約束さ永遠のミステリ~ 妄想と考察と日常の闇鍋

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2025年12月08日
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テーマ: 読書感想文(764)
カテゴリ: 読書感想
今回感想を記すのは、門前典之の**『首なし男と踊る生首』**である。
「殺人計画書」通りに、不可解な状況で人が殺されていく。いったい誰が「計画書」を書いたのか。そして生首は目の前で、生前の恨みをはらすかのように飛びまわる。かつて刑場だったその地の呪いなのか……。(Amazonより引用)
クロスウエディングという会社が結婚式場を建築する工事に関わることになった宮村。打ち合わせを終え、所長の平松と飲んでいたが、悪天候で現場が心配になり、二人は現場へ向かうことにする。大雨の中、現場を見回っていると、平松所長が廃屋の中へクロスウエディングの幹部が入っていくのをたまたま目撃する。その直後、土砂崩れが起こり、廃屋の入り口は大岩で塞がれてしまった。
重機を用いて岩をどかし廃屋に入ると、そこには斧を持った首なし男と、赤く爛れた生首が存在していた。直後に鉄砲水が起こり廃屋は流されてしまう。そして同じ頃、工事現場にケーブルを盗みに来ていた若者は、血の滴る生首を竹林で見つけていた。警察に連絡するも死体が見つからないことで、当初は真剣には取り合ってもらえない。
実は、この事件では被害者と犯人が途中で入れ替わっていたのだ。生首は二つあり、廃屋の中で行われたのは殺人ではなく**「事故」**であった。死体の胴体が偶然斧を掴んでしまったことで、首なし男が首を切ったような構図が出来上がってしまったのである。その地に伝わる処刑人の伝説とたまたま同じような状況になったこと、生首の状態が似通っていたこと、「殺人計画書」によって事態がややこしくなっていたのだ。
犯人たちは伝説になぞらえるつもりは無かったが、偶然と合理を突き詰めた結果、図らずも「見立て殺人」のようになってしまった。発見者の若者たちが地元出身であったため、処刑人伝説と重ねて見てしまったのも一因であろう。犯人も死んでしまったため逮捕者はおらず、結末はまさに**「人を呪わば穴二つ」**である。宮村と蜘蛛手のやり取りと、若者たちの更生が物語の最後に少しだけ清涼感をもたらしてくれた。
門前典之の本はまだ三作目だが、既に大分ファンになっている。死体を徹底して**「素材」として扱う作風は、倫理的にはちょ~っとぶっ飛んでいるが、私的にはかなり好みだ。時にバカミスと言われかねないとんでもトリックだが、私はミステリにリアリティを求めるタイプではない。むしろとんでもトリックであればあるほど、最後に理由が説明されるシーンのカタルシス**が感じられる。また死体の突飛さに目が行きがちだが、部屋を入れ替えてDNAを誤魔化すなど技巧派トリックも用いられている。生首の描写や殺人計画書の内容など、伏線もきちんと張られている。とはいえ結末が結末なので、犯人を予想できた人は少ないのではなかろうか。むしろ予想できた人はどうやって推理できたのか教えて欲しいほどである。
今回の犯人の行動力には憧れないが、感心する。前回読んだ『屍の命題』は死者は六人だが、犯人一人当たりの手間はあくまで殺人一人分だ。今回の犯人は、井戸から脱出するために土とセメントを積み上げ、死体を固定し、もう一人の犯人に復讐し、殺人計画書を書き足す…と、二日間でむちゃくちゃ働いている。ミステリの犯人というのは行動力がすごい。三十分の散歩すらめんどくさいと思う私からすると、雲の上の人間だ。復讐心や欲望は、それだけ人を動かせるのかもしれない。
首なし死体のお約束、死者の入れ替えトリックも用いられている。密室や首なし死体など本格要素とバカミス要素がマッチしていて実に気持ちいい。倫理と合理のギャップに翻弄されたい人にはお勧めの一冊である。
余談
首なし死体の謎解きの部分で『Skyrim』というゲームを思い出した。『Skyrim』ではフィニッシュムーブ発動により敵の首を切り落とすことがある。この時、生首がポーンと吹っ飛んで転がっていくことがあったのだ。流石に武器の上に首が乗っかったりはしなかったが、物理演算しだいでは立ったままの首なし死体は普通にありえそうだ。このゲームは自由度も高くめちゃくちゃ面白いので、久しぶりにプレイするのもいいかもしれない。





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最終更新日  2025年12月08日 21時22分41秒
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