探偵の夜明け

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これもだいぶ前の話しです。

まだ20代前半のカップルが交際を親から反対されて、いわいる駆け落ちをしてしまったんです。
女性の両親からの依頼で、探し出して欲しいとの内容でした。

手掛かりは、ＡＴＭからお金を引き出していた場所が、あるエリアに限定されていた為その周辺にいるんじゃないかと言う事だけでした。

とにかく人を探す調査は、時間との戦いになってきます。
初恋探しや、友人探しと違うのは、故意に出て行ってしまっていると言う事なんです。

逃げている相手を見つける作業は、気が遠くなる作業なんです。
ですから、探偵のノウハウを使いエリアを絞り込み確率が高い所から、調査員がローラー作戦で探して行くのですが、相手は常に動いていますから、時間を掛けないと言うのが鉄則なのです。

御依頼者様から数枚の写真を預かり調査開始です。

張り込む調査員、聞き込みをする調査員、いくつかのグループに別れて調査を進めていくのですが、現地に到着したらそのまま調査開始になるので、現地での役割分担を決めていきます。

ある観光地に前日まで居た事までは判明してましたが、今現在いるかどうかは分からない状態。
対象者達は車じゃなく、歩き、電車などで動いているので、これがまた厄介なんです。

例えば、対象者達が見つからないとしても、どこどこホテルの駐車場で確認、どこどこレストラン駐車場で確認となれば調査の８割は成功したようなものなんですが、歩きの場合は写真で実際に確認していかないといけませんから、似てると思えば正面に回り込み本人かどうかを確認しないといけません。

もちろん聞き込み作業も重要ですが、テレビの様に中々「そう言えば昨日そこのテーブルの席にきてましたよ」なんて展開になるもんじゃ有りません。

だいたいは、「似ているけど本人かどうか分からないですね。」このケースが多いでしょうかね。
人の記憶は、時間が過ぎれば曖昧になるものですから、１００％は信用出来ません。
タイミング良く対象者達が居た時に、何かあって偶然憶えていたなんてことは滅多にありませんから、テレビの様にはいかないのです。

しかし、少ない情報でもあれば参考になりますし、情報を合わせていくと何か手掛かりになることはよくあります。
地味な作業ですが、重要な作業なのです。

続く
ハート探偵社

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