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Apr 1, 2009
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カテゴリ: 本
この男らしいタイトルに惹かれて手にしたのは、山本一力の「背負い富士」。

皆さんご想像の通り、これまで何度も小説や映画の題材となった「清水の次郎長」が主役の本です。
作家・山本一力がお馴染みのキャラクター清水の次郎長像に挑み、時代小説のニュー・ヒーローとして書き上げたのが本作。


江戸から明治へと変わる時代の変革期、その激動の幕末に己の才覚と運で人生を切り開いていった男がひとり。
200年前の清水湊(後の静岡県静岡市)、船持ち船頭・三右衛門の三男に生まれ、母方の叔父で米穀商の甲田屋・次郎八の養子となった長五郎。

養父・次郎八が米相場であぶく銭をつかんだことから地道な商売や家族を省みない状態になった時、長五郎は四百両を越える大金を盗み出し江戸へ出奔する。
その後、なりゆきから人を切ってしまいに渡世人になるが。
諸国を旅して見聞を深め世間を知った長五郎は、いつしか東海道一の大親分・清水の次郎長と呼ばれることとなる。
そこには、命がけで長五郎についていく森の石松をはじめ、大政、小政ら、次郎長一家オールキャストも登場してきます。


小説の流れは、70歳を過ぎた音吉が東京から訪ねてきた二人の聞きてに次郎長との物語を語るという構成になっています。

音吉をはじめとする登場人物たちの主な話し言葉は、以前行った西伊豆・戸田(現在は沼津市)の漁師の船長さんと同じ。
多額の借金を返す事を目的に、作家になる事を決意した作者。
高知県生まれだけあって、子供の頃の将来の夢はかつお船の漁師になる事だったと言います。そのせいもあるのか、船で海へ出るシーンの描写は詳細で、魅力的です。


愛する妻・お蝶のあっけない死、子分達の中でもひときわ可愛がっていた石松の非業の死と、泣かどころの用意もあり。
一家による石松の死の復讐は、この作品のクライマックスとなります。
そこに登場してくるのが、こちらもお馴染み都鳥三兄弟、吉良の仁吉や、黒駒勝蔵。


男気のある、それでいて身近なものの前では愛するものを失った悲哀も現わす、魅力ある次郎長の人物像とその半生がダイナミックに描かれています。
富士を背負ってまっすぐに生きたその半生、そこにつねにあったものは「義理と人情」。
その男っぷりは・・・男も惚れる男の中の男!

静岡県の清水と言ったら、今の人達には、さくらももこの「ちびまるこちゃん」の方がお馴染みかもしれませんね。



どちらも味わいのある作品ながら、同じ時代小説でもどちらも全くムードの違った人情時代劇となっている。


爽やかな読後感で、山本一力作品には最近結構はまっております。
今回は「まとい大名」を借りてきてしまいました。





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Last updated  Apr 2, 2009 05:39:43 PM
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