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Apr 4, 2009
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カテゴリ: 本
いつの間にかすっかり遠ざかってしまっていた椎名誠の本を、久々に読みました。

高校受験に失敗して、落ちこぼれ救済校へ入学した津田尚介。
この本は、彼の市立羽賀高校入学からの一年間が描かれたものです。
そのモデルとなるのは、作者・椎名誠自身。


尚介は入学後すぐに柔道部に入部して、そこに生きがいを見つけるのでしたが・・・
それとは別に、ひたすらに喧嘩にあけくれた熱い日々、ほろ苦い思い出の描かれた自伝的青春小説となっています。

タイトルの「麦の道」とは、高台にある校舎まで続く麦畑の道の事。
それはその年頃の若者の心境を表したものとも言えるかもしれない。

突然であったり、なりゆきからの時もある。なぜなのか解らない喧嘩、喧嘩の日々が続いていくのです。



登場する人物達は高校生とはいえ、キャラの濃い個性的な面々ばかり。
子供は子供なりにその生活の中で、生き抜く手段の一つとして、勉強する、運動に励む、人気者になるとか・・・様々な事があるだろう。
尚介はそこに喧嘩をすることを選んだのでした。
ピリピリと緊張の続く毎日、でも決して卑屈にはならない、すじの通った、チョッと悪い生徒である事を。


もう子供でもない、とか言っても大人とも言えない高校時代。
私のその年齢の頃を省みても、さめた目で周囲の大人を観察して、作られたルールにもやたらと反発をしていました。
だからと言ってそれを表だってあからさまにする事も出来ず、いつもよく解らないけれどいらだっていた思いが強い。
勿論、映画やドラマの中でのようなデートや恋愛経験もあるはずもなく、改めて暗かったなぁって思ってしまいます。

この中に登場する異性は、通学電車内での気になる女学生・佐野厚子と、美術部の上級生の玉造さんのふたり。
ふたりとも、きりりとして健やかで魅力的な存在だ。(小説ですもの)

事あるごとに出る尚介の口癖「まあいいやどうだって…」と、さめていた気持ちには大いに同感出来る。




この作者独特の表現の面白さ、軽やかなテンポの良さからあっという間に読み終わってしまいました。


椎名誠は、かつて私がかなりはまった作家の一人でした。

(デビュー~の略歴)
流通業界の専門誌の会社でサラリーマンとして働きながら、1976年に同僚達と「本の雑誌」を創刊する。
同年、「さらば国分寺書店のオババ」でエッセイストとしてデビュー。

友達4人で暮らした小岩のアパート、6畳一間の共同生活を書いた「哀愁の町に霧が降るのだ 」。
「新橋烏森口青春篇」は20代のサラリーマン時代を題材に、朝日新聞に連載された「銀座のカラス」はその後を。

旅行記としては、「地球どこでも不思議旅」「インドでわしも考えた」「シベリア夢幻」「パタゴニア-あるいは風とタンポポの物語り」「ロシアにおけるニタリノフの便座について」「シベリア追跡(江戸時代に漂流した漁師、大黒屋光太夫の足跡をたどったエッセイ)」

小説では「犬の系譜」「白い手」まで、ほぼ1980年代のほとんどの小説やエッセイは全制覇しています。

その後、本人の興味がSFの方へ向かった為、書かれた「アド・バード」「水域」も読むには読んだものの、私にはあわないと感じました。
作者自身の息子の成長を捉えた私小説「岳物語」はベストセラーとなりましたね。


「ガクの冒険」、石垣島を舞台とした「うみ・そら・さんごのいいつたえ」「白い馬」では映画監督としても活躍。


お友達のMさんと共に彼の講演があれば出かけ、映画の公開にあわせては即見に行ったりと、小学生だった息子連れで一時はおかっけをしていたくらいでした。

その後に書かれた小説・エッセイには関心がなくなってしまっていたものの、今回のこの小説は面白かったです。
久々に満足しました。彼にはやはりこういったシンプルなものの方が似合うと思います。





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Last updated  Apr 4, 2009 11:22:31 PM
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