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Jun 26, 2008
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カテゴリ: 本

話題になっているものや、ベストセラーとして売れている本は、実際に読んでみるとガッカリとなることが多いのですが。
この本は好きだと思いました。
作者・小川糸 が初めて書いた本が、この本です。

同棲していたインド人の恋人。
二人で将来レストランを持つために貯えてきたお金やアパートの部屋にあった家財道具、彼に一切を持ち逃げされてしまう私・倫子。
そのショックから、私は失声症?声が出なくなってしまいます。
折り合いの悪い母親の住む故郷へと、15才で家を出てから10年ぶりに、深夜バスに乗り帰るところから物語りは始まります。

失ったもの:恋、家財道具一式、声


15才から暮らした祖母の漬けた最後の想い出の梅干も、冷蔵庫の中にあったその夜に食べる予定だったひよこ豆とクスクスで作るクリームコロッケの材料までも、何もかもきれいさっぱりなくしてしまったのであったが。
ガスメーターのドア内にある、祖母の形見のぬか床だけはかろうじて残されていたのです。
バス代とぬか床の入る壷を抱えて、最後に単語カードとマジックペンを購入してしまうと、私には残るものは何もありませんでした。

無一文となった倫子は、料理以外に自分が立ち直る道はないと決心し、母親から物置小屋を借り受ける。
倫子を「りんごちゃん」と呼ぶ人のよい熊さんの手助けをうけながら、少しずつ改造して小さな食堂・かたつむりを作り上げます。
駆け足で作ったにしては、食堂の雰囲気は満足のいくものでした。

一日一組の予約制にして、予約のお客様とは事前にあって話をきき、その結果に基づいてメニューを考えるのです。

一番初めの客は、熊さんです。
「最近カレーは食べていない」と話す熊さんに出したカレーは、ザクロカレー。


近所で取れたばかりの野菜や果物などの山の幸、海の幸を出来るだけ自然のまま使い、丁寧に丁寧に手間と時間をかけて作り上げていく。

その料理を食べた客達・・・引きこもりのお妾さん、拒食症のうさぎを元気にしたり、片想いの女の子の思いを届けたり、結婚に縁のなかったカップルを幸せにしたりと・・・出される料理の数々は、夢の中の世界のお料理のようでとても美味しそう!!


おかんのペットである豚のエルメスの朝食、どんぐり入りのパンでさえ・・・

そしてこの食べ物たちは、周りの人々を徐々に変えていく力さえも持っているのか。


人と自然との繋がり、それらが与えてくれるもの。
毎日私達が何気なく口にしている食べ物。食べると言う行為は、生きると言う事です。

食べ物や料理にちなんだ表現が、とても美しい本です。

料理好きな女性は楽しめる作品だと思います。
読んでいても、気持ちをこめて丁寧にお料理をしたくなってしまう、誠実さとけなげさが描かれています。

後半、エルメスを解体して食べてしまう。結婚後のおかんが亡くなってしまうという箇所。
ストーリーとしてはありえないと思わされますが、心に染みてくるものはありました。
絵本のような装丁、繊細な文章で書かれていて、チョッと「よしもとばなな」の小説とも似ているような感じを受けました。
読んでいると優しさに包まれるような気持ちになる、素敵な本です。





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Last updated  Jun 26, 2008 02:52:48 PM
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