花散る里

2013年11月23日
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カテゴリ: 物語
「お忙しいところ、恐れ入ります。


少し長すぎる間があって、返事があった。

「・・・はい。」

30歳前後位の女、対象者の配偶者と当たりをつけて話をする。

「わたくしどもは長市市役所から公共料金のご案内の委託を受けております。
 ご主人様はご在宅でしょうか?」

「・・・おりません」

「失礼ですが、お電話口はサイトウ〇△様の奥様でしょうか?」



「公共料金の件でご案内でございますが、奥様に少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

「・・・はい」

支払い状況の案内をして、状況を確認する。

「奥様もご主人様もご存じないということですね?
では、管理は他の方がなさっていると言うことでございますね?
その方は今はご在宅でしょうか?」

また長い間があった。

「・・・・・・・・・もういません」

「では、また改めさせていただきます。ご主人様によろしくお伝え下さいませ」

電話が切れた。

画面を見ながら

と記入しながら、なんだか電話中に感じた違和感に手が止まったが、
全てモニタリングされていることが頭をよぎり、慌てて入力を済ませ、次の架電に備えた。



電話が終わっても、その場でしばらく立ち尽くしていた。

壁に背中を着け、ずるずると座り込む。

右手には包丁が握られたままだ。



ゆっくり立ち上がり、血だまりの中に倒れている舅の脇を通り、
台所で包丁ごと手を洗った。

冷え切った手がお湯で温められ、血の匂いが湯気とともに立ち上る。

なんだかベタベタすると思ったら、自分自身もあちこちから血が出ていた。

あとは夫を殺すだけ。

ほかの家族も、もう、いません・・・






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最終更新日  2014年05月21日 16時20分36秒
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