2004年09月10日
XML
私が文章を書こうとするとき、誰でもそうかもしれないけど、まず頭の中で書こうとすることについて考える。
そうしているうちに、私には書こうとする文章の風景のようなものが見えてくるような気がする。
そして、その風景を頭の中で目で追い、言葉や文字を選びながら、私は文字に起こしていく。

前にある人が、「作家は頭の中にある風景を文章に書くのではなく、
作家の頭の中にある文章を形にしていくと風景が出来上がる」と言っていたのを聞いたことがある。

そいう意味では、私は物書きとしてはまだまだということなのだと思う。
でも私は文章を書くときに、
それがどんな文章だったとしても、
できるだけ読んだ人がわかりやすいように書きたいと思っている。

その視線のとおりに文章を書いていくことで、
読んだ人が頭の中で描く風景を見る視線の動きを意識して、
イメージしやすい文章が書けるような気がするからだ。

また私は、自分の書いた文章を、必ず声に出して読んでみるようにしている。
そうすることで、目で文章を追ったときの印象だけではなく、
耳から入ってくる音の流れのようなものが生まれ、
それを大事にすることで、文章にもリズムが生まれ、
より読みやすく、イメージしやすい文章が書けるような気がするからだ。

そんなことにこだわるようになったのはいつからだろうと考えてみると。
どうやら、学生時代にはまった古典落語に要因があるような気がする。

古典落語は、古くは平安時代の終わり頃に、公家が大勢の前でした笑い話から始まったといわれている。

また同じ頃、京都誓願時の法主、安楽庵策伝和尚もまた落語の祖の第一人者と見られていて、
17世紀ごろ書き下ろされた、咄本「醒睡笑」には1000を越える滑稽な笑い話
(有名な「寿限無」や「まんじゅう怖い」など)が残されている。
それが、天下太平の世であった江戸時代に、様々な芸能を育む機運が熟し落語もその一つとして盛んになり、
落語を職業とする人達が現れ始めることで、代々継承されていくようになる。

近代落語の基礎を作ることになるのだ。

円朝が、聞く落語から、読む落語に変えたことにより、落語は出版という形になって
後世まで作品を広く残す事ができるようになった。
そして、歌舞伎、浪曲は言うにおよばず、日本文学にも多大な影響を及ぼすことになる。
「東海道中膝栗毛」や「安愚楽鍋」を書いた仮名垣魯文もその影響を受けた一人だと言われている。

円朝は、落語の高座から降りてから、今度は『怪談牡丹灯籠』や『塩原多助一代記』などを手がけるようになる。
これらの作品は、歌舞伎で上演されたり、言文一致の運動にも大きな影響を与えた。
坪内逍遥はそれを喋り言葉による文学だとして高く評価し、
二葉亭四迷が口語体の小説『浮雲』を書こうとして悩んでいるときに、
彼は「圓朝の『牡丹灯籠』を読んでみたまえ」とすすめた程だという。

つまり落語は、もともと口づてに伝承されるて来た、江戸町民文学なのだ。
それだけに、落語を読むと、言葉の流れや音をとても大事に書かれているのが良くわかる。

学生時代、私は暇があれば本ばかりを読んでいた。
そうしてふとしたことから古典落語の文庫本にめぐり合ったのだ。
お話の面白さだけではなくて、その時代の人達の生き方や考え方などが、
読んでいるだけで、面白いように頭の中にイメージとして沸いてくる。
しかも、もともと語られるべきものなので、読む人のタイミングとか、呼吸を乱されることがない。

私はいつしか、落語を読むときのリズム感にも快感を覚えていたのかもしれない。

そうしていつの間にか、私は自分が書く文章にも、そんなリズム感をこだわりとして持つようになったのだと思う。

何かを伝えたいと思ったとき。
それを読む人の呼吸に合わせて文章を書く。
そんな心意気のようなものを、私は古典落語から学んだような気がする。

そして、私はきっとこれからも、そんなリズム感や音の流れも大事にしながら、文章を書いて行きたいと思っている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年11月14日 13時26分05秒
コメント(0) | コメントを書く
[フリーライターのつぶやき] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

晴れママ

晴れママ

カレンダー

コメント新着

chevy1817 @ Re:美しき日本?美しき国会?なんじゃそりゃ!?(02/20) 議院は所属する政党に行動を制約されてし…
chevy1817 @ Re:毎週末、夫婦でデートが恒例行事に♪(01/28) たとえそれが日常品のショッピングでもい…
チャーリー@ Re:あけましておめでとうございます!(01/05) 今年もよろしくです。 すごく楽しそう…
chevy1817 @ Re:あけましておめでとうございます!(01/05) 初詣が新年早々のデートとなってよかった…
KOPPE1966 @ Re:あけましておめでとうございます!(01/05) 謹賀新年です。 私は、今年も(?)、初…

バックナンバー

2026年10月
2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: