マイプライベートBL

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愁堂れな 2

愁堂れな 2

書籍名: 華やかな野望の果てに
出版社:プランタン出版 プラチナ文庫
華やかな野望の果てに
感想:
リストラされて警備保障会社に勤務するようになった日下部隆は、新谷孝彦と出会う。孝彦は日下部が配属された企業の専務だった。その美貌に目を奪われる日下部だったが、出合って次の日に日下部は孝彦から異例の秘書兼ボディガードの依頼を受ける。孝彦の秘書として同道するうちに、彼の専務としての本当の仕事を日下部は知ってしまう。愛人の子である孝彦は、社長を務める腹違いの兄のために男娼まがいの行為をしていた。そんな孝彦を思うと激しく心が揺さぶられ、『守ってください』と言う孝彦を、心の底から守ろうと誓う日下部だったが・・・

切ない系、好きなんです!どーしても。
この作品は3分の2が切ない内容です。売春させられながら一生懸命に生きてきて、やっとめぐり合った唯一の肉親にも売春を強要されて、いやいやながらにエッチ、緊縛、3P。そこに無口な救世主が登場って、私のBL的王道物語・・・
そんな物語に酔っていたので、私は孝彦の野望に気付かなかった。題名にも野望とあったじゃない、と後で気づいた次第です。
孝彦の野望は、よくよく考えれば納得できます。だって売春する時から演技で感じてるそぶりするって彼自身が言ってたわけだし、自分の言葉がどれほどに相手を動かす力になるか計算できてたんだもん。
孝彦のずるがしこさにちょっとだけ、「え~っ」って感じでした。
文中、孝彦はよく泣いてて、彼の辛さが実感できてたので、アチキも騙されたさー。
でもさ、そうだわよね。いくら唯一の兄だからといって、売春強要されて、はいはいって言いなりになる方がおかしい。
ただ、日下部にシンクロしてた私には、利用されてたという気持ちが大きくてちょっと納得いかない。うーん。
それでもって、ラストで兄と公務員を失脚させ、自分はのうのうと新しい会社に就職した孝彦が日下部の部屋を訪れるシーンですが、ここがねぇ、原稿の枚数も関係したのでしょうが、足りない!
物語としては日下部と孝彦は主人公なわけなのだから、最後にはラブラブにならないとBL本としては成立しない。それは理解できるけど、この展開からすると、最後に孝彦が日下部の部屋を訪れるのはとても唐突です。
孝彦側の気持ちの変遷を書いてほしかった。日下部が去っていった後の後悔と、どうしても日下部でなければならないと思いつめた経緯。それを孝彦の言葉で読みたかった。
残念!それがあればよかったのに。
文の書き方ですが、主人公2人がそれぞれに1人称でそれぞれの側から書かれてるのです。
いつも思うのですが、この技法、2人称もあったりするのですが、これってBLに特徴的な書き方かな?今まで読んだ一般書では見かけない。通常ではありえない。不思議な感覚です。
多分、いかにして別々だった2人の心が通じ合い、愛し合っていくか、その過程を明瞭にする方法なのだと思う。恋愛に主点が置かれてるから。それはそれでいいのかもしれないけど、なんだかなぁ。

評価:B
エッチ度  ☆☆☆☆★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆★★

書籍名:  予想外の男
出版社:竹書房 ラヴァーズ文庫
 予想外の男
感想:
俺こと岩永陽一郎のセクハラ受難の物語です。

岩永は広島支店から東京本社勤務へ抜擢される。そこで、学生時代に家庭教師をやっていた御木本悠人と再会した。当時から御木本はビスクドールのように完璧な外観だったが、それは7年後に再会した今も変わらずの美貌だった。岩永は家庭教師時代という過去を消したいほど恥じていた。できれば御木本には会いたくなかった。
岩永の歓迎会の帰り、思いとはうらはらに酔っ払ってしまった御木本を岩永は自宅まで送る破目になる。御木本のマンションで彼をソファに横たえ、その美貌に誘われるように唇を寄せようとした岩永は、御木本に抱きしめられるのだった。そして強引に抱かれる。御木本が発する言葉は顔には似つかわしくない下品なものだった。
その後から岩永は御木本にスキあらばと言い寄られるようになる。岩永を東京本社に引っ張ってくれた部長にもセクハラを仕掛けられ、岩永は頭を抱えるのだった。

コメディではありません。でも、でも、笑っちゃいました。
まず、同じ部署に2人のホモの存在。まるでネコなのにタチの御木本。ホテルへ来るように仕向けられ、潤滑剤のチューブを持つ部長を見る岩永の感想「お前もか」。
枕たたいて笑っちゃったよ!
御木本には流されるように抱かれ、部長の脅しに屈服してお尻を差し出す岩永、大嵐の真っ只中に傘一本で立つひ弱なレポーターのようです。早くお帰りと言ってあげたくなる。
そんな岩永のほうが予想外の男だわ。御木本に守られてるんだもんねぇ。
部長をもうちょっとテラテラした油ギッシュな感じのやなヤツにしてくれたら、さらに面白かったと思うな。
もう一つ欲を言えば、岩永の顔がいまひとつ見えなかったです。1人称で書かれてて、御木本も部長も岩永のことを形容してくれた方だけど、イメージがつかめなかったんです。でも、流されやすい性格であることには間違いないな。

評価:B
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆★★★
ワクワク度 ☆☆☆☆☆

書籍名: 罪なくちづけ 罪な約束 罪な悪戯
出版社:雄飛 アイノベルズ
罪なくちづけ 罪な約束 罪な悪戯
感想:
【罪なくちづけ】
田宮吾郎は仕事帰りの夜道、光るナイフに脅され、レイプされる。しかも明くる翌日には出張先で殺人の容疑者として任意同行を求めらた。身の潔白を証明する術はなく・・・そんな田宮の言葉を信じてくれたのは、たまたま新幹線で同道した高梨良平という刑事。彼はあれよあれよという間に田宮を襲い、さらに心の奥底に入り込んで田宮を慰めてくれた。地道に訊きこみを続ける高梨ら刑事だったが、真犯人は意外な人物だった。

【罪な約束】
田宮と高梨は同棲中。高梨の悪戯のせいで部内旅行で温泉に行ったはずの田宮は、皆とは一緒に温泉に入れず、早朝を狙って露天風呂に入った。そこで若い男の死体を発見する。殺された男は高梨が追っていた事件の容疑者だった。事件解決のため捜査に奔走し、意外な人物との接点を見出す。一方田宮は、高梨とのキスシーンを後輩の富岡に見られ窮地に陥る。

【罪な悪戯】
高梨の所轄で美青年絞殺事件が起こる。容疑者は殺された青年が付き合っていた男「ユウジ」。その男の手がかりが全くつかめなかったが、殺された現場から発見されたのは社章バッジ。それは田宮が勤める会社のものだった。
同じくして田宮は会社で、後輩・富岡とのホモ疑惑に見まわれていた。そのせい中傷メールが田宮のPCや人事課に送りつけられる。真偽を問う人事課課長・三条。田宮は中傷メールについて強引に相談させれられていた。

出会い編でレイプだって!衝撃的です。それも公衆便所。その臭いまで漂ってくるようです。おまけに次の日は殺人事件の容疑者だもん。れなさんストリーテーラーよね。
高梨もカッコいいのに何故か大阪弁。なんでやの?でもさ、ナンだカンだ言っても、高梨はずっと田宮のこと守ってるんですね。勇気付けてさ。田宮が羨ましくなったぞ。

約束では、トミーの登場です。
彼のニックネームも好きじゃないんだよね。これは栗本薫作「翼あるもの」を思い出す。透もトミー。透は好きだったんだけど、トミーっていうニックネームは好きじゃなかった。だから富岡のトミーも当然好きじゃない。私って、ヘン?

それから田宮と高梨の2人はラブラブ全開モードです。前作で田宮はレイプ2連発だったから、今回は・・・と思いきや、トミーから・・・悪戯では三条に狙われ。
ちょっと田宮くん、スキありすぎ。でもそれだけ可愛いってことかな。彼、すごく尽くし屋さんで、性根が優しいもんね。それに鈍感だし。
多忙だけど高梨くん、頑張って守ってほしいな。

構成的にはサスペンス調であるし、けっこう緻密にはなってるけどそこそこといった感じです。犯人の意外性はないな。動機にしても。
でも、BLでここまで書ければ私は満足です。
例えば、捕まった後に犯人が後悔するところ、少しだけ涙が出ました。
ただ、残念だなと思ったのは、三条が普通の人格だったこと。
話の折々で三条の気持ちが綴ってあったけど、精神破綻を来たしてるような印象だったから、彼は捕まったら精神症状を発するのではないかと思っていたのですが、普通に殺人したことを反省していました。
あそこまで精神異常の兆候があったのだから、破綻させれば、それはそれで面白い展開にならなかったのかなって思います。

文句なしに、面白い作品だった!

評価:A
エッチ度  ☆☆☆☆★
感動度   ☆☆☆☆☆
ワクワク度 ☆☆☆☆★

書籍名: 罪な宿命
出版社:雄飛アイノベルズ

罪な宿命

内容:
田宮吾郎の出張先のイベント会場で殺人事件が起こった。被害者は会社社長。死ぬ直前に田宮にナンパを仕掛けた男である。この事件の被疑者はその会社社長の秘書。しかし彼は恋人と目される男と逃亡を図っている。秘書の恋人は高梨良平の元同僚だった雪下だった。その事件の捜査に高梨も当たっていたが、その頃から彼にわずかの変化が訪れる。何か苦しんでいる様子に、田宮もまた高梨の手助けが出来ないジレンマを感じるのだった。

感想:
辛口かもしれません。ごめんなさい。先に謝ります。

普通、私、シリーズものの場合、巻が進むにつれ主人公たちが好きで好きでたまらなくなる。しかし、このシリーズ、何故かそれに逆行している。
夫婦同然の2人の関係に安定を感じるからだろうと思う。安定した関係、崩れることのないゆるぎない愛。それは私にとっては少々退屈かも。

今回、れなさんは何に焦点を合わせて書きたかったのだろう。リーマンものと2時間サスペンスドラマ調が好きと以前言っていた。サスペンスは事件の推理が主体ではなくて、BLが主体で、男×男が愛しあうのがメインだとか。ま、BL本だからそれでいいと思う。しかし一番書きたかったのは田宮と高梨のラブラブ状態?高梨の雪下への懺悔?

私が一番読みたかったところは、斉藤に騙されて抱かれ続けた水原の気持ち。彼が斉藤を憎み、殺すまでの心理状況を水原の言葉でもっと詳しく読んでみたかった。

つまりは田宮を主人公に据えサスペンスを展開することに、かなりの無理が生じてるのだと思う。ここまで殺人事件に巻き込まれる刑事のかみさんというのも、なんだかなぁ、と思ってしまった。
それといつも感じるご都合主義。これはちょっとね。雪下と水原の出会いの場面がミトモのバーでビンゴ、全日空ホテルに偶然宿泊した高梨、などなど。

あ、この作品が面白くないと言ってるわけではないのでご注意意を。物語としては、よいと思う。まずもって起承転結も文体も安定している。田宮と高梨の関係も魅力的。高梨の誠実さに好感。

ただ、先にも書いた通り、書きたい焦点が何かわからないのだ。もし2人の関係を書きたいのであれば、サスペンスの必要性はないし、ま、同人誌でも十分かな・・・サスペンスなら、水原の小さな心の動きとか行動を細かく読みたかった。
書けば売れる人気のあるれなさんだから、編集者に頼み込まれたのかな。最近、怒涛の出版ぶりに驚いている。違うシチュエーションで同じ味付け、とならないような作品を希望したい。

評価:B
エッチ度  ☆☆☆☆★
感動度   ☆☆★★★
ワクワク度 ☆★★★★

書籍名: やるせなき恋情
出版社:雄飛 アイノベルズ
やるせなき恋情
感想:
穢れなき恋情 のリンク作です。
弁護士の大河内隆美には心密かに惹かれる男がいた。4歳年上で血縁は全くないが事情があって大河内家に引き取られ、母親のいない隆美のために世話をやいてくれた兄のような存在の男、清永寛人。医者である寛人が実家の大河内の病院を依願退職して3ヶ月。行方を捜していたが、やっと寛人のアパートを突き止めた時、寛人は血まみれになって死んでいる男の横に呆然と座り、ナイフを握り締めていた。
隆美は思わず寛人を連れて逃亡する。寛人がやったとは考えられない。しかし寛人はたった3ヶ月の間に覚せい剤中毒者になっていた。寛人には不利な状況証拠がそろう。犯人は別にいると確信する隆美は、真犯人探しをはじめる。

ストーリー展開はすごく面白かったです。
れなさんらしい2時間サスペンス調で、前作の主人公たちである小鹿や沢村もほどよく登場し、最後はどんでん返し(・・・とのほどでもないのですけど)あり、感動で涙も少し出ました。
どこで涙が出たかと言うと、隆美の師事している弁護士が「信頼できる刑事」の電話番号を隆美に教えるのですが、その相手が沢村だと隆美が知ったとき、何故か涙がちょっとだけ出ました。

物語の冒頭は衝撃的で、死んだ男の隣でナイフを持ってる状況の寛人の無罪をどうやって証明していくのだろうって興味がありました。
最後に隆美たちは、女を呼び出した場所に現れた男が真犯人だったんだ、ということをその男の告白で知ります。その男が真犯人だとわかってて行動したのは東署の刑事だけだったわけで・・・そこらへんの展開が、「うーん」とうなっちゃうところです。サスペンス調ではあってもBLがメインなのですから、それで十分だとは思うのですけどね。なんかね。
お前が犯人だ、ってコナン君のように言うのは主人公たちであってほしいなと思うのは、きっと私の我儘だ・・・

寛人に対する違和感が非常に強い作品でした。
最初にも書いた通り、物語の展開はすごく好きです。
でも読み進むうちに、寛人に対する違和感が増すばかりでした。主人公の一人、寛人はあまりにも不幸すぎるし、不幸にもかかわらずいい子すぎます。
親が自殺で早くに死に、親戚をたらいまわしにされ、大河内の家に置いてもらいたいがためにせっせと家事をなこなし、自分にしてもらえることを「勿体ない」と過剰にありがたる14歳。学業は常にトップで、友達は一人もいない。
それって、異常くないかなぁ。
思春期の少年にはありえない現実が突きつけられて、それでも健気に生きる寛人には胸がしめつけらる思いはするけど、反面、引きこもりではないのに友人が一人もいない状況はありえるのか、不思議に思いました。
それと禁断症状が少ないな。薬中の禁断症状って見たことないけど、TVで見る限りすごいでしょ?寛人にはそれほどひどい症状はないんですよね。
でも、寛人、私、好きですので・・・
隆美と幸せになってほしいです。

物語の最初と中盤と最後に登場する会話は、隆美と小鹿の会話だったのですね。幸せそうな小鹿と無口で洞察力に優れた沢村の小さな幸せが、嬉しかったです。

最後に絵がすごくいい!寛人が綺麗です。

評価:C
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆★★★

書籍名: 穢れなき恋情
出版社:徳間書店 キャラ文庫
十億のプライド
感想:
大手家電メーカーに勤める逢坂高志はトップ営業マン。どんな手段をしても契約を取る努力を惜しまないし、そのことに対する周囲の軽蔑など気にもとめない。機器展示会会場で逢坂は取引会社の社長に、愛人契約と引き換えに十億の契約を結ぶという申し出があった。速攻承諾するが、愛人契約がどういうものか想像できない。あまり交友はなかったが、ゲイだという同期の木村幸信に相談すると、彼は怒ったように逢坂を抱いた。肉体的に恐怖を植えつけられるような出来事に身の竦む逢坂。社長に追い詰めらるように、逢坂は愛人として奉仕しようとするが、果たせずに逃げでしてしまい・・・

面白い度が100だとすると、れなさんの作品はたいてい60~80くらいの面白さです。そこそこ面白いけど、「読んでよかった!」という作品は少ないと思う。ま、それはれなさんに限らず、大好きなたけうちりうとでも同じですが。たった1作、「この本が死ぬほど好きだ」と思える作品があるかどうかが問題なわけで・・・

今回も、そこそこなんですよね。
逢坂の仕事に対するプライドや真摯さ切実さは理解できます。営業なんて多分結果が全てだろうし。その努力を惜しまない姿勢はとっても好き。理想だけでは仕事はできないもの。
木村もゲイであることをカミングアウトしながらも、家族を愛することを捨てたわけではなく、愛したいと思う気持ちが切ないです。
そんな木村に好意を抱いていく逢坂の心の動きも、唐突感もなく、違和感もなく、流れにそっていたと思う。
逢坂の母親に関しては涙がチョチョ切れました。どんな物でも子供からプレゼントされたものを使えずにとっておく母親心・・・ここにはぐっと来ました。私の母は、プレゼント貰っても嬉しがらない人だったので、いいなーなんて思いました。

問題は?と聞かれればやっぱりご都合主義でしょうか。
お金持ち設定の木村とか、愛人契約を破棄しても契約の取れた仕事とか。私としては、商談破棄となっても、そのことを受け入れることができる過程を読んでみたかった気もする。

ただ、木村と逢坂の初エッチには、「木村くん、うまいねー」って思いました。だってさ、痛く抱くことによって逢坂に男同士のエッチに恐怖心を抱かせるっていう野望は果たせたんですもの。そのお陰で、社長さんとのエッチも未完に終わるし。よかった、よかった。

絵が、美しかったです。

評価:C
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆★★★

書籍名: 傲慢な彼ら
出版社:二見書房 シャレード文庫
傲慢な彼ら
内容:
元木恵は、上司である桜井の「愛してるのは恵だけだ」という言葉を信じて3年間付き合ってきた。桜井には家庭があったが、妻には触れていないという。それなのに、桜井の昇進祝いの席で彼の妻の妊娠を知った恵は自棄になり深酒する。気がつくと同僚である菊池の部屋で彼と一夜を共にしていた。その後、桜井との関係をネタに脅されるように菊池を関係を持つ恵。
恵は桜井の気持ちに不審を抱いていた。アパートを訪ねてきた桜井に本当の気持ちを問う。そこへ鉢合わせした菊池からは、ずっと好きだった、と告白され・・・

感想:
この恵という主人公、はっきり言えば、「頭が弱くて流されやすい尻軽男」となってしまう。いつも自分の恋愛感情で右往左往してて、そのせいでお仕事もミスをする。顔だけは綺麗らしい。
プライドというものがないのだろう。意志も弱いし、非常に流されやすい性格。自分で自分の取る行動が制御できないらしい。「傲慢な僕ら」の展開は、「そりゃないっしょ」と思ってしまった。

付き合い始めた菊池が手も触れてくれないから、菊池の気持ちがわからなくなり、欲求不満もあいまって、別れたはずの桜井とゴルフに出かけた挙句、一夜を共にする。それだけならまだしも、オフィスでもエッチ。
でも好きなのは菊池、って主題通り「傲慢な」恵です。
最後は泣いてすがって菊池と仲直り・・・
欲求不満でも、一度「桜井とは別れる」と決めたのだし、おまけに菊池の愛を受け入れたのだから、裏切り行為とわかっていてのエッチは、人間としていかがなものか。もしやりたいだけなけなら、そのまま桜井の愛人のままでもよかったんじゃなかな?
でも本当に愛情が欲しかったのなら、禁欲すればいいのに・・・禁欲できないのがBLかなぁ。

恵に同感できる点が全く見出せなかったので、お話も面白くなかった。

好みで言えば、菊池は私のツボ男なんだ。出来る男。愛情や思いやりも深い。でもお話の中ではどちらかというと、桜井のほうが多く登場したような気もする。桜井の自己中の方が印象深くて、菊池のカッコ良さが半減だった。

うーん、普通だったら買わない本だなぁ。愁堂さんだから買ったのに、ちょっと損した気分です。

評価:D
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆★★★★
ワクワク度 ☆☆★★★

書籍名: 愛こそすべて
出版社:リーフノベルズ
愛こそすべて
内容:
日本人形のように美しい佐藤一朗は、帰国子女のために日本語が苦手。だが過去のトラウマで、外国人が苦手なのだ。一朗は国内を市場とした企業に就職したが、彼の教育係担当は外見は全くの外国人、神田ウィリアムだった。ウィルは、見た目は外国人だが内面は全くの日本人なのに、それでもウィルと接するたびに体がすくむ一朗。
見てくれは美しい一朗だが実は喜怒哀楽が激しい。そんな一朗を優しくカバーしてくれるウィル。あるきっかけでウィルの複雑な家庭環境を知った一朗は・・・

感想:
可もなく不可もなく、といった印象。
一朗は印象と全く違う性格で、取引先の人を英語で罵倒するあたり、おもしろかった。一朗の喜怒哀楽の激しさがこの作品の一番の魅力だと思う。
ウィリアムの優しさも伝わったし、各キャラの個性はきっちり書かれてるので、顔もへのへのもへじではない。特にウィルのおじいちゃんはステキだった。
文章の書き方はBL的及第点なのです。上手な書き手さんだと思います。

満足できないのは、印象に残らない。スラーっと読むだけ。それで終わり。もし第2弾が出たら読むかもしれないけど、それも同じだと思う。消費主義なBL作品、といった感じでしょうか。
そのような感想を抱くのには理由があります。一番はご都合主義だし、二番はキャラの行動がどの作品にも共通してること。

