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「契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山浪越さじとは」 「歌枕」とは和歌に古来よりよく読み込まれた地名のことである。上の和歌では、「末の松山」が歌枕だ。この「歌枕」をモチーフとした内田康夫の同名小説を原作としたサスペンスドラマが、先日フジテレビ系の金曜プレステージで放映された「歌枕殺人事件 浅見光彦35」である。 浅見家の正月、光彦は東京地区かるたクイーンの朝倉理絵と百人一首に興じていた。しかし、理恵が「契り・・」で始まる札でお手つきをしてしまう。理絵の父・朝倉義昭が、冒頭に挙げた歌で歌われた宮城県多賀城市の「末の松山」で毒殺されており、事件は未解決のままだったのである。義昭の手帳には、「白波松山を超ゆ」と記されていた。しかし、「末の松山」は「波が越さない」からこそ歌枕になり得たのである。光彦は、事件の真相を求め、理絵と多賀城市へ向かう。そこには、更に12年前に起こった殺人事件の因縁が絡まっていたのである。 このドラマの特徴は2つあると思う。まずは、歌枕の謎を求めて、陸奥を旅する旅情ミステリーである。うやむやの関や勿来の関、みちのく公園や秋保温泉郷など、色々な観光地の美しい景色が現れ旅情を誘い実際に自分が旅をしているかのような錯覚を起こさせる。また「歌枕」についての蘊蓄も身に付き、なかなか勉強になる。 もう一つは、二つの哀しい親子愛の物語が描かれているということ。理絵の死んだ父に対する愛情と、親子であることを公にできない犯人の父親の息子に対する愛情。被害者側と加害者側の親子愛の対比により、内容に更なる奥行きが与えられている。 ところで、TBS系では沢村一樹主演の「浅見光彦シリーズ」が10月21日から連続ドラマ化されるが、フジ系列の中村俊介版の方は次はどうなるんだろう。○「歌枕殺人事件」(内田康夫) (原作)・内田康夫:「歌枕殺人事件」(出演)・中村俊介(浅見光彦)・野波麻帆(朝倉理絵)・中西良太(千田刑事)・川崎麻世(浜田弘)・津嘉山正種(窪村孝義) ほか○面白かったらポチっと1票! 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
October 5, 2009
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今日は、超ローカルな場所の紹介をしよう。もっとも、すぐ近くには、国定公園秋吉台や国の特別天然記念物秋芳洞などの有名な観光地があるのだが。 ちなみに、秋芳洞は正式には「あきよしどう」と呼ぶ。昭和天皇が、皇太子時代に命名されたとのことである。しかし、「しゅうほうどう」と呼ばれることも多い。この呼び方は誤りだと主張する人もいるが、誤りと言うよりは通称だと思っておいた方が良いであろう。 新山口駅から、防長バスで秋芳洞に向かうと、終点秋芳洞の少し手前にJRバス秋吉駅がある。バスセンターでもバス停でもない。最近は珍しくなったバスの駅である。もっともJRバスの駅と言っても、無人の小さな建物であり、停車するバスの本数も非常に少ない。「JRバス秋吉駅」 秋吉八幡宮は、このJR秋吉駅から秋芳洞方面に100mも行かない道路沿いにある。 秋芳町史によれば、この秋吉八幡宮は創建が建久3年(1192)であり、祭神は、主殿が応神天皇、右殿が仁徳天皇、地主神百済国王霊、左殿が玉依姫命、神宮皇后であるとのことである。八幡宮なので応神天皇や神宮皇后が祭神というのは当然なのであるが、右殿の地主神百済国王霊というのは、なんとなく古代の朝鮮半島と日本の結びつきの強さを連想させるような名前の神様である。 また、この神社は、秋祭りの潮汲みの行事が現代まで続いていることでも知られている。「秋吉八幡宮」 ぜひ皆さん、秋芳洞近辺まで行かれた時は、話の種にでも寄ってみていただきたい。
August 24, 2006
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) 大崎上島に渡った時に泊ったのは、「大安」という旅館。大西港からも近く便利の良いところにある。この島には、観光ホテルが一つあるが、やはり値段を考えれば、こういったところに泊る方が性に合っている。 下の写真は、大安で出た夕食。リーズナブルな値段で、御馳走を食べさせてくれる。機会があれば、また泊ってみたいものだ。 ○ランキングの順位は? ○関連過去記事・大崎上島大西港(大崎上島ぶらぶら歩き2) ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
June 10, 2010
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広電宮島線もっと魅力発見! [ 中田裕一 ]価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/10/15時点)楽天で購入 広電と言えば、各地で廃線となった路線を走っていた電車を走らせており、動く路面電車の博物館としても全国的に有名だ。路面電車というのは街中の軌道線を走っている、俗に言うチンチン電車というやつだ。我が懐かしの京都市電も走っている。この会社の持っている鉄道線が宮島線である。鉄道線というのは、要するに専用の線路である。もっとも軌道線から鉄道線への直通になっているものが多いので、あまり鉄道というイメージはないかもしれない。広島に住んでいる人なら一度は広電に乗ったことがあるだろう。 著者の中田さんは、2022年に退職するまで、35年間宮島線の運転士を努めた方だ。私も昔宮島線沿線に住んでいたことがあるので、宮島線も何度も乗った。本書はこの宮島線沿線の見どころを紹介したものだ。昔の宮島線沿線がどうだったかもわかり、極めて興味深い。 この今の沿線案内も興味深いが、更に100年前の沿線案内を復刻して収録しているので、昔の姿もうかがえる。本書を持って、今の沿線を回ってみるのも面白いと思う。☆☆☆☆
October 15, 2024
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