忘れられない涙があります。

あれは、4年前のカレの涙。

毎日毎日カレと会って、カレとゴハン食べて、カレと寝て、カレと起きて、いつもいつもカレと居た。
学校に行くか、カレと過ごすか・・・。
そんなシアワセな生活だった。

でも、4月からカレは大学進学のため県外へ。
ハチは金沢に残って看護の勉強。

どうしても離れなきゃならない時だった。

毎日カレと過ごしてたから、カレと居ない時間が考えられなくて、何をして過ごしていけばいいのか分からなくて。

残り少ない時間を楽しく過ごしたいと思って強がってた。
でも。
いざ!最後の時間になった時。
家まで送ってもらった車の中。

ついに言ってしまった
『行かないで。』

我慢できなかった。今言わなきゃ・・・。

今考えればこんな状況ズルかったかもしれない。
でも精一杯だった。
どうしても離れたくない。近くに居たい。今までみたいに毎日じゃなくていいから、いつもハチの近くに居てほしかった。
離れるなんて考えたくなかった。寂しさだけが残る。
これだけ好きになったカレだから、これからもずっと一緒に居たかった。
大好きのキモチでイッパイだった。

そしたら、たくさん涙が出てきた。

カレの前でたくさん泣いた。
このキモチ。
耐え切れなくて恥ずかしさなんて感じないくらい泣いた。

『俺も寂しいよ。』

『一緒に居たい。』

『・・・。行かなきゃ。』

作ったり誤魔化したり。そんなのではない、そのままのカレのキモチ。
初めて見る涙だった。

男らしいカレ。そんな涙にびっくりした。
カレは隠すことなく泣き顔で強くハチの手を握ってくれた。

そして。
『帰ってくる』

うれしかった。

離れている4年間。
ハチもカレもいろんな経験をしてきた。
仕事のことも恋愛のことも。

でも。
今までで一番忘れられないのがカレの涙。
それから何度も会ったけど、カレの涙を見たのはこの1回だけ。

今となっては涙を見せることはナイけど、カレのこの時のキモチはハチのココロに響きました。
今でも思い出して泣けるくらい。
きっとずっと忘れないだろうなぁ。

忘れない。




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