ただ、やはりれなさんは上手いのですよ。おじいいちゃん、涙がチラリとしてしまった。ここらへん、さすがです。

私の心を乱して引っ掻いて、その行動を逐一覚えてしまうくらい入れ込めるれなワールドキャラ、心待ちにしています。

評価:C
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆★★★
ワクワク度 ☆☆★★★

書籍名: 愛人契約
出版社:徳間書店 キャラ文庫
愛人契約
内容:
高橋涼は早乙女俊一郎の愛人だった。その彼が亡くなってしまい、弟である早乙女浩二が涼宅を訪れた。俊一郎が涼に買い与えてくれたマンションを出て行け、と言う。もっとも、逆らうつもりもなかった涼はその言葉に従うつもりだった。
浩二は俊一郎の死により、早乙女エンジニアリングという企業のトップという役職が転がり込んでいた。会社の立て直しを図っており、新プロジェクトを控え、スキャンダルを嫌った浩二から新たな提案があった。涼に浩二の秘書になれ、と言う。涼は逡巡しながらも了承する。
浩二との同居生活が始まり、彼の会社内外の不評を耳にする涼。態度は傲慢で、涼は強引に浩二に抱かれてしまう。その後はなし崩し的に情事を重ねるが、涼は浩二をどうしても嫌うことが出来なかった。

感想:
れなさんお得意の物語だと思う。強引攻めと優柔不断受け。今回、ちょっと違うところは攻めの浩二の風当たりが悪いということだろうか。浩二の孤独な幼少時代は、なんだか石原裕次郎の昔の映画のような展開だった。ストレートにかっこいい、じゃなくて、ジェームス・ディーンのような斜めにかっこい攻め男、という印象。こういう攻め、けっこう好きなんだ。

受け君の涼はかなり優柔不断だなぁ、と思った。愛人として暮らしていくことにプライドを傷つけられることもなく、そのことに甘んじてる。あまり私好みの受け君ではない。でも、印象は悪くない。何故か・・・
浩二とのエッチがそそられるんだもん。意識失うほどされちゃうし、社長室では抵抗ナシ。それと孤独な者同士の同属愛というのかしら?それがよかた。
泣きじゃくる、っていうのはいかがなものか、と毎回思うけど。この表現、変えてくれないかなぁ・・・・

浩二の38歳という設定、BLとしてはけっこう高齢ですね。三木谷さんくらい?涼は一体何歳なんだろう?書いてなかったような気がする。

絵が良かった。特に涼がピッタリ。線が細い感じとか、淋しげな目とか。

評価:C
エッチ度  ☆☆☆☆★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆★★★

書籍名: 監禁の甘い誘惑
出版社:プランタン出版 プラチナ文庫

文庫(さ行)監禁の甘い誘惑

内容:
ヤクザ若頭×32歳リストラ寸前リーマン。監禁、調教気味エッチ。最初無理矢理、後、ラブラブへ。

感想:
辛口感想かもしれない。

最近れなさんの作品から遠ざかっていた。理由は、(ごめんなさい)金太郎飴だから(意味、わかりますか・・・?)。
今回この本を買ったのは、ヤクザが登場するから、それだけの理由。

リストラ寸前の美形男がヤクザに監禁されてあれやこれやされ、最後にはやっちゃんに惚れる、リストラ寸前もそいつのおかげで何とかチャラになる、という、ま、ありふれたお話です。
プラチナ文庫だから(?)エロ度はかなり高めかな。
それでいいのかな。この出版社の場合・・・?わからん。

ヤクザさんを好きになれなかった。受けクンも好きになれなかった。
あんたら2人でよろしくやってくれ、って感じだった。

読後に何も残らない。エンターテイメントならぶっ飛んだワクワク感が欲しいけど、私にとってはそんな気持ちもわかなかった。ただ読んだだけ。消費される文字。消費される登場人物。
それでいいのかな、とも思うし、いや、BLだからそれでいいんだ、とも思うし。
BLから文芸へとは望まないよね、誰も。
でも、文芸もどきは好きなんだよ。BLなりの向上心とか、私小説的展開とか、純文学的思考とか、そういったものをすき間すき間に読み取りたい。例えエンターテイメント小説であっても。

こんな私はこの本を読むべきではなかったのかもしれない。でも、ヤクザものが読みたかったんだもん。と、いい訳です。


評価:D
エッチ度  ☆☆☆☆★
感動度   ★★★★★
ワクワク度 ★★★★★


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