家族・焼酎・ゴルフそれから・・・

家族・焼酎・ゴルフそれから・・・

【芋を探して参りました】


”コガネセンガン”っていう芋をご存知の方いらっしゃいます?
おそらく、中国地方では作られてはいないのでしょうね。こちらなら”ナルトキントキ”か”ベニアズマ”と同様さつまいもなんですよ。

”コガネセンガン”は近頃巷で人気者、”芋焼酎”の原料になる、表皮の白い芋なんですよ。九州地方から出荷される芋焼酎のほとんどが、この”コガネセンガン”で作られてます。

今、”芋”にどっぷりとハマッテます。

私の「芋」デビューはすごいんです。いきなり「森伊蔵」と「伊佐美」でして。っていってもわかる人にはわかるけど、そうでない人にとっては「なに?森伊蔵って」なんでしょうね、きっと。

あれからもう5年くらい経ちますかね。ってことは私の芋年齢はまだ5歳?


ある日、「森伊蔵」と「伊佐美」がはるばる九州から、突然私達の職場へ届きました。

その日の昼休みに、同僚のi係長が鼻息荒く、「ビックリした。すっげ~もんが届いた。」と興奮しながら私のところへやってきたんです。

当時私は、職場懇親会の幹事役を担当していたため、i係長が私のところへというわけです。

しかし、「森伊蔵」っていわれても私には何のことやら全く・・・。とにかく今日のアフター5に懇親会をするから準備しろ!という指令でしたので。

以降は幹事の任務を忠実に果たすことが私の役目です。

「おい!食堂は場所取れたのか?」

「イエッサー!」

「ヨシ!」そういってきたのは上司のT副長でした。。


なんだか妙に落ち着かない様子。職場の雰囲気もなにやらいつもと違うし、ピーンと張り詰めたような緊張感があり、これも「森伊蔵」と「伊佐美」のせいでしょうか。

うちの職場には、幹事役にはありがたい社内食堂があります。職場の懇親会も格安料金でできます。

もちろんお酒の持ち込みだって自由です。

懇親会が始まりました。さて、いよいよ「森伊蔵」と「伊佐美」の登場です。

梱包用の白い発泡スチロールを開けると、和紙のベールに包まれた茶色い一升瓶。ラベルには大きく漢字で「かめ壺焼酎 森伊蔵」と書かれていました。鹿児島県の焼酎のようです。

一方、「伊佐美」はというと、ややレトロ感のあるラベルに「伊佐美」と、上下に念を押すように書かれています。これも鹿児島の焼酎でした。

今宵の料理は、若鳥のから揚げ、豚キムチ、やっこ、枝豆などが並んでいます。

まずは全員生ビールで「乾杯!」。i係長の様子をうかがうと、ビールをグググッと一気に飲み干し、「森伊蔵の封を切るぞ!」ともう待ちきれない様子で、新しいコップへ焼酎を注ぎ、まずはジーっとコップを眺め、一回唾をゴクッとのみ込み、緊張感さえ漂わせ、いよいよ飲むぞ、ついに飲むぞ、と人生の一大事のごとく焼酎を口に含みました。。


こちらもゴクリと唾を飲み込んでしまいました。

他の皆が注目する中、万膳の笑みを見せ「カ~!やっぱ違うわ!」と言い、
続いて二口目を口にしてました。

堰が切れたように、一斉に他の参加者が森伊蔵に集まっていきました。


私も頃合を見計らって森伊蔵をいただくことにしました。ビンの中身は既に五分の一になっていました。

まっさらで透明な液体です。一合コップに半分程注ぎ、まず香りを嗅いでみました。あまり匂いのわからない私でも、爽やかで甘い香りが鼻腔のどこかで感じられました。

続いてなめるように、舌の上に液を運び味を確かめてみました。

「甘い?」、「日本酒に近い味?」ただし、米のツーンとした感じはなく、微妙にとろみを感じます。かすかなとろみでした。強いていえば、「無添加。絞りたてりんご100%ジュース」のとろみに近いかも。

そしてのど元通過。

スッと入っきました。とにかく飲みやすいんです。これらを全てまとめると「旨い」と言うのでしょね。きっと。

そして伊佐美ですが、どこに行ったのかと見回してみると、皆が森伊蔵に目を奪われている隙に、M係長とM氏が二人で並々とコップに注いで飲んでいました。それを見つけたi係長が、「伊佐美こっちにもくれ」と、残り少なくなった森伊蔵に見切りをつけ伊佐美に猛然と突進です。

私も伊佐美の味を・・・。危なかった。無くなる寸前でした。コップに半分ほど残っていたものを全て注ぎ込んじゃいました。

私はこれまで焼酎というものを殆ど口にしたことがありませんでした。飲んだ記憶といえば、以前ブームになった缶チュウハイ程度。そもそも甲類と乙類の違いも知りませんでした。ましてや”本格芋焼酎”などといった言葉すら全く知りませんでした。

今日の森伊蔵と伊佐美はとにかく”旨い”と思いましたね。

特に伊佐美のほうです。森伊蔵より更にとろみがあって、甘みがありキレもあります。

俗に芋焼酎は「芋臭い!」といわれてますが、何が、これのどこがという感じです。

宴は2本の焼酎効果でこれまでになく大盛況でした。いい酒はいい時間を過ごさせてくれるんですね。それを改めて知らされた一日となりました。

この日から私の芋道楽が始まったのです。

森伊蔵から焼酎に興味を持った私は、ネットで本を購入。あるいはホームページで検索と、元々凝り性も手伝ってと、後は「言わずもがな」です。

調べていくうちに「プレミア焼酎」という言葉に出会いました。焼酎の中には、生産本数が需要に比べ極端に少なく、小売価格より高額で取引されているものがあり。その内、「森伊蔵」、「魔王」、「村尾」を「3M」と呼び、特に超高額で取引されており、これらプレミア焼酎は、主にネット販売あるいはネットオークションで取引されていることを知りました。

言い換えると、インターネットによって売る人と買う人の距離がなくなり、市場が拡大したことによりプレミア価格が成立するのでしょう。

例えば、森伊蔵の場合、ネットオークションでは2万7千円。ネット販売では4万円が一升の現在の相場です。驚くべき価格ですよね。定価は2千5百円の焼酎ですよ。

プレミア焼酎に出会う機会はほとんどありません。私はこのころから近所の酒屋をしらみつぶしに回ってみました。

酒屋に入り、陳列されている焼酎を一通り見て。

すると「何かお探しですか?」とお店の人が尋ねてきますよ。

「森伊蔵あります?」と聞き返すと、「あれはここには入ってきませんよ」と店の人は言い切ります。

「じゃあ、魔王あります?」と続けば、「お客さん、森伊蔵や魔王よりもうまい芋焼酎はいっぱいあるよ」と不機嫌な顔で説明してくれます。

なんだか、とても居心地が悪くなり、追い出されるように店を出ていく。

だいたいどこの酒屋でもこんな調子です。

「売りたいのはやまやまだが、入ってこないんだよ!」という店の苛立ちが、こちらに怒りとともにぶつけられてくるのでしょう。

無い物欲しさで、益々私の焼酎熱は上がっていきました。

ある日、数日前にネットで買った「全国銘酒図鑑」という本を眺めていると。

末尾に酒屋の紹介が載っていました。中国地方ではただ一軒松江市のある酒屋が紹介されていました。

その店で「佐藤」というプレミア焼酎の文字を見つけました。

「佐藤があるのか?」私の身体のどこかに「ボッ!」と火がつきました。

直ぐ側で洗濯物をたたむ妻に向かい、「明日、松江に行こうよ」と言ってみました。

「何よ。藪から棒に」

「だから、この前一緒に旅行行ったとき飲んだ、プレミア焼酎の佐藤がさ、松江の酒屋にあるんだよ」

「何で松江まで行かなきゃいけないの?」

「たまにはドライブ行こうよ。昼はおごるからさ」

「でもね。急に言われても、私だってすることあるんだけど・・・」

「わかった。今日手伝うよ。何すればいいの?」

「それなら行ってもいいかな。あとね、前からね、狙ってたさ、服がさ、あってさ、・・・・」

 交渉能力では妻にはかないません。

 いい天気でした。

妻の機嫌をとりながら、サザンのCDを聞きながら約3時間かけ、カーナビの案内に従っての軽快なドライブです。

妻との遠出は久しぶりだったこともあり、少し新鮮さを感じていました。

『たまにはいいもんだな』と思いました。

無事目的地の酒屋へ到着しました。

店には「あるある、っわ!『中々だ!』、『野うさぎの走り!』これまで写真でしか見ることのなかった焼酎がずらっと並んでるよ。すっげー」。

早速店の人にお目当ての「佐藤」がないか尋ねてみました。

店員は少し困った顔をし、「佐藤は今は売れないんですよ」

「(え~!)どうしてですか?」

「今は予約販売しかできないんです」

「じゃあ今日予約できるんですか?」

「それは大丈夫です」

「じゃあ予約します。直ぐします」

私は2ヶ月後に自宅へ届けてもらうよう申し込み用紙に必要事項を書き込みました。

すると店員さんが、「広島から来られたんですか」

んっ!(これはもしや!)

何気ない振りをし「そうなんです。ずっと探してたんです。やっと見つけたんです。もう嬉しくて嬉しくて。昨日だったんですこの酒屋見つけたのは。だから飛んできたんです」

もう、なりふり構わず「でも嬉しいんです。2ヵ月後には佐藤が届くんですよね。2ヵ月後には。もうそれだけで・・・」

店員さんは少し考えてから、「ちょっと待ってくださいね」と事務所の中へ引っ込んでいきました。

私の様子をずっと見ていた妻が「お父さん、わざとらし~わねえ」

(でも、せっかくここまで来たんだから)と口には出さず。

間もなく定員さんが出てきて、「広島からせっかく来られたことだし、調べたら「黒」なら今お渡しできるものが一本ありますよ」

(やっほー!)

