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2005.08.13
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カテゴリ: 想い


この女性は5年前に旦那さんを亡くし、現在、アパートに1人で住んでいます。
この夫婦には1人息子がいたらしいのですが、約30年前に勘当して、それ以来会っていないそうで、その息子に逢いたい、という内容でした。
旦那さんは職人で頑固者。当時、仕事もせずにフラフラしていた息子を叱り付け、家から追い出したのだそうです。

調査の結果、息子さんは結婚しており、家庭を持っていました。
住所は九州。「追い出された実家から離れたい」という想いがあったのかもしれません。

「直接会って結果を聞きたい」という女性の希望により、自宅に伺いました。

女「九州か・・・。それじゃ会いにいけないねえ。」

女性は足腰が悪く、病院通いの日々。


私「電話してみたらどうですか?もしかすると息子さんの方から会いに来てくれるかもしれませんよ。」

女「そうかねえ。それじゃ電話してみようかね。」

本来ならば、この時点で私の仕事は終わりなのですが、「見届けて欲しい」という希望で残る事にしました。
女性が電話を終え、私の前に戻ってきました。

女「なんかねえ、もう関係ないって言われたよ。会いたくもないし、電話もしないでくれって。」

聞こえてくる女性の電話での対応から、なんとなく結果は分かっていましたが、それでも本人の口から聞くのは心苦しい思いでした。

(依頼を受けるべきではなかった。可愛い息子というイメージを崩してしまった。)

かける言葉も見つからず、重い沈黙が続くうち、私の中でそんな想いが生まれてきました。

女「せっかく来てもらったのに、申し訳ないから・・・」

沈黙を消そうとしたのでしょう。
女性がキュウリの糠漬けを出してくれました。


女性は、しきりに「なんか、悪い事しちゃったねえ。」と言っていて、逆に私の方が申し訳ない気持ちになってしまいました。

私「おばあちゃん、この糠漬け、すごくおいしいからまた食べに来てもいいかな?」

気付いたらそんな事を言っていました。

女「こんなので良かったらいくらでも食べさせてあげるよ。いつでもおいで。」

おばあちゃんは、そう言ってくれました。


早いもので、あれから2年。
先日、

私「おばあちゃんの事、ブログに書いてもいいかな?」

と聞くと、

女「ブログ?よく分からないけど、こんな私でも役に立つんだったらいいよ。」

快く承諾してくれました。

書かせてもらいましたよ、おばあちゃん。


ハート探偵社





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Last updated  2005.08.13 10:00:07 コメント(6) | コメントを書く


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