春花の実

春花の実

2005年11月24日
XML
番組名は、忘れた。

もしかしたら、最近終了した『スーパーテレビ』あたりでは、というような気もするが…記憶は定かではない。
ただ、私が確実におぼえているのは――その番組(ドキュメンタリー系)の、とある回のテーマが「占い」だったということだ。

「今、占いがブームです」――その回、番組全体のノリは大体そんな感じだった。
そして、番組はその「ブーム」である占いについて、様々な角度から取材した内容
(例:「『占いの館』ビジネスの裏側について」とか)
で構成されていた。

その、“様々な角度”の中の一つ。順番的には…確か、番組の真ん中あたりで。
「プロの占い師を目指す、一人の若者」


そのコーナー、まずは「ある占い師の先生の人となり」に関する説明から始まっていた。
その先生、年齢は大体五十代以上(もしかしたら、もう少し上だったかもしれないが)の男性。専門としている占いの種類については、残念ながら忘れてしまったが。でも、「易」とか「人相学」、あるいは「手相」など――多分、古くからある伝統的な類のものがいくつか、だったと思う。
テレビに出たり、雑誌に華々しく載ったり…そんな派手な“活躍”こそしていないものの。先生、その道ではもう長いことやっている――つまり、かなりのベテラン占い師、とのことだった。
確かに。上品なスーツ姿、おだやかな口調と表情で真面目に取材に答えるその様子は――目立つ衣装やパフォーマンス、他人を脅したりだましたりして多額の金を巻き上げる…いわゆるインチキな
“占い師もどき”
とは全く正反対。
「ああ、こういう人こそが“本当に真っ当な占い師”なのだろうなあ。」
画面を通して伝わってくる、「占い」という“学問”そして「占い師」という“職業”に対する真剣かつ実直な姿勢。その時初めて先生を見た私も、その姿には素直に好感を持ったのだった。

さて、いよいよコーナーの本題。
「プロの占い師を目指す、一人の若者」
についてである。

「占い師志願の青年」
として、いきなり画面に登場した。

若者――年齢は…恐らく、二十代前半ぐらいの男性。出身地は、関西方面?だったような(うろ覚え)。
地方から東京へ。占いの修行をするため“だけ”に上京してきた彼の目的は、
「先生の元へ弟子入り(入門)し、プロの占い師になる。」

彼自身の言葉、及び映像に添えられたナレーションによれば…何でもこの彼、先生が以前書いた占いの本を買って読んだことをきっかけに
「自分も占い師になろう!」
と決意。その夢を達成するため、一番手っ取り早い手段として
“まずはその本の作者である先生のところに入門して――”
と考えたらしい。

当初、先生は彼の「弟子にして欲しい」という申し出をきっぱり断った。先生曰く――
「自分はもともと弟子は取らない方針。現在も弟子は一人も取っていない。」
「自分の年齢的にも、今から弟子が一人前になるまでの面倒を見るのは大変。」
「プロへの道は厳しい。安易な気持ちでの入門希望なら、考え直した方がいい。」
等々…。

先生が挙げたこれらの理由――特に、三番目。これ、彼にとっては結構耳の痛くなりそうな“理由”ではあるけれど。
ただ、そこまでの彼の様子を見る限り…
「…言われても仕方がないな、こりゃ。」
正直、私はそう思った。

だって――彼の発言、よくよく振り返ってみれば。
彼の本当に望んでいるのは、要するに
「先生のようなプロの(売れている)占い師になり、占いの本を出したい。(で、お金を儲けたい。)」
ということなのである。
それに。私は便宜上彼の“本音”の部分を( )の中に収めたけど。実際の彼は
「先生みたいに占い師で売れて、本を出して儲けたいんです。」
おおよそこんな感じの言葉(正確な言い回しは多少違っていたかもしれないが)を――よりによってこれから弟子入りするつもりの、当の先生に向かって言うのだ。…何のためらいもなく。
こんな発言、先生が優しい人だから良かったようなものの。もし、他の人が相手なら
「無礼者、出ていけ!」
ぐらいの“雷”の一つや二つ、落とされてもおかしくないところだろう。

…さて。
“優しい先生”のこの「優しさ」が、果たして良かったのか…悪かったのか。
一度は断った“無礼者”の弟子入り、しかしその後も
「お願いします!占い師になりたいんです。」
「僕は先生のところで勉強したいんです。」
と何度も繰り返す彼の“熱意”に押され――結局、先生は彼の入門を認めることになってしまった。
“本来、弟子は取らない方針”のはずだった先生。
“年のいった自分が、これから弟子を育てるのは”と、ためらっていた先生。
その先生が、そういった自分のポリシーを曲げてまで決意したのだ。よほどの覚悟だったと思う。

彼の弟子入りを承諾した先生。まずはその場で彼に一冊の本を差し出し、こう言った。
「この本をあなたに貸しますからね。明日まで、ひと通り目を通しておいて下さい。」
黒い表紙の大きなサイズ。見るからに長年使い込まれた感じの、重厚そうな書籍。
先生が言うには…実はその本、先生がこれまでずっと大事に使ってきた「占いの専門書」。つまり、翌日から始まる占いの勉強のため
「この本でしっかり予習をしてきなさい。」
ということらしい。
「やっぱり先生、本腰入れて彼を一人前にしようと決めたんだ。」
いきなり勝手に押し掛け、無理やり(しかも、そうとう失礼な動機で)弟子になった青年。しかしそんな彼のため、自分の大切にしている物まで惜しまずに貸し与える――先生はやはり、優しかった。
かくして。
“入門”が決まった彼は、その本を抱えて先生の事務所を後にして…そこで、その日は終了。
で、いよいよ次の日からは、彼の“占い師修行”が本格的に始まる――と思っていた、のだが…。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年11月25日 05時16分48秒
コメントを書く
[「忘れようとしても思い出せない」] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

葉桜未散

葉桜未散

バックナンバー

2026年10月
2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

お気に入りブログ

松毬の丘で。 こさっとあるさん
可愛いものとおいし… きのぴわさん
虹色のパレット カズ姫1さん
楽天ブログ StaffBlog 楽天ブログスタッフさん

コメント新着

カズ姫1 @ Re:パソコン重いけど…(03/31) はるはなのみのの日ですね^^。
葉桜未散 @ Re[1]:はかどらない(12/27) >yh2217さん 初めまして! 書き込…
yh2217 @ Re:はかどらない(12/27) 初めてメールします! 横になりたい時は…
葉桜未散 @ テストです。 テスト送信です。
葉桜未散 @ テストです。 テスト投稿です。

フリーページ

サイド自由欄

設定されていません。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: