花散る里

2011年03月17日
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昨日、帰ってきたら工事の人が来ていて、通水可能だと言う。

ありがたい。
もう、7階まで水汲みをしなくていいんだ。

通水に来てくれた人たちも被災者だ。

帰るところが無いので会社に寝泊りしていたり、
家族の安否がわからなかったり・・・

そんな中来て頂いて、本当にありがたかった。

水が出たのでいい気になって、電気ポットでお湯を沸かして、

バケツにお湯を張って、顔と体を洗った。



・・・洗髪は無理だけど。

そして寒いけど。

水で髪を洗うと、芯まで冷えて、とんでもなく頭痛がしてきます。
汚れも落ちないのでお勧めしません。



昨日はエコ運転だったせいか、ガソリンはまだ大丈夫そうだったので、

通ったばかりの水道から、水をたくさん汲んで津波被災地に運んだ。

昨日道路にあった屋根や家は自衛隊の方たちが片付けてくれていたが、
相変わらずのヘドロ・・・

長靴に履き替えて水を運んだ。

代わりに泥だらけの洗濯物を山のように預かって、自宅に戻る。

何度洗っても水は茶色。





自衛隊の人が入るようになって、
屋根の上で凍死した人たちが見つかりだした。

津波で濡れて、何とか屋根に逃げて、救助を待つ間に耐えられなかった人たち。

高い木の上や、電線に無数に引っかかっていた御遺体も、
TVが入る前には収容したと現地の人たちに聞く。



腰にロープを結んで何人もで列を組んで

海沿いの職場から一日歩き詰めで帰ってきた人たち。

半分閉まったシャッターの下を津波の中を潜ってくぐり、

意識が朦朧としながら必死に泳いで帰ってきた女性。

潜って出た後、そこかしこから無数の声が

「助けてー!助けてー!!!」

と聞こえたけれど振り向くことはできなかった。



私の両親は、9日の地震の時に海で磯遊びをしてました。

地震の後、がぼっと水が引いたので、津波が来るからとさっさと避難。

そのときの津波の高さは60cmでした。

今度の揺れは大きかったけど、せいぜい2~3m程度だろう。

母はそう思って、出先から家に戻って、
神棚から落ちた榊の水や、畳の上にこぼれたお神酒を、座って拭いていたそうです。

拭いていたら両脇から黒い水が影のようにす~っと見えて、
振り向いたら、窓の外を真っ黒な水が湧き上がってくるのが見えたそうです。

父親も地震のすぐ後に戻ってきて、自室を片付けていて、
母親の叫び声に「・・・津波?」と思ったときには腰まで水が来て、
「どこかにつかまれ!外に出るな!」
と叫ぶのが精一杯。
柱にしがみついていると、ふすまがふわっと浮き上がり、パタンパタンと倒れていく
次は家具が浮き上がり倒れ、黒い水の水位はどんどん上がっていく・・・

引き波が弱かった為、二人とも流されずに助かりました。

水が引いた後、さっさと濡れた服を脱ぎ、
たまたま押入れの上のほうに置いてあった服に着替え、
食料の確認をし、隣近所の安否を確認して、
押入れで夜をすごしたそうです。

流れていく船や車、雪の中濡れたまま呆然と立ち尽くす人たち。

避難所にあてがわれた学校も公民館も、津波の跡がありました。

瓦礫の山だけでも大変だったけど、
本当はもっと悲惨な地獄絵図が展開されてました。




初め、私住んでいるところは、数キロ先まで津波に飲まれたと報道されました。

その日のうちに遺体が200~300体あがったというのも報道されました。

津波の被害を受けた人たちは、自分達の体験と重ねて、皆諦めていたらしいです。

実際は水路を津波が上っただけで、飲まれることはありませんでした。



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Aさんとアウトロー旦那、本当に釣り合わない夫婦だと思ってたら、
宗教つながりでした。

・・・まさかの。

時々言ってる事が?だったのはそういうことか・・・

あんなに蝋燭があったのも当たり前。

とりあえず、釘を刺した。

「私は神社を崇めてるから。異教徒だけど、仲良くしてね!」

・・・ギャグみたい。

初めは一生懸命「間違った考えを改めるべき」だと言っていたが、

私が聞く耳を持たないと知ると、それ以上言わなくなった。

ただ、時々「東北の人はこうだ(良くない方)」「関東の人はこうだ(良い方)」と、

十把一絡げに悪く言われるのがちょっと辛かった。

私も東北の人ですけど・・・。

Aさんは関東出身。

関東で買占めが始まったと言う報道が出ると、今度は何も言わなくなった。

だんだん私の存在に慣れてきて、
アウトロー旦那はAさんの娘(連れ子)をめちゃくちゃに怒鳴る。

居間に居られなくなって部屋に引っ込む娘の背中にまた怒鳴る。

怒鳴り始めると耳鳴りがして頭痛が始まる。

夜になると腹痛で眠れない。

ストレスが原因だとはわかっていた。

他にも言われたことにピンと来ない。

何度も同じことを確認する。

そんな事が起きていた。

そんな時に「一時避難しておいで」と知人が言ってくれたが、

全くの赤の他人な上にご家族で住んでいる。

知人だって居候に近いのに・・・。

そして何より車で10時間以上の距離。

初めは断っていたが、この状況にだんだん耐えられなくなってきた。

本当に考えた方がいいのかも・・・。

思えばこの時、すでに正常な思考ができなくなっていたんだと思う。

生き残った罪悪感に苛まれていたけど、

これもお役目だと自分に言い聞かせた。

すずがいるうちは死ねない。

参加を表明したイベントが終わるまではがんばらなくちゃ。

7月になるまでは生きててもいいはずだ。

だんだん理由付けがおかしくなっていった。


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会社から全員出勤するように連絡が来た。

もう何度も会社に顔を出していて、

髪どころか、ろくに顔も洗えない日が続いていたし、気にしていなかったが

Aさんが電気ポットのお湯をバケツに二杯分作ってくれて、
流しで髪を洗ってくれた。

「長い髪だし、1人では大変よ。女の子は人前に出るときはきれいにしてなくちゃ」

・・・女の子って歳でも無いけど、好意に甘える。

アウトロー旦那を寝室に押し込んで、
上半身バスタオルの私を流しに立たせて、
泡立たない髪を何度かお湯で軽く流してくれる。

やっと泡立ち始めてから、私が地肌をこすって洗って、
Aさんがコーヒーカップでお湯をすくって流してくれる。

髪を洗えなくなってから一週間たっていた。
なんて気持ちいいんだろう・・・

時々頭皮に触れる指がたまらなく心地よかった。





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最終更新日  2011年04月07日 16時32分12秒


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