「え~本当に。まさか!(も一度)え~!(さすがに涙までは出なかった)」

という訳でその日は佐藤「黒」1升ビン1本、中々5合ビン1本、野うさぎの走り1本を見事ゲット!

まずまずだったかな。

私はよく人から同じ質問をうけます。

「焼酎が大好きですよね。毎晩飲んでいらっしゃるんですか?」。あるいは

「毎晩どのくらい飲まれるんですか?」

決まって私はこう答えてます。

「家ではほとんど飲まないんですよ」

すると一様に「えっ!」と尋ねた人が驚く。

「私は家ではもっぱらビールですよ」

「また~。そんな訳ないでしょう」

「本当ですよ。焼酎集めは私にとってはいわばコレクションというか、焼酎は一つのツールなんです」

「ツールって?」

「プレミア焼酎にはパワーがあるんですよ」

「パワー?」

「そう、パワーです」

「具体的に言ってもらえます?」

「プレミア焼酎はね、人が集まるんですよ」

「はぁ?」

「今日は『森伊蔵』があるぞ!って職場のみんなに声をかけると、人がたっくさん集まってくるんですよ」

「そりゃそうでしょう。だってなかなか森伊蔵って飲めないですよね」

「だからそういうことです」


どんな焼酎も定価はたかだか3千円までじゃないですか。もちろん焼酎代は割勘にしてもらってます。

でもね、いろんな人に声かけれるんですよ。

「今日は伊佐美飲むんですよ。一緒にどうです」

「今日はいい焼酎が手に入ったんです。侍士の門って飲んだことあります?」

「青酎って焼酎知ってます?今度一緒に飲んでみませんか?」

焼酎ネタで、色んな人とコミュニケーションとれるんですよ。これって楽しいですよとっても。

それと、もう一つ、私には楽しみ方があって。

それは「探す楽しみ」あるいは「見つける喜び」と言っていいかもしれません。

昔は仕事で結構山歩きとかあって、そのころ山野草に興味を持ったんです。

図鑑とか買って、山を歩いて、足元の野草の名を一つづつ覚えていきました。

たまに、園芸店の山野草コーナーに寄ってみると一本数千円する草があったりして、そんな時「な~んだ。この草ならあそこ行ったら腐るほどあるのに」

あるいは山野草の品評会なんかに偶然出会って、エビネランやフウランなんかの鉢植えを見たりした時、「やっぱり自然の中で育ったほうが綺麗だよ。育てるのも面倒クサそう」なんて思ったりして楽しんでました。

”焼酎”と”山野草”の対象が違うだけで、やってることのコンセプトが全く同じなんですね。

山野草のときもそうだった。図鑑とか見てこの花が咲いてるとこ見てみたいな~っていうのが。

焼酎もあるんです。出会ってみたいな~っていうのが

今まで知る中で、特にプレミア度の高い焼酎が三銘柄あって、「越乃寒梅 古酒乙類」、「泡波(泡盛)」と「月の中」です。

その内「越乃寒梅」は近所のスーパーに置いてあるのを見つけました。

「泡波」は照島という遥か南の果てで造られ、生産本数も極めて少ないので先日ネットで買っちゃいました。

残るは「月の中」だけ。これを是非定価でゲットしたい。

実はこの「月の中」以前に売ってる店見つけたんです。そして行ってみたんです。でも、その時は売ってもらえませんでした。

俗に言う「一元さんお断り」でした。

だからプレミア焼酎なんです。

こうでなくっちゃ。

楽しいですよ。焼酎探すのって。

私は人を集めるのが大好きです。

焼酎の話題は誰も聞き入ってくれるんですよ。

「女性も?」

女性にももちろん。

だって今の”芋焼酎ブーム”ってだいたい女性が作ったものなんですよ。

女性と一緒に居酒屋へ行ったときなど、「この焼酎ください。梅干入れてください」なんて女性が注文なんかしてたら、「本格焼酎に梅干入れちゃあダメ!」って注意すると、こっちを見る目変わってきますよ。

すかさず「これ飲んでみて。きっと気に入るよ。」って、佐藤の”黒”なんか薦めるとそりゃ、後の会話はもう焼酎一色になり、後は私のペースです。

年配の人にもいい話題なんですよ。これって。

糖分少ないから、ビールやお酒よりも体にいいし、次の日に残らないっていうのもいいし。

「健康飲料」なんです。ただし、飲みすぎなければですけどね。

珍しい焼酎を囲み、親しい仲間が集まって、楽しい時間が過ごせて、みんな笑顔になって、おまけに健康に?

この瞬間が、この集まりが一番の私の楽しみなんです。 

だからやめれないんです。

「焼酎探し」って。

                                                                  完


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: