マイプライベートBL

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蛇淫の血

蛇淫の血
著者名:沙野風結子
出版社:プランタン出版 ラピスレーベル

蛇淫の血

内容:
ボディガード・角能尭秋×美大生・円城凪人
凪人はヤクザの妾腹の子である。そのことを隠し、避けるように生きてきた。平凡な生活を送ってきた凪人の元へ送られてきた物は爆発物。そんな凪人の前に現れたセキュリティサービス・角能は凪人を岐柳組の跡目候補だと言う。そのようなことなど認められない凪人だったが、角能は自分のマンションに凪人を強引に匿う。
そんな中、敵対する義兄に拉致されそうになり薬を使われた凪人は寸でのところで救出される。しかし薬のせいで淫らになった凪人は角能に抱かれる。その後も続く関係に戸惑う凪人だったが・・・

感想:
お話の内容が上手く書けない。このお話、ほんとうはすごく膨らんでる。
絵のこと、なにより、蛇の彫り物のこと。安穏と暮らすふりをして生きてきた凪人は、角能を愛してしまい、彼を繋ぎとめるために背中に刺青を入れる。
私には、凪人が角能に惹かれる気持ちが今ひとつ伝わらなかった。いつも思うのだけど、反する想いが次第に愛情に変化する過程を読み込ませる筆力はなかなか難しいと思う。何かのきっかけが鮮明に描写され、「なるほど」と納得させられないと、曖昧な気持ちのまま曖昧に好きだへ変化した場合、気持ちの変化を唐突に感じていまうことが多い。特にある特定のシチュエーションがある場合はその気持ちに気付かされるのは容易だけど、イヤな気持ちだけ先行して、エッチして、いつの間にやら好きでした、では、彼らの気持ちが理解できず、読者である私の気持ちは取り残されたまま話は進んでいく。
今回も、そのパターン気味だったが、刺青師の元へ連れてこられた時に、背後から角能に抱かれ、説得され、彫る気持ちになった、そこら辺りから凪人の角能に対する気持ちがすごく理解できるようになった。そして彼がすごくエロくなった。最初はキスすらしたことなかったくせに。エロ可愛い凪人である。ただし、刺青を背負う決意をしたことにはものすごくキュンとしたよ。

角能は実は元警視庁・警護課のSPだった。仲間の裏切り行為で挫折し、警察を辞職した。まあよくあるパターンだとも言えるけど、角能の先輩は常々SPは対象者に惚れなければならない、そのくらいでなければ肉の盾にはなれない、と言っていたはずなのに、警護対象者であるはずの人物を射撃する。その理由に心動かされた(内容割愛)。そのことに角能は無力感を感じたわけで、そういった細やかな伏線にけっこうグラリときた。対象者を殺してしまいたいと思った先輩の気持ち、尊敬していた先輩の裏切りを受け止められない角能、など。

けっこうこの2人、ドンカンである。互いに好きあいながら、互いの気持ちが見えていない。とくに角能、おいおい、あんたの言葉で刺青を入れるって決意した凪人の気持ちに全く気付かず、嫌われてるからと判断するあたり、「ええ~~」と思ってしまった。

とにもかくにも、このお話、好きです。続きが読んでみたい。組長になってしまった凪人のお話を。


すごく気になったこと。
蛇淫ってどういう意味?蛇のように淫ら?背中のクネクネ蛇で男を誘惑かな。文中、岐柳組は蛇に例えられていた。だとすれば、凪人の父親も蛇淫で、そーすっと・・・・いや、蛇クネクネは女性向けにも・・・あんまり考えないことにしよ。



評価:B
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆★★

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