”Knowledge is power”という事が信じられていた最後の時代に書かれた読書指南書。「知のゲリラ」や「知的武装」という言葉は、今や(当時も)格好悪いが、それでも、ニューアカデミズムなるものの軽佻浮薄に物足りなかった者にこのような知識人の存在があったことは、有難いことだっただろう。呉氏の良いところは、マルクス主義批判というよりも、渡部昇一や谷沢永一、山本七平といった「ビジネス保守」「新教養主義」をきちんと批判できるということだろう。白川静や葦津珍彦などの著書をど真ん中で読むことのできる言わば東洋的男気が、コンクリートにクーラーのアングロサクソン的書斎派に対陣する。読書案内も丁寧に書かれている。この著者には「近代」と正面から対決できる力量はある筈だと思う。C