マイプライベートBL

マイプライベートBL

さ行

桜樹かれん

書籍名: 愛のディスティニー
出版社:二見書房 シャレード文庫

感想:
野心家新人リーマン成長物語、です。

財前貴宏は大学を卒業し、大手百貨店の宝屋に就職した。貴宏は孤児であったが、ホストクラブオーナーの麗の庇護を受け大学まで通った。上昇志向が強い貴宏は、麗と別れ1からスタートして必ず宝屋のトップに立つと誓い、麗とのの関係を清算する。
そして貴宏は、宝屋の配属先でフロアマネージャーの桐生健一郎と出会う。やり手の桐生は折にふれ貴宏の面倒をみてくれる。桐生の有能さに憧れ、貴宏はいっそう仕事に野心と情熱を燃やす。食事に誘われ、ホテルの部屋まで共にし、サディスティックな桐生に抱かれる貴宏。仕事の時はクールだが2人だけのときは情熱的になる桐生だった。
紆余曲折だった仕事も順調になり、再び麗と会うことになったとき、貴宏には思いもかけない運命が待ち受けていた。

どうも、好きじゃないです。貴宏も桐生も。
作者の言う通り、貴宏は野心家だけどひたむきに目標に向かって進もうとする、その努力と情熱はいい感じです。でも、私的には、好きじゃないな。
財前といえば、「白い巨塔」の五郎ちゃんですが(--;)、彼のひたむきな野心の方が私は好きだなぁ。あそこまでの野望、自信、非情。だけど、最後は自身の専攻する胃がんで死亡。死ぬ直前、自身の病状について知らされないままだった財前五郎は、症状だけで自分の病型・がんの進行度・転移まで診断するのです(確か。はるか10年以上前に読んだので忘れましたが)。そこで私は涙が流れた。死を目前にして何のデータも持っていないにもかかわらず、冷静に自己の症状だけで病状を分析できるその気魄、感動するしかなかった。
財前貴宏は確かに一生懸命だし、かわいい。ひたむきです。
かわいい野心家ではありますが、イベントのリーダーに抜擢された時、仲間からつまはじきになります。それはいわば当然の成り行きなのですが、そうなることを予測できていなかったため、臆病になります。もちろん桐生に慰められる。貴宏の頑張りがみんなに通じ、最後はつまはじきにしていた仲間も見方になってイベントは成功。

ラストには孤児だった貴宏の前に実の親が登場。これには呆れてしまった。
なんというご都合主義なのでしょう。
野心家であることに異論はないけど、野心家なら野心家らしく、みんなに愛されたがりじゃだめだし、それがまた都合よく最後はみんなと仲良くなってハッピーなんて・・・ブツブツ
ひたむきな野心家という設定は多分、中途半端なのだと思います。
それから、貴宏は孤児なら孤児のままが潔いと思う。本の書き方だと、周囲からの反対もあろうが貴宏は経営者側にまわると書かれていた。貴宏の実の親には妻も子もあると思うのだけど、その壁を乗り越えていく野心が生まれるのは、わかる。だからと言ってすぐに経営?
そのままの場所から上へのし上がり、他の者に有無を言わさない実力をつけてから経営にまわるのではダメ?
その方がよほどに説得力が生まれないかな?主人公の都合のいいように物語が進むのには一定の理解はするけどさ、でも何もここまであからさまに書かれると、私はちょっと不愉快。

BLはファンタジーだし、リアルな社会事情を書けとは言わないけど、だからと言ってご都合主義でもオッケー、なんてイヤだな。
それから桐生という男。この人の顔が見えなかった。最初は特に、へのへのもへじ状態の顔でした。これは文中に桐生顔の造作に関する詳細な記述がなかったから。だから桐生の魅力も半減です。貴宏の乳首にピアスするなんて、さりげない執着が萌えでした。けっこういい男のようだったけど。残念。

評価:D
エッチ度  ☆☆☆☆★
感動度   ☆★★★★
ワクワク度 ★★★★★


桜木知沙子

書籍名: 金の鎖が支配する
出版社:徳間書店 キャラ文庫
金の鎖が支配する
感想:
「熱情」と似たようなシチュエーションかな・・・先生受け×生徒攻めで、最初は強姦・・・
ただ、登場人物の性格は全く違います。本編の攻め君は傲慢です。遊び人だし、女にはモテモテ。受け教師はちょっと地味な性格です。

専門学校の教師・各務朋彦には秘密があった。自分がゲイであること、親友を好きだということ。その親友が他の女と婚約したことを聞き、自棄になった朋彦はゲイバーでその思いをしゃべってしまう。受け持ちクラスの生徒・河本総がそこでバイトしているこということも知らずに。河本は朋彦の気持ちを逆手に取り、冷たい目で肉体関係を迫る。朋彦は強姦された上、携帯写真に撮られ、そのことをネタに更に脅され、挙句には河本のマンションに同居させられた。嫌々だったが、次第に行為にも慣れていく。そんなとき、河本が風邪を引き寝込み、朋彦は放っておけず看病する。そのことがきっかけで、2人の関係は変化していき、河本の生い立ちを知ることになる。

最初はなーんか面白くない展開だったんです。
朋彦に魅力は感じないし、攻め君の河本も傲慢男で何考えてるのかさっぱりだし、会話よりも状況説明の文が異常に長いし。1文1行は絶対にイヤだけど、会話のない長文がツラツラと書かれている状況もけっこう辛いものがあります。魅力的な内容ならまだしも、状況説明はなぁ。
以前、一般の文庫本を読んだとき、本は文章をずーっと書くよりも会話を多用する方が面白いと書かれていたのですが、それに私も同感です。

でも、3分の2くらいからけっこう興味ある内容に変化していきました。
河本の両親の離婚、原因は父親はDV。それなのに母親の息子への暴力。河本の孤独。希薄な人間関係。学校の友達に親友はなく、すべて表面上の友達ばかりの生活。家には誰も遊びにこない。
河本が傲慢で冷たいのには理由があったのですね。でも、最初はそれがわからないから、冒頭は河本の魅力が半減でした。

朋彦は地味だけど思いやりのある男です。最初は当たらず触らずのような共同生活ですが、河本の孤独を感じとってからは彼のことを構います。
そんな朋彦に河本は心を開き、朋彦も惹かれていきます。その過程は非常に納得のいくものです。
ただ、朋彦の受け君としての魅力は、最初の頃はわかりませんでした。顔のつくりの描写は少なかったような気がする。最後は周囲の人に「色っぽくなった」と言われますが、具体的ではありません。朋彦の最初の印象が、暗くて言いたいことも言えない弱気な男の人、って印象だったんだもん。そこがなかなか払拭されなくて、暗い印象のままでした。

現代の10代の男の子達の感覚の描写が、「あー、そうなんだ」って思わせてくれました。斜に構えているようで、実は純粋で素直なところもある、というところ。確かに、10代の人と接する時、理解出来てるか出来てないのかこちら側にはさっぱりわからなくても、後で、「あら、通じてたんだ」と思うことが時々あります。
今どきの10代ってよくわからん。

評価:C
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆★★★★


佐々木禎子

書籍名: ロマンスの旋律
出版社:茜新社 オヴィスノベルズ
ロマンスの旋律
内容:
霧原朋樹は邦楽の作曲者であり箏の奏者である。自宅で仕事をすることが多く、師範として後輩にレッスンを時々する以外はほとんどを自宅ですごす。古い一軒家に住んでいるが、その改装に設計技師である矢幡英司が関わり、それ以降、矢幡は何かと家のメンテナンスをしてくれる。男らしい風貌と立ち振る舞いに朋樹は反感を感じた。
松本省吾は高校からの付きあいでり、今、朋樹は省吾の愛人に成り果てていた。省吾は朋樹と付き合いながらも結婚したのだ。なし崩し的な付き合いに苦々しい思いがする。
昼から酒を呑んでいると、そこに矢幡が訪れた。傲慢な矢幡だったが、朋樹にキスをして・・・

感想:
切ない系のお話です。
省吾とは流されるように関係を持ち続け、強気で強引かと思えばきっちりわきまえた矢幡に心が開かれていく朋樹。朋樹は振り回されている、と思っていたけど、実は朋樹が2人を振り回していた、という展開です。
今どきのBLというよりも、昔からあるJUNE的要素が含まれてる気がします。佐々木さんはわりと古いBL作家さんだしJUNEにも掲載されてたので、そういう感じなのかも。

朋樹の箏にたいする情熱は好きです。箏が好き、作曲が好き。それは朋樹の存在意義だから。
恋愛については、葛藤してるのにプライドゆえに素直になれないところが、少々煮え切らない。それは矢幡にも感じるところです。じれったい。矢幡はわりとストレートにことを運んでるとは思うけど、なんせ互いに誤解しあうので、物語の途中が中だるみ的な印象になるのかもしれません。ただ、全体的に静謐な感じもする、きれいなお話だとは思います。

省吾については、最後で彼の本心が吐露されます。彼なりに苦しかったのだ、ということを知ることによって、省吾の位置は「いいヤツ」に昇格しました。あの本心がなかったら、自分勝手なヤナ奴ですね。

箏の魅力は十分に味わえました。和楽器はあまり興味なかったのですが、この作品を読んで少し興味がわきました。

評価:C
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆☆★★
ワクワク度 ★★★★★


陣内

書籍名: 俺の下であがけ
原作:アリスブルー
出版社:ビブロス
≪俺の下であがけ≫ 9784835214566
感想:
BLゲームの小説化されたものです。新刊なのかと思ったのですが、1年ほど前に出版されていました。ゲームを買おうかとも思ったのですが、時間がないので本にしました。内容は端的に言って、面白くなかったです。
最初の頃はもう読むのやめようか、と思うくらいでした。やはりゲームを小説化するのは難しいのでしょうか?目線は最初から主人公の黒崎だったはずなのに、ラスト近く、突然、樋口の視線で書かれたり、けっこうご都合主義だったり・・・
一番気になったのは、清水新と山口幸雄は本当に必要な登場人物だったのか、ということです。ゲームでは多分必要だったのでしょう。しかし今回の作品の中ではあまり重要ではないように思われました。
むしろ黒崎が樋口に関心を持っていく心理描写をもっと丁寧にすること、それよりも何よりも、読みたいと読者に思わせることのできる魅力ある主人公描写をしてくれればよかったのに、と思いました。
また岡崎という秘書についても疑問がいっぱいでして、秘書 兼 お手伝い 兼 ボディガード 兼 同居人これは無理がないかなー?秘書とお手伝い(それもベッドメイクもするらしい)は両立できるのか?かなりの疑問でした。24時間同じ行動をし、休日も黒崎の面倒を見る。やはりこれはかなりの重労働であるし、ストレスであるし、そんな奇特な人がいるのか疑問です。
悪いところばかり書いちゃった・・・
タバコを吸う樋口という設定は、意外性があって面白かったです。

評価:D
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆★★★★
ワクワク度 ★★★★★


鈴木あみ

書籍名: 薔薇の支配者
出版社:竹書房 ラヴァーズ文庫

内容:
森谷湊は無為の罪で監獄されてしまった。重犯罪刑務所、通称・レベル4と呼ばれる最新式の刑務所に無期懲役。身に覚えのない罪状に抵抗する湊だったが、全くとりあってもらえない。
そこで再会した男・遊木は刑務所の最高責任者である所長だった。遊木は昔、湊の家庭教師であったのだ。遊木は湊のことを好きだと言った。どうしていいかわからず、突っぱねた過去。
再会した遊木の目は冷たかった。刑務所内で信じられない扱いを受ける。湊は遊木に無実の罪を訴えた。遊木に、事件を調べ直す条件で奴隷契約を持ちかけられ、湊は了承する。

感想:
下克上ものです。刑務所の中でエロエロです。湊の無念の気持ちはわかるけど、とってもエロかった。
ボディチェックはボールペン、拘束ありに鞭打ち、鏡の前でエッチ、玩具挿入で放置・・・書いただけでもすごいなぁ。
湊が抵抗するからこそ楽しいんだよね。でも、契約後のエッチも、気持ち悪いはずなのに気持ちいい。それでこそBL的囚人です。

遊木も涼しい顔して、好き者・・・?実際は湊ためにいろいろと計らってくれます。最終的には湊が脱獄するためのお膳立てをしてくれた形跡。ただ、刑務所でのご主人様ぶりは、静かにエロかった。でもスマートな感じなので、不快ではありません。

私、最初、湊が投獄されたのはこの遊木の裏工作のためなのか、と思ってました。実際は違ったのですが、湊を手に入れるために彼をはめたという設定でも、楽しいかも。

評価:C
エッチ度  ☆☆☆☆☆
感動度   ☆★★★★
ワクワク度 ☆☆★★★




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