ビール片手に

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May 7, 2008

ミシシッピがくれたもの　リチャード・ペック

(16)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?

カテゴリ：は行の作家

南北戦争時代にさかのぼり、アメリカ史の深部に迫った物語です。

奴隷制に反対したイリノイ州と、賛成派のミズーリ州の間には、ミシシッピ川が流れています。川を挟んで明らかに対立する思想を持った人々が、街で混在しながら暮らしていた当時の様子が、思春期の子供の目線で綴られて、興味深かったです。
この大河沿いのイリノイ州の田舎町で暮らす若者達が、同じく下流沿いのルイジアナ州のニューオリンズで育った娘達に偶然出会い、展開していく物語は、興味を惹かれました。

戦争や人種差別の深い傷を、歴史に忠実に綴っていて、その当時の思想の違いによる人々の壁を、ひしひしと感じさせられます。またニューオリンズに当時多く存在した自由民の黒人女性達の微妙な立場（クワドルーン・セイレンと呼ばれた人々など）の姿も、浮き彫りになります。

南北戦争の傷病兵士達の扱いなど胸の痛む箇所もあり、スリリングな展開と最後の謎証し的STORYに、ちょっと意表を突かれ、読み応えのある非常に面白い本でした。