだ、と思うようになったのは、焼きが回ったというべきか。。。
2008.04.11
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やわらかに微笑む女。微笑は、まだ、開かれていないその扉を、静かに開く。扉の向こうに待っているのは、はたして何だろう。その微笑が魅力的ならば、きっと、幸運が待っているだろう。微笑、それは女の運命を開く。そして、男が、女に歩み寄れる一瞬女の微笑に男は救われる。
2008.04.07
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風もなく、あわいひかりのもと、音もなく花は散る。咲くころは、わき立つ様な賑わいだった気がするが、散るころは、人出も変わりはないのだろうが、なぜか、静かな印象ばかりが残る。花桜。。。その、咲きはじめや、花の盛りも、もちろん捨てがたいが、やはり、詩情をそそられる、散りぎわが、いい。 ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ 紀友則淡い桜の花びらを際立たせる、黒く無骨な樹幹に心惹かれる。かなうことならば、そういう生き様でありたい。
2008.04.03
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前からずっと欲しかったのだから、衝動的ということでは無いとは思うのだが、なんとなく、写真機(デジタル一眼)を購入してしまった。写真は、被写体への視点をどうとるかが重要で、それを可能とするのは被写体への愛着だと思っているのだが、今、愛着を注げる被写体は、さしあたっては見当たらない。そういう意味で、なんとはなく、購入してしまったというべきか。。。ただ、写真機を持って街に出ると、今までは気づかなかった被写体が、色々なところにあったことに気づく。近く、仕事がらみではあるが、京都に滞在する。かの地で、写真機を持って、愛着を傾けられる被写体を、探してみようか。。。
2008.03.09
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熱を出した。花粉症かと思っていたが、微熱があった。発熱は体温の意外な温もりを意識させる。しばらく眠れない日々が続いたことも、その一因だろうか。。。けだるさの中で、何事かを思う。同じ何かを思っている人がいると、ひそかに期待をかけてみる。あの人の肌のぬくもりは、いかばかりだろうか。
2008.03.01
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なにかを待つかのように、揺れる黒髪そっと、触れると、つややかに潤いを帯びて、しっとりと指先にからみつく。男の愛撫を受けるにふさわしきその髪妖しくその艶を増す。触らずにはいられない。
2008.02.28
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香水、女自身の匂いと溶け合って、 それは、男の覚悟を試す、女の鎧(よろい) 貴方は、私の匂いをつけて、帰れることが出来て?女が、その身につける香水その香りで、俺を試すのならば、その香りと溶け合う女の匂いのありかをまさぐり、探りあててみせよう。女は俺に身をさらすかわりに、その香りを俺にうつす。相撃ちか共犯か。かなうことなら、その女と、共犯者になってみたい。
2008.02.26
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声が聞きたい、と、女は言う。女にとって、男の声は、どんな意味が、あるのだろう。。。そういえば、女は、男に愛されるとき、確かに目を閉じている。。。男が思う以上に、男の声に、何かの意味づけを感じているのかもしれない。。。
2008.02.08
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家族が座る大きなテーブル。奥の椅子が俺の定まった場所。その場所からは、大して広くはないが、部屋中を見渡せる。そこは、この家で一番気に入っている場所だ。ここに座って、しばし、たたずんでいると、これまでの、そして、これからの数十年が、束の間に過ぎ去り、流れ行ったとしてもそれほど不思議なことではないという情感にとらわれる。これまでの年月、確かに何かが変わったはずだが、返り見れば、何も大して変わっていないような気がする。そして、おそらく、きっと、これからの数十年、このまま、何も、変わらないに違いない。きっと、ただ、年老いた私が、同じ、この椅子にすわり、やはり同じ壁を見ているような、そんな気がする。それでもいい。いや、それでいい。それがいい。あきらめに似た安息と、既に過去のものとなったかすかな悔恨。その、ほろ苦さは、間違いなく俺だけが堪能しうる味わい。
2008.02.05
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女のかたちは、まだ男のものとはなっていない。だから、女の中で、たゆたいきれない、ある、もどかしさが残る。女の、そのかたちに、以前の男を感じ、嫉妬し、荒々しくする。女のかたちが、変わったとき、女の中で、男はようやく満ち足りる。
2008.01.29
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太郎を眠らせ 太郎の屋根に 雪ふりつむ 次郎を眠らせ 次郎の屋根に 雪ふりつむ(三好達治「雪」) 雪は等しく降り積もる。 降り積もった後は、とても静かだ。 雪は、たとえば、歳月であり、風や空であったりもするだろう。歳月は何事も分け隔てせずすべてを等しくやすらかにする些細なことを忘れていた
2007.12.31
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風邪をひいていることでもあるし、部屋で一人静かに音楽を聴いている。今日のように、外の光が心地よいときには、たとえば、クラリネットが奏でる音色のように、猛々しくなく、柔らかなメロディがふさわしい。こんなに穏やかな一日は、久しぶりな気がする。
2007.12.24
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たとえば、心地の良い音楽に秘められた、大げさに言えば、人生と味わいというものを、少しくは、感じ取れるようになった気がする。ただ、人生は、感覚としては、すでに秋を過ぎ、過ぎ去った季節は、かえらない。その代償として得られた感覚が、遠くなった日々を、静かに、さまよう。
2007.12.17
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暗く、横顔すら、さだかには見えないが、たがいの声は、確かに聞こえる。君が、この声を、すきという。自分の声は自分ではわからない。だから、それを素直に受け取ることとしよう。かつて、そんなことを、言われたこともあった気がするが、そんなことは、忘れかけていた。余韻が、夜の中に解けてゆく。寒いが、今宵は、いい夜だ。
2007.12.16
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その手に触れることを、君は拒まなかった。しかし、抱き寄せようとすると、以外にも、君は頑なだった。だから、ただ、その手に触れるにとどまった。そのことに君がどんな含蓄をこめているのか。。。君の手は、あたたかく柔らかかった。
2007.12.03
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夜になると、昼間は暖かくとも、やはり冷え込む。季節のめぐりは、やはり、動かしがたい。歳月は、ゆっくり過ぎてゆく。昼の暖かさを思うか、それとも、夜の冷え込みを意識するか、それは、きっと、生まれ持った感性によるものなのだろう。その感性は、おそらくは宿命を暗示する。宿命は、変えようもなく、そして、変えてはいけない。今は、普通に、そう感じる。
2007.11.24
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